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第十三章:羽の正体

「ここだよー!」


ヨーロッパ風の家の前に立ったシュバーレさんが言った。


「ここって…見たところ普通の家じゃないですか…」


あ、表札のところに何か書いてある…


「おしゃれハウス・フェザー?」


なんだろ?おしゃれハウス・フェザーって…


「おしゃれハウス・フェザーは天界アクセサリー専門店なんだよー!」


天界アクセサリー専門店ね…なんかセンス悪そうだなぁ…


「まぁ! なんだか面白そうなお店ですわね!」


「おしゃれハウス・フェザーかぁ…なんかかっこいいね!」


この二人ってなんてポジティブなんだろう…


「よーし! 行こう!」


カランカラン!


「いらっしゃいませ〜」


店の中に入った僕達を出迎えた店員さん…すごい! この人も羽生えてるよ!


「何だ、シュバーレか」


「おう! お前まだこの店でバイトしてたのか!」


この店員の女の子…シュバーレさんの知り合い?


「悪いか? 私はお金が欲しいんでな。それより、今日は人を連れて何のようだ? 冷やかしか?」


「羽買いに来たんだよ」


「…羽ならまだ背中に生えてるではないか!」


「オレのじゃないさ」


「ほぅ…では後ろにいる女の子達へのプレゼントか?」


「ははは! そんなとこだな!」


「うむ。では私にまかせてもらおう」


あ、店員さんが僕達の方に歩いてきた…


「お羽をお求めとお聞きしましたが、色は何色にいたしましょう?」


…あれ? シュバーレさんのときとしゃべり方が全然違う…


「まぁ! 色まで選べますの!?」


「はい! おしゃれハウス・フェザーでは、白、黒、赤、青、黄、緑などをはじめ、全ての色がございます!」


「そうですわねぇ…では、私は薄いピンクでお願いしますわ」


「はい! ありがとうございます! そちらの方は何色になさいますか?」


「えっ? あ、僕は白でお願いします」


「私は黒ー!」


「はい。では、少々お待ちください」


そう言うと、店員の女の子は店の奥に行ってしまった。


「あの…シュバーレさん? あの店員さんと知り合いなんですか?」


「ん? そうだよ。…あっ! そうだ! 紹介しようか!?」


「えっ!? あ、いや…」


ガチャ!


扉が開く音とともに、店員の女の子が戻ってきた。


「お待たせしましたお客様。ご希望の羽がありましたので、持って参りました!サイズは、S、M、Lとありますが、どれにいたしましょう?」


…羽ってサイズあったんだ……


「なぁ、ミサ」


「なんだ?」


この店員さんの名前ミサって言うんだ…


「オレの友達を紹介してあげよう!」


「いや、いきなりなんだ? 私はそんなこと望んでないぞ?」


「いいからいいから!」


うわぁ〜…無理矢理だなぁ…まぁ、シュバーレさんらしいけど…


「………いいだろう。紹介してもらおうか」


了承しちゃったよこの娘……


「えー…右から順に、宇佐美麗香ちゃん」


「よろしくお願いしますわ。あ! 羽のサイズは、Mでお願いします」


いや…麗香さん…羽は後でもいいじゃないですか…


「高橋紗香ちゃん」


「あ、私もMでお願いします」


自己紹介になってないよ高橋さん…


「はじめちゃん」


「ど、どうも。春崎一です」


「うむ。それより、はじめは羽のサイズはどれにするのだ?」


い、いきなり呼び捨て…


「えっと…じゃあ、Lでお願いします」


「承知した。あと、私の名前は谷本美佐だ。好きに呼んでくれてかまわないよ」


谷本美佐さん…何で美佐さんは普通に日本の名前なんだろ?

シュバーレさんは天気神って名前とシュバーレ・ウェザー・ゴッドって名前があるのに…


「ミサにもあるよ。谷本美佐とミサ・タニモトっていう名前が、だけど両方同じだから、日本名言ったんじゃないの?」


「へぇーそうなんだぁ……よく知ってるね。シュバーレさん……」


「ごめんなさい! もうしません! 許して下さい!」


シュバーレさんってばまた僕の心を…


「よし。ではこのタトゥシールを好きなところに二枚貼り。羽をイメージしてみろ。上手くいけば羽が生えるだろう。…まぁ、失敗しても特に害はないが、羽は生えてこないから注意したほうがいいだろう」


へぇー…羽ってシールで生えるんだぁ…今更だけど、天界ってすごいなぁ


「わかりましたわ」


「オッケー!」


「わかりました!」


僕達は元気よく返事をし、さっそくシールを貼ることにした。


「私、両肩に一枚ずつ貼りましょうかしら?」


「拳に貼るの、紋章みたいでかっこいいなぁ〜」


二人は自分の思い思いの場所にシールを貼っていく…僕はどこに貼ろうかな?

僕も肩に貼ろうかな?でも、麗香さんと同じじゃ面白くないし…羽だから背中に貼ろうかな?

でも、手ぇ届かないし…


「あの、美佐さん?」


「ん? なんだはじめ」


「このシール僕の背中に貼ってくれません?」


「うむ。まかせておけ」


美佐さんは僕の手からシールを受け取ると、手慣れた手つきで、背中にシールを貼っていく…


「えっ?! ちょっ! 美佐さん?」


「なになに。まかせておけ」


服の中に手を入れて、シールを貼っていく美佐さん…ちょっと適当すぎませんか?


「よし。貼れたぞはじめ。私の技術もなかなかのものだな」


腕組をして、満足そうな美佐さん。

そう言って、僕の背中をパンパンと二回ほど叩くと、ケータイを取り出して何かをしている…


「よし。はじめ。早く羽を出せ。私がお前の初羽姿を撮ってやろう」


ケータイを片手に、わけが分からないことを言う美佐さん。

…なに? 初羽姿って?


「ちょっと待てえぇぇぇぇい!」


「何奴!」


店の入り口に立っていたカメラマンMが言った。

…まぁ、前田のことね。


「はじめの初羽姿は俺が、このカメラに納める!」


ジャジャーン! って効果音でも出そうなほどに、ポーズをきめ、カメラを掲げる前田…すごい。きっとネコ型ロボットもビックリだ!


「むっ、貴様は何者だ! 名を名乗れ!」


美佐さんなんかキャラおかしいし…


「ふっ…俺か? …俺は…」


「貴様は?」


「偽りの天才。前田」


そんなセリフどっから出てきたんだろう…?

ていうか…偽りの天才ってことはバカ?


「き、貴様が…」


美佐さん動揺してるし…


「さぁ! お前の名前も教えてもらおうか!」


「ふっ…私は…」


美佐さんなんって言うんだろ?


「愛深き故に、愛を捨てた男。美佐」


「ちょっとまって! 美佐さんは男性なんですか?!!」


「失礼な。何を言うか。私は可愛い可愛い16歳の女の子だぞ?」


「じゃあ何でさっき男って言ったんですかー!!」


「そっちの方がかっこいいであろう?」


「………はい。そうですね…すみません…」


「そうだろう? ちなみに、さっきの私はかっこよかったかな?」


「…はい」


「そうかそうか!」


もしかすると美佐さんって今まで出会った人の中でも、一番の変な人かも…


「さぁはじめ! 羽を! 早く羽を!」


前田が、いつでも撮れる体制で言っている。

…これはかなり危ないんじゃないかな…うん。


「馬鹿者。私が先だ」


「いやっ! 俺が!」


美佐さん絶対遊んでるな…


「もう! 美佐さん。前田に乗らないでくださいよ!」


「いや。すまない。つい、な」


いや、ついって…


「それより、羽ってどうやって出すんですか? ちっとも出ませんよ?」


「念じるのだよ。私は羽が欲しい! …とね」


「わかりました。やってみます!」


僕は羽が欲しい。

僕は羽が欲しい。

僕は羽が欲しい。

僕は羽が…


ピクッ!


「あっなんか背中がむずむずしてます! なんかなってますか?」


「いや、全く変化なしだよ。」


「はじめちゃん! 念じて念じて!」


「むぅ〜…」


僕は羽が欲しい。

僕は羽が欲しい。

僕は羽が欲しい。

僕は羽が欲しい。

僕は…


「へくちっ!」


「「はじめ(ちゃん)…」」


「へへへ。くしゃみ出ちゃいました…」


僕は羽が欲しい。

僕は羽が欲しい。

僕は羽が欲しい。

僕は羽が欲…


「すまない…はじめには羽の才能は無いわけではない。気にするな。私も生やすのに2日かかったからな。流石に1日で生やすのは無理なのだろう」


…2日って…そりゃ無理でしょ!

僕、羽なんか天界来るまでしらなかったし


「麗香と紗香は生えたかい?」


「私には無理ではなくって?」


「私もダメ。全然生えないよ!」


高橋さんも麗香さんもダメかぁ……あっ! このシールちゃんととれるのかな…?

天界のだからとれないなんてことないよね…


「ねぇ美佐さん? このシールってちゃんととれますか?」


「あぁ。大丈夫だ。君達に配った羽のシールは、1日使い捨て用だからね。お風呂に入れば一発だよ」


1日使い捨て用って…コンタクトレンズですか…


「くっ…はじめの初羽姿が…」


「煩いぞ。そこの変な奴」


「俺は前田晃寛だ! アッキーまたはあっくんと呼べ!」


「断る」


この二人仲が良いのか悪いのか…


「で、これから何をするんだ」


店の入り口付近で、退屈そうに待っていた高ちゃんが言った。


「オレはなんでもいいぜ! 高広は何かしたいことあるか?」


シュバーレさんが羽を取りながら高ちゃんに言っている。

…えぇっ!? 羽って取れるの?!


ブチブチブチッ…


なんか痛そうな音してるし…


「俺か? 俺は野球がしたい」


「そうか! じゃあ野球しよう! みんなも野球でいいか?」


「えぇ。まぁ、野球でいいんじゃなくて?」


「いいよ! 野球やってみたいし!」


「野球かぁ…小学生以来だな…」


「しかたねぇな! 高広の頼みだからな! 言っとくが、俺はプライマリーときは野球部だったぜ!」


前田。プライマリー(小学生)のときの記憶は抹消したんじゃなかったっけ?


「はじめちゃんは?」


「うんっ! いいよ! 美佐さんは来ないの?」


「うむ。行っても良いのなら行くぞ。運動は嫌いじゃないんでな」


「お前、バイトはどうすんの?」


「なに、そろそろ辞めようと思っていてな、いい機会だから店長に言ってくるよ」


「オッケ! じゃあ行こうか!」


カランカラン…


野球をするために僕達は店を出た。


はい。

次回は、体育バスケに続きまして野球です!

スポーツ系はやたらと効果音系ばかりかもしれませんが、できるだけ頑張って表現しますので、次回も読んでいただけると嬉しいです。

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