第十二章:羽?!
「うわ! 眩しい…」
ゲートに入った僕が見たものは、真っ白の世界。
まさかここが天界?
「じゃあ行こうか!」
シュバーレさんが言った。
…って! シュバーレさんが見えない?!
僕の目に写るのはただ何も無く、真っ白な世界だけ…高ちゃんも亮平も麗香さんも高橋さんも前田もいない…みんなどこに行ったの?
「シュバーレさん? どこにいるんですか?」
「え? いるよ? 目の前に」
「えっ!? うそ? 何も見えませんよ? なんか真っ白なんです。なにもかもが…」
目の前にいる? シュバーレさんが?
僕には真っ白の世界しか見えないよ…
「そうか…はじめちゃんと前田には言うの忘れてたね…はじめちゃん。目を閉じて、深呼吸してから、ゆっくり目を開けてごらん」
「う、うん」
僕は目を閉じ、二回ほど、深呼吸してからゆっくりと目を開けた…
「うわぁー…すごい…」
僕の目に飛込んできた建物、風景、人々…すごい…ここが天界なの?
建物は日本の家やお城、ヨーロッパのおとぎ話に出てきそうな立派なお城や家…他には近未来(?)的な丸っこい建物…なにあれ? 洞窟? 他にもいろいろな国の建物がある。
「ねぇシュバーレさん…えぇぇぇえぇえ?!」
シュバーレさんを見ると、何かすごいことになっていた…
真っ白の綺麗な羽が生えていて、金色のドーナツ状の何かが頭についている…
「どうしたのはじめちゃん…あ! これ? これは飾りみたいなもんだよ! いちおう飛べたりするけどさ」
いちおう飛べたりするって…いや、ちょっと…なに?なんで羽が…?
「はじめちゃんも羽欲しい?」
「………えっ?」
羽くれるの? どうやって?なんだかわけがわからなくなってきたぁ…
「麗香ちゃんと紗香ちゃんも羽欲しい?」
「うん! 欲しい! 欲しい! 私も羽欲しい!」
「本当ですか! 私にもくださいますの!?」
二人とも挑戦者だなぁ…
「おう! 当たり前じゃん! 亮平と高広もいる?」
「俺はいいよ。似合わないし、高広は?」
「俺もいらん。羽を生やして飛び回るような柄じゃないからな」
高ちゃんらしい理由だなぁ…でも、似合うと思うけどなぁ…
「春崎は貰わねぇの?」
「えっ? 僕? 僕はいいよ。どうせ似合わないし」
「もったいねぇなー。きっと似合うのに…ここは、お言葉に甘えて、羽貰っとけって!」
お言葉に甘えてか…まぁ確に人間の夢を叶える二度とないチャンスだけど…
「はじめちゃん! 貰っときなってー!」
「うん。わかった! それじゃあ、お言葉に甘えて」
「なんだか素敵な会話が! とても素敵な会話が! くっ…何故見えない…何故…何故…」
あ、馬鹿が一人…
「シュバーレさん? 前田には教えなくていいの? あれじゃあいつまでたっても目ぇ見えないよ?」
せっかく天界に来たのに、真っ白の世界だけしか見ないなんて、なんか可哀想だし…
「…わざとだよ。あれ」
「うそっ!! 本当に?!」
「うん」
わざとって…何で…?
「ねぇ前田。本当?」
「…………」
あ、目が泳いでる…
「前田君? 人と話をするときはちゃんと目をみて話そうって小学校の先生に習わなかった?」
「いや…俺、プライマリー(小学校)のときの記憶は抹消したから知らん! それに…」
「それに?」
「俺はいつだって心の目ではじめだけを見ているんだ!」
なにこれ? 告白? 意味がわからない…
「ごめんなさい!」
「ひぐぉ!」
奇妙な叫び声と共に倒れた前田…また叫び声に新たなバリエーションが…
…前田本当に傷ついてるのかな…?
「前田の目も見えてるみたいだし、そろそろ羽を生やしに行くよー!」
「あ、うん!」
僕はとりあえず前田を起こして、シュバーレさんのもとへ走った。
すみません。
とりあえず謝ります。
なんかすごい展開になってしまいました!…これからどうしよう?
私自身そんな感じです。
でもまぁ、なんとかなるでしょう!はい。
こんな私の作品ですが、これからも読んでいただけたら嬉しいです。