第九章:全員集合2
高ちゃん家を出た僕達は、僕の家に向かった。
ここら辺は住宅の塀などで、迷路のようになっている。僕達は慣れてるけど、シュバーレさん達迷わないかな?
「はじめちゃ〜ん!」
僕の名前を呼ぶ声……シュバーレさん?
「あ、天気君?」
「ははは! 残念ー! 俺だよ! 上手いだろ? 俺の天気のモノマネ」
「えっ! 亮平?! 何で? 今日、部活があるって言ってなかった!?」
僕の名前を呼んだのは、シュバーレさんの声色を真似た亮平だった。
僕は学校から帰る前に、麗香さん、高橋さん、前田、亮平に遊ぼうと言ったんだけど、亮平だけ部活があるから来れないって言ってたはずなんだけど…
「部活はあったんだけど、早く終わってよ! んで、春崎ん家に来てみたんだけど、セーフみてぇだな!」
「うん。あとは天気君が来れば、全員集合だね!」
あと、麗香さんに高橋さんもね! …でも、ちょっと遅いなぁ。
そろそろ来てもいいはずなんだけど…
「…はじめちゃーん!」
あ! 来た来た!
「おい、なんか様子がおかしくないか? 何かから逃げてるみたいだぞ?」
走ってくるシュバーレさん達を見て、高ちゃんが言った。
…あ、そういわれてみれば確に…何で走ってるんだろ?
「蜂が…蜂がぁぁぁ!」
高橋さんが叫びながら走って来た。
「駄目ですわ! ここで混乱しましたら終りですわよ!」
麗香さんが高橋さんを落ち着かせようとしている。
…シュバーレさん達はいったい蜂に何をしたの?
……あぁ!!
シュバーレさん達がこっちに来る=蜂がこっちに来る→僕達も危ない
た、大変だ早く家に入らないと!
「天気君! 早く! 早く! 家の中に!」
「すまないはじめちゃん! しくじった!」
またわけが分からないことを…
「いいから早く!」
タタタタタ!
ガチャ、バタン!
「はぁ…はぁ…はぁ…はじめちゃん、助かったわ…ありがと…」
うわぁ…高橋さんだいぶ疲れてるなぁ…
「おい、お前たち何をしたらあんなことになったんだ?」
高ちゃんが言った。
本当、何をしたらあんなことになったんだろう?
「ははは! ちょっと蜂の巣に石をね…」
馬鹿だ…馬鹿がいる…蜂の巣に石って…
「何で蜂の巣に石投げたんですか!?」
理由なしにしたなら本当にただの馬鹿だし…
「紗香ちゃんから最近蜂が増えて来てるって聞いてね…ちょっと蜂さんには悪いけど、元を絶とうってことになってさ…オレが巣におもいっきり石を投げたわけよ! そしたら…」
「怒った蜂さんが、逆襲しにきたというわけですわ」
麗香さんが付け加えるようにして言った。
なるほど、まったく意味が分からない。
「何か飲みます?」
僕は言った。
「あ、お願い。」
「すみません」
「ありがとう、はじめちゃん!」
「あぁ、頼む」
「俺も!」
「もちろんもらおう。あぁ…美少女が飲み物を持ってきてくれる…考えただけで最高だ!」
僕はとりあえず前田を殴ってから台所へ向かった。