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宛てのない手紙

ほぼ一発ネタです。

『拝啓  兄上様方



 私たちが異世界に問題無用で放り出されてから季節が二回巡りました。兄上様方におかれましては、あいもかわらず梅雨時のカビか真夏のゴキブリ並にご健勝のこととお喜び申し上げます。ところで失恋連続記録は未だ更新中でしょうか。

 私はと言えば何故か猫に変身する体質になり、世間的には由梨の使い魔(オマケ)扱いされています。そのため子供たちに追い掛け回されたり、そういえば貴族の令嬢に買われそうになったりしておりますが概ね平和です。こんな日常を平和と言い切れるような精神に鍛えあげてくださりやがった鬼……もとい兄上様方の教育(いじめ)賜物(ふくさんぶつ)です。

 兄上様方の脅迫(めいれい)どおりに由梨に悪い虫が付かぬよう、日々注意しながら過ごしております。いい年こいてシスコンな兄を持って幸せです。ええ、実際に妹なのは私で由梨は従姉妹ですが突っ込む気力はとうに失せております。

 では、届けるつもりも宛てもない手紙はこのへんで。あとで風呂の焚き付けにでも使います。



     あなたがたの忠実なる(いもうと)より』




「……り、理久……」

 工房の机の羊皮紙に日本語が書かれていたので、反射的に読んでしまった。見慣れた書体で書かれていたのは伝言でも研究メモでもなく、愚痴そのものだ。おそらく書くだけ書いてストレス解消したら燃やして捨てるつもりだったのだろう。

 少し悩んだが、見なかったことにしてそっと羊皮紙を裏返す。

 せめて今日の夕食は理久の好物にしてやろうと思った。

兄は妹を可愛がるとか、幻想だと思っています。

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