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第22話 再会

 ……朝か。

 昨日2人としたのは覚えているが、いつの間にか寝ていた。

 隣には誰もいない……。


 身支度を済ませ、朝食を食べてからギルドに向かうとフェリシアとノエルが待っていた。


「おはよう、コーマ!」

「おはようございます、コーマさん」

「おはよう。早速買いに行くか」

「ちょっと待って!

 もうすぐでゴルドさんが来るみたいだから、それまで待とう」


 ゴルド!

 フェリシアやノエルのことばかり考えていて、俺のこの世界での一番の恩人を忘れていた。

 そうだ、あのときの恩を返さないと。


 しばらく待っていると、ギルドの扉が開きゴルドが入ってきた。


「ゴルド、久しぶりだな」

「おおっ、コーマか!久しぶりだな!

 元気だったか?いつこっちに来たんだ?」

「昨日の夜着いたんだ。

 俺もベルハイムで星5の冒険者になったぞ」

「もう星5になったのか!早かったな!

 そうすると、トラメリアには運搬か護衛の仕事で来たのか?」

「運搬だ。これからリンベル武具屋に武器を買いに行くんだ」

「なら俺が案内しよう。

 あっ、ノエル、ゴブリンの目撃情報はあるか?」

「いえ、今日もありません。ご案内の方お願いします」

「おう!……えーっと、そっちの人は?」

「フェリシアって言います。今はコーマと二人でパーティを組んでいます」

「二人ってことは、付き合ってるのか?」


 ノエルもそんなこと言っていたな。

 男女で二人パーティってそんなに珍しいのか?

 まあ俺としては付き合ってやっても良いんだが……断られたからな。


「いえっ、そんなことはありません!

 少し前までは4人だったんですけど、この前2人抜けちゃいまして……」

「そうか……。二人だと野営のとき大変だろ。

 早く新しいメンバーが見つかると良いな」

「はい、ありがとうございます!」

「じゃあ、ノエル。行ってくるな」

「はい、お気をつけて」




 ギルドを出て荷車を引きながらリンベル武具店へと向かう。


「ゴルドさんは星5になってから長いんですか?」

「ああ、その制度ができたのが俺が冒険者になった後だからな。

 もう5年は経ったか」

「そんなベテランの方だったんですね!」

「ああ。分からないことがあったらなんでも聞いてくれ」

「じゃあ、ノエルさんとはどんなご関係なんですか!?」

「……ノエルが12歳の頃から知っているからな。

 歳の離れた妹みたいなもんだ」

「でも、さっきはなんだか普通の信頼関係じゃなさそうでしたよ?」

「いや、俺には妻も子供もいるから」


 子供……?

 そういえば前見たとき妊娠していたな。


「あー、お子さんまでいるんですね……」

「いつ頃産まれたんだ?」

「つい一ヶ月前だ。初めての子育てで色々大変だが、毎日楽しいぞ」

「一ヶ月前ですか!?絶対可愛いじゃないですか!」

「ああ、ものすごく可愛いぞ。見せたいんだが、まだ二人とも眠っていてな」

「じゃあ、またの機会にお願いします!」

「ああ。

 さあ、リンベル武具店に着いたぞ」


 ◇◆◇◆◇


 リンベル武具店での買い物を済ませた。


「二人はもうベルハイムへ出発するのか?」

「えっ、もう!?」

「そのつもりだったけど、まだ休みたかった?」

「いや、ゴルドにまだ恩返しができていない」

「なんだそんなことか。

 そんなのまた今度でいいさ。

 子供がもう少し大きくなれば俺もベルハイムに行くことはある」

「そうか……」


 こんなことなら昨日のうちにゴルドに会っておけば良かったな。

 あと何かやり残したこと……、そうだ。


「なあ、ゴルド。俺はあのときと比べたらとてつもなく強くなってるよな?」

「ああ、魔法は使えるようになったんだろうし、強くなったとは思うが……」


 よしっ、俺はゴルドから見ても強くなったんだ。

 ノエルは強い男に迎えに来られることに憧れている。

 今の俺ならノエルの期待通りの男になっているはずだ。

 フェリシアが俺の女になることはないかもしれないが、ノエルなら!


「そういえば、ここに来るときゴブリン以外には襲われなかったか?」

「ああ、何にも襲われることはなかったが」

「そうか。

 トラメリアの周りはゴブリンはいなくなったが、代わりに盗賊が出るようになった」

「盗賊……って人間ってことか!?」

「ああ、この前人頭税の徴収があってな。

 払えなかった奴が街を出て盗賊になっちまった。

 これまでは街を出てもゴブリンに殺されるだけだったんだが、そのゴブリンがいなくなったせいでな」


 ゴブリンがいなくなったら、次は人間かよ。


「いくら強くなったって言っても、人間相手はまだだろ?

 だから、帰り道はくれぐれも気をつけろよ。

 トラメリアの周りにいる限りは魔臓は温存しておけ」

「盗賊に襲われたらどうするんですか?

 逃げるって言っても荷物があるのでそんなに速く移動できません」

「……魔法で殺して良い。

 魔法講習で人を殺したら自分も処刑されるって教わったと思うが、盗賊だけは別だ」

「殺すって……」


 人を殺す……?

 人はゴブリンとは違う。

 俺に人を殺せるのか?


「俺が付いていければ良いんだがな」

「何か事情があるのか?」

「盗賊の奴らは獲物を見付けたらどこまでも付いてくる。

 トラメリアの付近だけ俺がいたとしても、俺がいなくなった途端に襲ってくるとしたら付いていかなくても同じことだ」


 それならゴルドにベルハイムまで付いてきてもらうしかなくなるってことか。

 流石に対価無しでそこまでしてもらうわけにはいかない。

 対価を払うとしたら俺達の利益が無くなるか……。


「護衛の仕事なら俺一人分増えたところで大して変わらなくなるんだがな」

「いや、情報を教えてもらっただけでも十分だ」

「ねえコーマ、盗賊に襲われたらどうしよう……」

「戦うしかないだろ。

 この荷物はギルドから借りた金で買ったんだ。

 盗賊にくれてやるわけにはいかない」

「そう、だよね……」


 25000ゼニーは今の俺から見ても少なくない金額だ。

 特に最近は娼婦を買うのに金を使い過ぎたし、借金を負うわけにはいかない。


 盗賊が襲ってきたら殺す。

 俺にはそれしかないんだ。


 頼む、襲ってこないでくれよ。


「あっ、ギルドに着いたね。じゃあ私挨拶してくるね」

「待ってくれ、俺も行く」

「うん!」


 ギルドに入ると、ノエルは奥で何か作業をしていた。


「ノエルさん、私たちはもう出発しますね!」

「速かったですね。盗賊にはくれぐれも気をつけてくださいね」

「はい!さっきゴルドさんにも聞きました!

 また会いに来ますね!」

「はい、楽しみにしていますね」


 もう出発するんだ。

 言うなら今しかない!


「ノエル!」

「……はい、なんでしょう?」

「俺は星5になったし、この前よりも遥かに強くなった。

 だから俺と来い!俺の女になれ!」

「意味がわかりませんし、そんなことを言われて頷く女性はいないと思います

 あと、以前にも言いましたが、私はまだここを離れるわけにはいきません」

「こんな誰も来ない場所で何をやることがあるって言うんだ?」

「色々とありますよ。

 ゴブリンの目撃情報のまとめやギルドや酒場の運営。

 ああ、そういえばコーマさんは昨夜二人の女性を買ったようですね。

 そんなことをした翌日に女性を口説くとは。

 経験10倍のせいで時間の感覚が普通の人とは違うのかもしれませんが、私は普通の人ですので」

「そんなこと……」

「関係ありませんか?

 では、先日フェリシアさんに身体の関係を迫ったことは?」

「それこそ関係無いだろ!」

「いいえ。関係はあります。

 コーマさんは女性をなんだと思っているんですか?

 自分の意志に従う便利な動物ですか?」

「そんなことは……」

「あるでしょう?

 そうでなければ相手の都合も考えずにそんなことを言うはずがありません」


 相手の都合……?

 都合って……。 


「ストップだ。ノエル、熱くなりすぎだ」

「……そうですね。少し頭を冷やしてきます」

「ほら、コーマも。早く出発しないと……って今日は出発しない方が良いかもしれんが」

「ああ……」


 くそっ、ノエルの都合ってなんなんだよ。

 強い男に迎えに来られれば良かったんじゃないのかよ。

 俺はどうすれば良かったんだ。


「うん、そうだね。もう一日休んで、明日出発しよう?」


 休む?

 休んだらノエルは俺の女になるのか?

 いや、ならないだろ。


「とりあえず椅子に座ろう?」

「ああ……」


 フェリシアに連れられて壁際の椅子に座る。


「ここは俺がいるから、フェリシアはノエルのところに言ってもらえるか?」

「はい、分かりました」


 フェリシアが離れ、どこかに行った。


「あー、そうか。

 さっきのはそういう意味だったのか。

 ノエルは前にも言った通り強い男に迎えに来られることに憧れているんだが、それと同時に責任感も強くてな」


 責任感?

 なんだそれは。

 聞いてないぞ。


「ノエルはトラメリアの支部長に留守を任されていてな。

 支部長が帰ってくるまではトラメリアを離れることはできないんだ」

「だから俺の誘いに乗らなかったのか?」

「まあ、それ以外にもあると思うが……ノエルの都合っていうのはそういうことだ」


 それがノエルの都合……。

 じゃあ悪いのはノエルに任せてどこかに行ったトラメリアの支部長か!


「トラメリアの支部長がいつ帰ってくるのか、そもそも帰ってこられるのかも分からないが、タイミングが悪かったな」

「ノエルはそんな、いつ帰ってくるかも分からないやつを待っているのか?」

「まあ、そうだな」


 なんだよそれ。

 なんでノエルはそんなやつを待っているんだ。


「ノエルにも事情があるんだ。

 ノエルのことはもう諦めて次の女を探してみるのはどうだ?」

「次の女、か……」

「ああ、ベルハイムでは良い子はいなかったのか?」

「フェリシア、ユフィ……あとはエリーか」

「フェリシアは止めておいた方が良いと思うが……。

 ユフィっていうのは職員のユフィか?」

「ああ、そうだ。知ってるのか?」

「以前はトラメリアで働いていたからな。

 しかし、ユフィか……。

 まだ14かそこいらだと思ったが……」

「ああ、そうだな」

「あー……。エリーはどんな子なんだ?」

「酒場で働いている女だ」

「そう、か……。

 俺の妻も前は酒場で働いていたんだが、借金を返すまでに結構時間が掛かってな。

 その子はあとどれくらいなんだ?」


 ゴルドの妻って、あの胸がでかい女か……。

 そうか、ゴルドは酒場の女と結婚したのか。

 それなら俺もエリーと……。


「借金額は分からない。まだそんな話はしてなかったんだ」

「ならそのエリーって子とちゃんと話をしてみるんだ。

 そしたらコーマも幸せを掴めるかもしれん」


 俺の幸せ、か……。

 そうだな。

 女なんてノエル以外にも沢山いるんだ。


「ありがとう、ゴルド。

 俺は今日トラメリアを出発するよ」

「もういいのか?」

「ああ、エリーに早く会いたくなった。

 今なら盗賊でもなんでも殺せる気がする」

「そうか……。

 頑張れよ。

 じゃあフェリシアを呼んでくるな」

「ああ、頼む」


 そう言うと、ゴルドは受付の横の階段を昇っていった。

最後まで読んでいただきありがとうございます!


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次回の更新はの2026年2月2日の予定です。


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