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第21話 トラメリア

 門で冒険者章を見せ、街の中に入る。

 数ヶ月ぶりだが、最初の街、トラメリアに帰ってきた。

 トラメリア付近は滅多にゴブリンを見なくなったせいか、もう日が暮れているにも関わらず門の近くの喧騒はベルハイムの比じゃない。


「荷車はギルドに置かせてもらおっか。

 ちょうどギルドに用事があるんだ」

「ああ」


 フェリシアとはあれから事務的な会話しかしていない。

 何度謝ったって「何に対して謝ってるの?」って聞くだけ。

 ただ気まずい空気に耐えられないから謝っただけだし、付き合ってもないのに誘ったから怒ってるんじゃないのかよ。

 女心なんて分かんねえよ。

 っていうか4日もずっと一緒にいて襲わなかった俺の忍耐力を褒めろよ。

 ……はぁ、早くベルハイムに戻ってエリーに癒やされたい。


 ギルドの裏手に荷車を置き、ギルドの中へと向かう。

 ギルドの建物はどこでも同じだから分かりやすい。


「よくギルドの場所が分かったね」

「前に来たことがあるからな」

「そっか。コーマこの街出身だったね」


 いや、別にトラメリア出身ってわけじゃないんだが。

 面倒くさいし、そのままでいいけど。


 ……俺ってトラメリアのギルドって数回しか来たことなかったよな?

 それなのにギルドへの道を覚えてるってすごくね?

 門からまっすぐ大通りを歩いてきただけだけど。


 ギルドの扉を開けると、ホールでノエルが分厚い土の壁を出していた。

 ……何やっているんだ?魔法の練習?

 ウィンドウォールの次はアースウォールかよ。


「……あぁ、コーマさん。お久しぶりです」


 ノエルが扉を開けた音に勢いよく振り向いたと思ったら、俺の顔を見た途端がっかりしたんだが。

 俺じゃ悪いのかよ。

 いや、でもやっぱりノエルがこの世界で一番可愛い。

 ベルハイムで色々な女を見てきたがノエルに敵う女はいなかった。

 ノエルが俺の中で一番タイプだ。


「すみません、すぐに消しますね」


 ノエルが消滅魔法で土の壁を消していく。

 よっぽど固く作ったのか、消滅魔法でも中々消えない。


「あっ、手伝いますよ!」

「ありがとうございます。

 ……えっと、あなたは?」

「私はフェリシアです!ノエルさん、でいいですか?」

「はい。冒険者ギルドトラメリア支部支部長代理のノエルです」

「あっ、ベルハイム星4冒険者のフェリシアです」

「星4なんですね!いつもお仕事をしていただきありがとうございます!」

「いえいえ、今の生活があるのはギルドのおかげなので!

 あと、このあとお時間いいですか?

 沢山お話したいことがあるんです」

「はい。時間は沢山ありますので、いくらでも構いません」


 フェリシアもノエルと一緒に消滅魔法を使い始めたが、それでも中々土の壁が消えない。

 仕方ない、俺も手伝うとするか。


「コーマさん、ベルハイムでは魔法講習を受講できたんですね」

「ああ……」


 そういえば、俺がトラメリアからベルハイムに移動したのって、トラメリアで魔法講習が受けられなかったからだったな。


「私とコーマは同じ日に魔法講習を受けたんですよ!」

「えっ、ということはフェリシアさんもまだ魔法を使い始めてから数ヶ月なんですか!?

 コーマさんはともかく、冒険者として活動しながら数ヶ月で消滅魔法まで使えるようになったんですか!?

 凄いです!」

「あはは、全部ユフィのおかげなんです。

 あの子が毎晩つきっきりで教えてくれたので」


 えっ、なにそれ。

 俺もユフィにつきっきりで教えてもらいたい。


「ユフィが……。そうですか……」

「その話はまた後でしましょ!

 それより、コーマはともかくってどういうことなんですか?」


 そうだよ、ともかくってなんだよ。

 俺のことも凄いって言えよ。


「二人でトラメリアに来るような間柄ですよね?

 ご存知じゃないんですか?」

「それは……色々ありまして……。

 とにかく、私とコーマはそんな仲ではありません!」

「そうだったんですね……。

 でも一緒にお仕事をする上で重要なことですので話しておいた方が良いと思いますけど」

「……話す機会が無かっただけだ」


 経験10倍のスキルを話すってことは転生だとかの話もしなきゃいけないってことだろ。

 説明が面倒くさいし、昔のことは思い出したくないんだよ。


「私からお話しましょうか?

 これからも一緒にお仕事をするでしょうし」

「ああ、頼む」


 ◇◆◇◆◇


「だからコーマは色々と習得するのが速かったんだね!

 それにしても、女神教の女神さまって本当にいたんだ……」

「いえっ、それは……」

「どうしたんですか?」

「いいえ。

 確かに女神さまがこの世界を作ったのかもしれませんが、今私たちが魔法を使えるのは初代リーダーのおかげです。

 それだけは覚えておいてください」

「はい、分かりました……」

「コーマさんも、お願いします」

「分かった……」


 忘れるつもりは無いが、そんなこと重要か?


「ご協力ありがとうございました。

 まずはこちらにお越しください」


 ノエルが受付の方へと歩いていく。

 消しきれずに残った土を避けて付いていき、受付のところにある椅子に腰掛ける。

 なんでトラメリアでは椅子があるんだ?

 ベルハイムではいつも立っているのに。


「そういえば、まだお二人がこの街に来た目的を聞いていませんでした」

「トラメリアで鉄製の武具を仕入れるためです!」

「フェリシアさんは星4ですよね?

 ということは……」

「ああ、俺が星5になった」

「ご活躍されているんですね!」

「まあな」


 ノエルが聞きたいと言うなら俺の武勇伝を聞かせてやらないこともないぞ?


「それで、私たち荷車を引いてきたんです。

 だから今晩ここに荷車を置いて良いか許可を貰いに来たんです」


 俺の話を遮るなよ。まあ、後で沢山聞かせてやるか。


「そういうことなんですね。

 ギルドの裏でしたらお好きにご利用ください」

「ありがとうございます!

 じゃあ、あとおすすめの武具屋さんってありますか?

 予算は25000ゼニーで短剣やレイピアが欲しいんですけど」

「それならリンベル武具屋がおすすめです。

 少し高めですが、売値を考えるとコスパが一番高いです」

「良いですね!ありがとうございます!

 コーマ、良かったね!」

「ああ、そうだな」

「じゃあ、私ノエルさんと色々お話したいし、コーマはもう行きたいところに行っていいよ!」


 いや、特に行きたいところは無いんだが……。

 まあ女子トークに俺が混ざるっていうのも野暮ってもんか。


「分かった」

「うん、また明日ね!」

「ああ」


 明日なのかよ。

 どれだけ二人で話す気だよ。


 ギルドを後にし、向かいにある宿屋に来た。

 以前にゴルドと来たとき以来だな。

 まずは部屋を取るか。


「冒険者だ。一人部屋は空いているか?」

「冒険者?……冒険者章を見せてみな」


 この受付のおばさんは愛想が悪いな。

 ポケットから冒険者章を取り出しおばさんに見せる。


「ベルハイムの冒険者章じゃないか。

 トラメリアの冒険者章じゃないなら割引はないよ」

「冒険者章ならどこでも一緒だろ」

「トラメリアの仕事をしていない冒険者に割引してやる筋合いは無いね」


 確かにトラメリアでは仕事していないが……。


「分かった。割引はなくていい。

 それで一人部屋は空いているのか?」

「ああ、空いてるよ。80ゼニーだ」

「ほらよ」


 受付のおばさんから部屋の鍵を受け取り、酒場へと向かう。

 酒場ではベルハイムと同じく若い女のウェイトレスが働いている。


「なあ、ここでもウェイトレスを指名できるんだよな?」

「そうだ。好きにしな」


 良いことを聞いた。

 結局この4日、一度もフェリシアを抱けなかったからな。

 俺の下半身はもう限界寸前だ。

 飯を食ったら朝までヤりまくってやる。

 さて、誰が一番可愛いかなあ。

 席に着きウェイトレスを呼ぶ。


「いらっしゃいませ。本日は……」


 こいつ、この前ゴルドと来たときにゴルドに媚を売ってたやつだな。


「俺のことを覚えているか?」

「えっと……、申し訳ございません。

 私の記憶力がないせいです」


 覚えてないのかよ。

 あのとき俺に対して媚を売らなかったし、俺のことを覚えていなかった罰として他のやつを指名するか。

 今いるウェイトレスはこいつを合わせて3人……。

 金ならある。こいつ以外の2人を指名するか。


「まあいい。

 豚肉、ゴブリン肉、スープ、パンを持ってこい。

 持ってくるのはお前以外のウェイトレスだ」

「かしこまりました。大変申し訳ございませんでした……」


 ふんっ、太客を逃したのは過去のお前の行いが原因だ。

 精々頑張って思い出して後悔するんだな。


 さて、あんなやつのことはもう忘れて、今夜の3Pを楽しみするか!

最後まで読んでいただきありがとうございます!


感想や評価、リアクションをいただけると、とても励みになります!


次回の更新はの2026年1月30日の予定です。

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