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第17話 ゴブリンの村

 目が覚め、いつも通りの集合場所へ行く。

 パーティで依頼を受けたって報酬が少なくなるだけ。

 一人でもこなせるんだからパーティを離脱した方が良い。

 分かってはいる、分かってはいるんだが……。


「コーマ!おはよう!」

「おはよう」

「おはよう、コーマ」

「あぁ……おはよう」

「昨日3人で少し話したんだがな、俺たちはもう遷移魔法のバリアを張ることができるようになったわけだし、いつも俺たちのレベルに合わせてもらってコーマには悪いと思っていたから、以前コーマが言っていたゴブリンの村への攻撃っていうのを一度くらいやってみても良いんじゃないかと思うんだ。

 俺たちの実力じゃコーマの足手纏いだし、コーマへの負担も大きくなると思う。

 だから、コーマがそれでも良ければって思うんだが、どうする?」


 昨日はこれを話していたのか。

 実力が低い者たちだけで一度話をしてから俺に話したかったっていうこと。

 なんだ、俺をハブっていたわけじゃなかったのか。


「俺の負担は気にしなくていい。ゴブリンの村を潰そう」

「コーマならそう言うと思ってた!」


 ギルドへ入り受付へと向かう。


「皆さんおはようございます。本日も森へ行かれますか?」


 今日はユフィが受付か。

 やっぱりみんなといる時は受付してくれるんだな。


「ああ、今日はゴブリンの村へ攻撃してみるつもりだ」

「4名だけでですか!?」

「ああ、そうだが……」

「無茶です!四方八方から矢が射られるんですよ!」

「だが俺たちにはコーマがいる。コーマならそれくらいどうってことない」


 俺ならどうってことない……。

 そうか、そうだよな。

 やっぱり俺は強いんだ。

 みんなに憧れられて、頼られるような存在なんだ。

 みんなは俺より弱い。

 だから俺が守ってやらなきゃいけないんだ。


「確かにコーマさんは昨日ゴブリン10匹を一人で討伐した実力者ですが……」

「10匹……!?」

「えっ、コーマ、昨日一人で森に行ったのか!?」

「ああ、暇だったからな」

「そうか……すまん」

「何を謝っているんだ?」

「いや、こっちの話だ」


 ユフィは地図を持ってきて、ジッと地図を見ている。


「ベルハイムに近い村はゴブリンの精鋭が揃っています。

 中に行くほどゴブリンの子供の割合が高くなるのですが、その分他の村からすぐに救援が来ます。

 退路を確保するためにも、森の外縁に近く、しかしベルハイムからは遠い村が良いでしょう。

 その中で場所が判明しているのは、以前皆さんに発見していただいたこの村のみです」

「あそこか……。俺たちは最近あそこの周りで狩りをしているし、少し数が減っていそうだな」

「ゴブリンの生態は不明な部分が多いのですが、数が減ってもすぐに他の村から来るそうです。

 減っていないと考えた方がよろしいかと思います」

「そうなのか……。

 いつも俺たちがゴブリンを狩っているが、あまり意味はないのか?」

「いえ、そんなことはありません!

 皆さんが森へ行くようになってから街付近でのゴブリンの目撃数は格段に減っています!

 森の中のゴブリンの数が多過ぎるんです」

「なら良いんだが……」

「もし皆さんが村を全滅させ、無事に帰って来れたら星5へ昇格できます。

 一番大切のは皆さんが無事に帰ることです。

 無理だと思ったらすぐに撤退してくださいね」

「ああ、もちろんだ」


 ◇◆◇◆◇


「結構バラけているな」


 ゴブリンの村に到着し、村を偵察しているが、ゴブリンは村の中で思い思いに行動しており、簡単に一網打尽とはいかなそうだ。


「私たち3人は一緒にいないと全面にバリアを張れないし、退路も確保しなきゃいけないからここでゴブリンたちの気を引くわ。

 私たちがゴブリンを倒して騒ぎを起こす。

 その前にコーマは一人でここから村の反対側まで回って、他の村に救援を呼びに行くゴブリンを倒し、その後殲滅。

 コーマには申し訳ないけど、あなたの負担が大きくなるわ。

 こんな作戦しか思いつかなかったけれど、これでいいかしら?」


 一応4人で立てた作戦だが、セレナが出した案をそのまま採用しただけだ。


「ああ、任せろ」

「ありがとう。10分後ゴブリンを倒すわ」


 レオンたちから離れ、村の裏側に回る。

 俺が先に騒ぎを起こすわけにはいかないから絶対にゴブリンに見つからないように移動する必要がある。

 まあ、こんな短い距離でゴブリンと遭遇するわけ……。


『誰だ?』


 あっ、ゴブリン……。


 ウィンドカッターで即座に殲滅。

 まあ、そんなこともある。

 重要なのは騒ぎを起こさないこと。

 ゴブリンと遭遇したって騒ぎになる前に殺せばいいだけだ。

 死体を放置してさっさと村の裏側まで移動。

 俺が村の裏側に辿り着くまでに発見されなければいい。


 村の裏側に到着してからしばらく待っていると、村の中が騒がしくなった。


 始まったか。


 村から散り散りにゴブリンが逃げていく。

 これら全てのゴブリンを倒せたらいいんだが、俺は一人しかいないからそんなことはできない。

 この中で闇雲に逃げていないゴブリンを見つけ出し、そいつを倒す。

 さて、そんなゴブリンは……。


 どれだ?


 全員闇雲に逃げているように見えるんだが……。

 まあ、適当に倒していくか。



 <<レオンSide>>


「おい、ゴブリンがバラバラに逃げていくぞ!大丈夫なのか!?」

「コーマ次第ね……。もしコーマがすぐに戻ってきたら倒しきれなかった証拠。撤退しましょう」

「すぐに戻って来なかったらどうするんだ!?」

「ゴブリンを深追いして倒してくれたってことでしょうね。撤退する必要はないわ」


 撤退するかどうかはコーマの判断次第か。


「それより、ゴブリンが寄ってくるわ。バリアを張りましょう」

「ああ……。バリアは魔臓の消耗が激しいんだよな……」

「泣き言は言わない!もう始めちゃったのよ!」

「大丈夫!コーマならすぐに全部倒してくれるよ!」

「そうだな」


 コーマ、俺たちの生死はお前にかかっている。頼んだぞ。






「おいセレナ!コーマはまだか!?もう魔臓が限界だ!」

「もう少し、もう少しだけ待ちましょう」

「わっ!ねえセレナ!そっちから石が飛んできたよ!?」

「ごめんなさい、私も限界なの……」


 くそっ。

 コーマ、早く戻ってきてくれ!



 <<コーマSide>>


 村からは逃げていくゴブリンは視界が悪いせいもあって数えることはできなかったが、多分50匹くらい。

 そのうちの俺の方に逃げてきた5匹を倒したから、45匹は逃げたことになる。

 ……うん、まあ、大丈夫だろ。


 村から逃げてくるゴブリンはいなくなり、まだ村に残っているのはゴブリンソルジャーのみ。

 さて、レオンたちは……ゴブリンが集まっている場所があるな。あそこか?


 他にゴブリンがいないか確認しながらそこに近づくと、ゴブリンが集まっている中心に向かって石を投げまくっていた。

 ゴブリンたちも何やら叫んでるが、数が多過ぎてそれぞれが何を言っているのか聞き取れないな。

 ウィンドシックルで一掃したいが、前に使うなって言われたしな。


 ウィンドカッターを連射し、ゴブリンを殲滅する。

 もう立っているゴブリンはいないな。


「コーマありがとー。助かったよー」

「ああ、全員無事だな?」

「ちょっと魔臓が痛むが、傷は無い」


 3人の周りを見るが、石は全て3人から少し離れたところに落ちており、足元に落ちている石は一つも無かった。


「じゃあ、解体するか」

「あー、すまん。俺たちはもう限界なんだ。コーマ一人で頼めるか?」


 バリアを張っていただけだろ?

 そんなに疲れるもんか?

 まあ、いい。強者ゆえに頼られる。悪くない。


「ああ、休んでいてくれ」


 3人がお腹のあたりをさすりながら座って休んでいるのを横目に、ゴブリンを埋める用の穴を掘り、解体作業を進めていく。


「ねえ、コーマ。村から逃げていくゴブリンのうちどのくらい倒せたの?」


 フェリシアが質問してきた。

 5匹しか倒せてないなんて言えないし……。


「えっ、あー……まあ、それなりに倒せたと思うぞ?」

「そっか」

「……本当に?他の村に救援を呼ばれてない?」


 セレナ、そんなこと分かるわけないだろ。

 あんなにバラバラにゴブリンが逃げていくとは思わなかったんだよ。


「まあ、大丈夫じゃないか?」

「そう……」


 穴の中に腿を切り出したゴブリンの死体を入れ終え、ウィンドカッターでミンチにしていると、視界の隅に影が映った。

 その次の瞬間、何かが俺を目掛けて飛んでくる。


 反射的に避け背後の木を見ると、そこには矢が刺さっていた。


「ゴブリンの救援が来たわ!しかもすごい数……」


 森の中には数えきれないほどの影がある。

 もしあいつらに一斉に矢を射られたら……。


「撤退!撤退するわよ!」


 セレナが叫び、4人で一斉に出口方面へ走り出す。


「なあ、これ報酬はどうなるんだ!?」

「知らないわよ!あそこにいたら殺されるわ!」


 知らないって……。

 あんなに殺したのに……?


「前にもゴブリンがいるよ!」

「うっ……もう、バリアが……」

「セレナ!大丈夫か!?俺が代わりに張るから休んでいてくれ!」

「えっ、私ももう張れないんだけど……」

「フェリシアは自分でなんとかしてくれ!」

「ちょっと!?」


 魔素は十分にチャージできた。

 前に回り込まれたゴブリンまで少し距離が離れているが、ウィンドシックルなら!


「ウィンドシックルを使ってもいいよな!?」

「この状況がなんとかなるならなんでもいい!」


 よしっ!言質は取った!

 俺の全力!!


「ウィンドシックル!!」


 俺の手のひらから魔素の鎌が飛んでいき、前で弓矢を構えながら待機していたゴブリンを真っ二つに引き裂く。

 ゴブリンの周りの草木も薙ぎ倒され轟音が鳴り響く。


「すげえ……」


 レオンからは感嘆の声が漏れ、フェリシアとセレナは絶句して立ち尽くしている。

 ふっ……、まあバリアを張る程度で消耗していたお前らにはできない芸当だろうな。

 後ろのゴブリンたちも、この惨状を見たらもう追ってくることはできまい。


「今のうちに脱出するぞ」


 俺が先頭を走り、その後に3人が続く。

 そうだ、これだよ。

 これが俺のパーティだ!!

最後まで読んでいただきありがとうございます!


感想や評価、リアクションをいただけると、とても励みになります!


次回の更新はの2026年1月13日の予定です。

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