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第14話 偵察

「くれぐれも、戦闘しなければいけない状況に陥る前に撤退してくださいね」

「もうそんなヘマはしないさ」


 今日は俺、フェリシア、レオン、セレナの4人で初めて星3の依頼を受ける。

 前回俺が1人で受けた依頼と同じ偵察の依頼だ。

 もう祭壇なんて持ち帰らないし、戦闘もしない。

 今日は大量の報酬を支払わせてやる。


「偵察って言っても、どんなことをすればいいんだ?」

「森にいるゴブリンの情報を集めてください。

 未探索領域にあるゴブリンの村の位置や規模などの情報、倉庫にある食料の量などの情報に対して報酬をお支払いいたします。

 既知の村であっても、その情報に更新があれば報酬をお支払いいたします」


 レオンの質問に対して、ユフィが森の地図を持ってきて説明する。

 改めて聞いて気付いたが、嘘をついてもバレなさそうだな。

 職員は森に行かないんだし。


「情報は他の冒険者の情報と照らし合わせて精査します。

 情報が誤っていても罰金はございませんが、星4への昇格までの時間が長くなったり、その後の報酬が減額されたりする恐れがありますのでご注意ください」


 あれ、心を見透かされた?ユフィと以心伝心?

 まいったな、いつの間にかユフィに惚れられていたか。

 それならユフィの気持ちに応えないわけにはいかない。

 俺のハーレムの一人目はユフィ、君だ。


「位置っていうのはどうやって報告すれば良いんだ?」

「森の中心の大きな木や森の近くの川や川の支流、街道とコンパスを頼りに大まかな位置を報告してください」

「分かった。やってみるよ」

「はい。お気をつけて」


 レオンの質問が終わり、ようやく森に行けるようになった。

 森に行くのは久しぶりだ。

 あの危険な場所こそが俺に合う場所だ。

 森の探索を終えたら霊峰や巨大なダンジョンなんかにも行きたいな。


 ◇◆◇◆◇


 森に到着した。

 今いる場所は街から見てちょうど反対側で、目の前には未探索領域しかない。

 さあ、俺のパーティの初冒険の始まりだ!


「コーマ待って!」

「フェリシア?どうした?」

「まだ周囲の確認が終わってないよ!

 ゴブリンはどこに潜んでいるか分からないんだよ!」


 そういやゴブリン講習でそんなこと言ってたな。

 前に来たときは隠れているゴブリンなんていなかったけど。


「森の奥の方にもゴブリンは見当たらないな」

「木の上にもいなさそうだよ!」

「森以外でも見える範囲にはいないわね」

「よし、慎重に森に入ろう」


 そう言ってレオンを先頭に森に入っていく。

 まずい、このままじゃリーダーをレオンに取られる!


「俺は前にも森に来たことがあるから、俺が先頭を歩く」

「あぁ、じゃあ頼む」


 リーダーっていうのはパーティの先頭を歩くものだからな。

 さあ、パーティメンバー達よ、俺についてこい!




「ちょっと、コーマ止まって!」


 森を順調に進んでいると、フェリシアに呼び止められた。


「そんなに速く歩けないよ!もっとゆっくり歩いて!」


 後ろを見てみると、フェリシアたちと少し距離ができていた。

 そんなに速く歩いてないんだから、ちゃんと付いてきてほしいんだけど。


「見つけた」


 セレナが指を差した方向を見ると、遠くに何やら動いているものがいる。

 あれは……ゴブリン?


「流石セレナだ!よくやった!」

「うん、お手柄だね!」

「ありがとう、二人とも」

「よし、じゃああいつを追いかけるか!」

「うん!」


 えっちょっと、俺まだ何も言ってないんだけど。

 勝手に行く方向決めないでよ。

 って、もう歩き始めてるし。

 ……まあ、いいか。

 俺もそうしようって言おうと思ってたし。


 ゴブリンに気取られないように、木の陰に隠れながらゆっくりと追いかけていくと、家らしきものがいくつか並んでいる場所を発見した。


「あれがゴブリンの村?」

「確認してみる。待ってて」


 セレナがそういうと、近くの木をするすると登り始めた。


「建物は全部で10軒、畑もある。

 ゴブリンは……30匹くらいかな」

「ナイスだセレナ!他には何か見えるか?」

「建物は何種類かあるんだけど、食料庫っぽいものが一つある。

 扉が閉まっているから、中の様子は分からない」

「よし、情報としては十分だろ。ここがどこだか分かるか?」

「私分かるよ!南に川があって、一番近い出口は西だね!」

「川の方はゴブリンと出くわしそうだな……。

 西へ行って森から脱出するか」

「えっ、もう森から出るの!?」

「ああ、そうだが……。

 コーマは森でまだ何をするつもりなんだ?」

「いや、何かっていうわけじゃないんだが……」


 せっかく森に来たのに、もう脱出するのかと驚いただけなんだが。

 まだ何もやってないし。


「村を一つ見つけて、位置も分かった。

 これ以上ない成果だと思うんだが」


 成果としてはそうなんだが……俺は何もしていない。

 ゴブリンを見つけ、村の規模を確認したのはセレナ。

 村の位置が分かるのはフェリシア。

 ……あれ、レオンも何もしてない?

 じゃあいっか。


「いや、なんでもない。脱出しよう」


 ◇◆◇◆◇


 ギルドに戻ると、今朝と同じようにユフィが受付にいた。


「皆さんおかえりなさい。森はいかがでしたか?」

「ゴブリンの森を見つけたぞ!もちろん戦闘は無しだ」

「本当ですか!?すごいですね!」


 そう言って、ユフィが森の地図を持ってきた。


「今朝の地図とは違うんだな」

「あの地図は清書用でして、こちらは冒険者の皆さんからいただいた情報を書き込むための地図です」


 地図を見ると、清書用の地図とは違い、雑多な情報が色々と書き込まれている。


「今回発見された村はどこにある村でしょうか?」

「ここから森に入って、まっすぐ東に向かってから、ここでゴブリンを発見したんだ。

 そこから南東に向かって、歩いた距離はこのくらいだから、村があるのはこの辺りだね!」

「よく歩いただけで距離が分かりますね……すごいです」

「目印になる大きな木があるんだから、これくらい簡単だよー!」

「他の冒険者もこの辺りに村があると報告をしていますが、フェリシアさんの報告が一番細かいです!」


 地図には何個も円があり、その円の中のどこかに村があるっていう印なんだろう。

 フェリシアが差した場所はいくつもの円の中に含まれており、今書き込まれた円はその中で最も小さい。


「村の規模はいかがですか?」

「建物が10軒あったわ。一つは食料庫で、他の建物と同じくらいの大きさね。

 トイレっぽい建物と一際大きい建物が1軒ずつあって、家っぽい建物は7軒だったわ」

「大きい建物は村長の家ですね。

 他に建物がある場合何軒くらいありそうですか?」

「ないわ。村の全体を確認できたから」

「えっ、どうやって村を観察したんですか?」

「木に登ったわ。村とは距離があったし、レオンたちがいるから安心して登れたわ」

「セレナは木登りが得意なんだ。今日だってセレナなら5秒あれば降りれるくらいの高さまでしか登ってない」

「それなら安心ですね!」


 ゴブリン講習で、木に登ってるときにゴブリンに襲われる可能性があるから登るときは細心の注意を払えって言われたっけ。


「レオンが下で受け止めてくれるから、もっと速く降りられるわ」

「えぇ……昔より体重増えてないか?」

「失礼ね!増えてないわよ!」


 ……幼馴染って良いなあ。

 俺にも1人幼馴染がいたが、いつの間にか疎遠になってたからな。

 高校までずっと同じ学校だったはずなんだが。


「ゴブリンはどのくらいいましたか?」

「農作業をしていたのは30匹くらいで、そのうち子供は15匹よ」

「そうなると、その村だけでも100匹以上はいそうですね……」

「そんなにいるのか!?」

「はい、森の中を散策していたり、家の中で仕事をしているゴブリンがいるので、総数ではこのくらいになります。

 もっと大規模な村になると、一つの村に1000匹以上いることもあります」


 ゴブリンってそんなにいるの?

 じゃあ1匹や2匹殺したくらいじゃ何も変わらないのか。


「他には何かありますか?」

「これで全部よ」

「かしこまりました。報酬は……詳細に報告していただいたので、1000ゼニーです。

 どのように分配しますか?」

「1000ゼニーも貰えるのか!?」

「はい、これだけ詳細な情報を持ち帰れる冒険者はいらっしゃいません」

「分配って今朝は等分って話したけど、これだけ報酬が貰えたのはセレナとフェリシアのおかげだろ?

 二人は本当に等分でいいのか?」


 おいレオン、俺の取り分が減るだろ。

 変なこと言うんじゃねえ。


「みんなのおかげでじっくり村を観察できたんだから気にしなくていいわ」

「私も、1人じゃ森に入るなんて考えもしなかったから等分がいいな」

「二人とも、ありがとう!」


 良かった……。

 マジで良かった……。

 1000ゼニーを4人で等分するから俺の取り分は250ゼニー。

 外壁工事の報酬が150ゼニーだから、今日の報酬は破格だ。


「よしっ、じゃあせっかく大金を得たんだし、宴会するか!」

「いいわね!」

「うん!楽しみ!」

「コーマも参加するよな?」

「もちろんだ!」


 冒険の後と言えば宴会!

 やっぱり冒険者といえばこれだよな!


 ユフィから報酬を受け取り、冒険者の宴会会場の定番である、いつも俺が泊まっている宿に向かう。

 ……そういえば、宴会と言えば男女の仲が深まるイベントだよな?


「ユフィも参加しないか?」

「まだ日が高いですし、私は仕事がありますから……」

「そうか……」


 くそっ、またユフィに誘いを断られた……。

 まあ、いいか。

 俺にはフェリシアもいる。

 今日はフェリシアとしっぽりむふふな展開を繰り広げるか!

最後まで読んでいただきありがとうございます!


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