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第13話 死体処理

キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!

「ゴブリンが来たぞーー!」


 キタァァァァ!!!

 外壁工事の依頼を再び受けるようになってから数日、ずっとこのときを待っていた。


「3人とも!今こそ特訓の成果を見せるときだ!」

「うん、やってみるよ!」

「ああ!」


 3人ともウィンドボールしか使えなかった数日前とは違い、ウィンドカッターは使えるようになった。

 ゴブリンに負けることはない。


「おやっさんは避難しないんですか!?」

「ああ、お前たちは門番を呼んできてくれ」 


 外壁工事をしていた職人たちは逃げたが、ブルクだけが残った。


「逃げなくていいのか?」

「若造にだけ戦わせて逃げるなんて真似、もうできねえよ」


 逃げる労力が無駄になるだろうし、邪魔にならなきゃいても良いが……、まあ、どうでもいいか。


 ブルクと一緒に工事途中の壁の後ろに下がり、3人は壁の前で迎撃準備をしている。

 少し待っていると、ゴブリンがよく見える位置まで迫ってきた。

 数は……。


「ゴブリンは15匹。全員はぐれだな。痩せてもいない」


 ブルクに先に言われた。

 ゴブリンの巣の規模が大きくなると戦闘訓練を積んだゴブリン、ゴブリンソルジャーが出現する。

 はぐれっていうのは、ゴブリンソルジャーとは違い、戦闘訓練を積んでいないゴブリンが外に出てきたゴブリンの名前だ。

 戦闘能力が低く、装備もろくに整っていないが、自分たちが優位だと思ったら襲ってくる。

 今回は人数が有利だから襲ってきたんだな。


「1人5匹だ!落ち着いて対処すれば簡単に勝てるぞ!」

「セレナのところを重点的に攻めてくるぞ!

 全員でカバーするんだ!

 投石にも気をつけろ!」

「なんで私!?」


 は?なんだこのおっさん。

 魔法を使えないくせに指示出してんじゃねえよ。

 っていうか、ゴブリンの武器は斧とか、牙とかだろ。

 投石なんて……。


「うわっ、本当に投げてきた!」

「ちょっと、どうすればいいの?」

「遷移魔法で弾くんだ!できそうにないなら壁の後ろに来い!」


 3人とも遷移魔法で弾くことはできなかったのか壁の後ろに来た。


「ブルクさん、次はどうすれば?」


 なんで俺じゃなくてブルクに聞くんだよ……。


「手持ちの石が無くなったら一斉に近づいてくる。

 そこを狙って倒すんだ」

「分かりました!

 じゃあ、俺が真ん中に来たやつを倒すから、セレナは左、フェリシアは右を頼む」

「分かったわ」

「うん、任せて!」

「……コーマは戦わないのか?」

「ああ、今回は3人に任せる」

「……ゴブリンは15匹いるんだぞ」


 15匹って言ってもゴブリンだろ?

 ウィンドカッターがあれば楽勝だろ。


「ゴブリンが近付いてきた!行くぞ!」


 3人が壁から飛び出し、一斉にウィンドカッターを放つ。

 先頭の3匹はその場に倒れたが、次のゴブリンが迫ってきている。


「早く次のウィンドカッターを放て!」

「そうは言ったって……」


 ゴブリンが持つ石斧がセレナに振り下ろされる。

 そのとき、ゴブリンへ石が飛んでいき、後ろへ大きく吹き飛ぶ。

 横を見るとブルクが石を投げ終えたポーズをしていた。


「コーマも出ろ!あいつらだけじゃ誰かが死ぬぞ!」


 魔法も使えないやつが俺に指示するんじゃ……いや、今はブルクの言う通りに従うか。


 セレナの横に並び魔素を溜め始める。


「3人はウィンドカッターを連発してくれ!間は俺が埋める!」

「ああ!」

「任せて!」


 3人がウィンドカッターを再び放ち、また3匹のゴブリンが倒れる。

 みんなが再度ウィンドカッターを放つまでに襲いかかってくるゴブリンは……2匹!


 両手からウィンドカッターを出し、2匹を仕留めると、すかさず3人がウィンドカッターを再び放ち、残りのゴブリンは3匹となった。


『くそっ、逃げるぞ!』


 ゴブリンは逃げるのか。

 ふぅ、俺達の勝ちだ。


「絶対に逃がすな!全滅させろ!」


 はあ!?

 逃げるんだから追わなくていいだろ。

 って、考えている間に3人が走ってゴブリンを追いかけ始めた。

 ……くそっ、今は従っておくか。


 ゴブリンを走って追いかけながら魔素を溜め続ける。

 魔素を貯める時間があればウィンドカッターなんて使わないんだよ。

 ウィンドシックル一発で3匹とも倒してやる。


「3人とも下がれ!俺がやる!」


 3人の前に立ち、魔臓に溜まった魔素を手のひらから一気に放出する。


「ウィンドシックル!!」


 俺が魔法を放つと轟音が鳴り響き、放った魔素が3匹のゴブリンの胴に命中すると、ゴブリンの身体は上下に分断された。


「おおお!すげえ!」

「流石コーマだね!」

「すごい……」

「まあな」


 やはり俺の実力はとてつもなく高い。


「おい、なんだ今の音は!?」

「俺のウィンドシックルだ。

 俺の魔法は凄すぎて轟音が出てしまうんだ。

 ゴブリンは全滅させたぞ」

「……そうか、よくやった」


 反応薄すぎだろ。

 もっとさ、さっきの非礼を詫びるとかあるだろ。


「ゴブリンの死体の処理方法は知っているな?

 スコップを持ってくるか?

 それとも遷移魔法で穴を掘るか?」


 処理方法?

 あー……ゴブリン講習でそんなの聞いたな。


「俺達はスコップを取ってきます。コーマはどうする?」

「俺は遷移魔法でいい」

「そうか、じゃあ取ってくるな」


 3人は街へと戻り、俺とブルクが残った。


「遷移魔法での穴の掘り方は分かるか?」

「……そんなの、こうすりゃいいだろ」


 魔素を少し溜め、ウィンドエッジを地面に向けて放つ。

 地面に浅く切れ込みが入ったが……ウィンドエッジだけで穴を掘ると長い時間が掛かりそうだ。


「魔素をぶつけるんじゃなくて、スコップ状にして掘り返すんだ」

「スコップ状ってどうやってやんだよ……」


 魔素は体外に出すと途端にコントロールが難しくなる。

 だからウィンドカッターやウィンドシックルのときは手から放出しているんだが……、スコップ状で、しかも掘り返すって……。


 何回かやってみたらできたわ。

 思ってたよりも簡単じゃねえか。

 スコップを長くすることもできるが、その分魔素の消耗が激しくなるから、足元に穴を掘るくらいしておいた方がいいな。


「穴を掘ったぞ。次は?」

「……ゴブリンの身体を細切れにして穴に入れる。

 太もも部分は食えるから別に取って血抜きだ」


 うげっ、細切れにすんのかよ。

 やりたくねえ。


「いや、その前にゴブリンの顔を触ってみろ」

「はあ?なんでそんなこと……」

「いいからやってみろ」


 先程倒したゴブリンのそばで地面に屈む。

 ゴブリンの身体から溢れた血の生臭い匂いが鼻に入る。

 地面に伏しているゴブリンの顔を触るため、ゴブリンの身体をひっくり返すと、その顔は大きく目を開け、白目を剥き、何が起こったのか分からないというような表情をしていた。

 ゴブリンの身体はまだ温かいが、徐々に熱を失っている。


「それが、お前が殺した生き物だ」


 俺が、殺した……?

 俺が殺したのはただのゴブリンで……。

 いや、この生き物もゴブリンだ。

 だけど、ゴブリンだけど、ゴブリンじゃないんだ。

 俺の知っているゴブリンは、ゲームのモブで、いくら殺してもすぐ別のが出てくるような……。

 でもこのゴブリンもゴブリンで。


「それが生き物を殺すということだ。これからは殺す覚悟を持って殺せ」


 殺す覚悟ってなんだよ。

 これが殺すっていうことなら、もう二度と殺したくねえよ。




 穴を掘ってゴブリンの細切れ死体を入れ、血を残さず全て穴の中に入れる。

 そんな作業を5匹分もやった頃から、何も感じなくなった。

 最初はきつかったが、それももう慣れた。

 今はもうここの骨は硬いからウィンドエッジを使わなきゃいけないだとか、そんなことしか考えていない。

 これから積極的にゴブリンを殺したいとは思わないが、慣れるとこんなもんか。


「ブルクさん、遷移魔法に慣れた人ってどうやって掘るんですか?」


 レオンがスコップで穴を掘りながらブルクに質問している。


「俺が知っているのだと、何箇所も同時に掘って一つの大きな穴を作ったり、20mも離れたところから掘っていたり、とかだな」


 なんだそれ。

 体外の魔素を一箇所コントロールするだけでも難しいのに、それを何箇所も同時に?

 しかも20mも離れたところでコントロール?

 どれだけの魔素が必要なんだよ。


「すげえ、俺達とは比べ物にならないですね。

 今その人たちはどこにいるんですか?」

「あっ、あー……。いや、この前ゴブリンに殺されたんだ」

「えっ、そんな人でもゴブリンに負けるんですか?」

「森で戦闘しているときに背後から弓でやられたらしい。

 やっぱり何箇所も同時に掘るって難しいのか?

 俺は魔法が使えないからよく分からなくてよ」


 難しいなんてもんじゃねえよ。

 いや、俺ならできるようになるのか?

 何箇所もって言ってもせいぜい3,4箇所だろ?

 それくらいならなんとか……。


「俺達は一箇所すら掘れませんから、雲の上の存在なんだな、としか。

 ブルクさんはそんなに詳しいのに、なんで魔法が使えないんですか?」

「昔、魔臓に詳しいやつに診てもらったんだが、魔法を使うには魔臓が弱すぎるらしい。

 どんなに魔臓を鍛えようとも魔法を使えるようにはならないんだと」

「そんなことがあるんですね」

「ああ、そいつも驚いていたよ。

 お前たちは魔法が使えるんだから、沢山鍛えて強くなってくれ」

「……俺達はこれからどうしたらいいでしょうか?

 これからもゴブリンと戦える自信なんてありません」

「レオンはゴブリンと戦いたいのか?」

「いえ、俺はセレナと自分の身を守れればそれで十分です」

「それなら場数を踏むことだ。

 星3に昇格して、ゴブリンとの戦い方が分かれば、あいつらに負けることはなくなる」

「セレナ……星3に昇格してみるか?」

「うん、私もレオンと一緒に昇格したい」

「ブルクさん、ありがとうございます!

 俺達星3の昇格試験をもう一回受けてみます!」

「ああ、この仕事のことは気にしないで大丈夫だ。

 お前たちほどの人材は無理でも、なんとかなるさ」


 よっしゃ!レオンとセレナは星3の昇格試験を受けるぞ!

 俺の幸運に感謝だ。

 そうなったら後は……。


「お前も昇格試験を受けるよな?」

「うん……そう、だね」

「じゃあ明日受けよう!決まり!」

「えっ、うん……分かったよ……」


 よし!この3人が昇格試験に合格すればコーマパーティの完成だ!

最後まで読んでいただきありがとうございます!


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