表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/54

第9話 合流

 外壁工事の仕事を始めてから数日が経った。

 あれからゴブリンが外壁に来ることは無かった。

 あのときのゴブリンを殺した冒険者の名前は覚えたが、それだけだ。

 俺にはどうすることもできなかった。


 今日も昨日と同じことを繰り返す退屈な一日が始まる。

 ……俺の異世界転生生活ってこんなもんなのか?

 って、あれ?あの姿は……。


「フェリシア!?」

「あっ、コーマ!私も今日から外壁工事に参加するよ!」


 目の前の人は本当にあのフェリシアなのか?

 なんだか数日前よりも可愛くなった気がする。


「私もようやく消滅魔法を覚えることができたよー。

 あれ難しいね。

 ブブブッって振動させるのが難しくて、何日もかかっちゃった。

 コーマは半日で習得できたんだもんね。

 やっぱり凄いなー」

「ああ、まあな」

「コーマは冒険者になってからずっと外壁工事しているの?」

「そうだ」

「良いなあ。

 私は魔法講習で生成魔法しか習得できなかったから、ずっと側溝の掃除してたんだあ。

 臭いし、汚いしで最悪だったよー」


 そう言えば、側溝掃除依頼があったな。

 生成魔法さえ使えれば受注できる依頼で、報酬が低いやつ。

 初日で消滅魔法まで使えるようになった俺には無縁の依頼だ。


「おー、コーマ。って、そっちは新人か?」

「うん、今日から外壁工事に参加するフェリシアだよ」

「レオンだ、よろしくな」

「私はセレナよ。フェリシアは冒険者になったばかり?」

「うん、そうだけど……どうしてわかったの?」

「それは……肌を見たら、かな」


 セレナの肌は綺麗な白い肌だ。

 それに対してフェリシアはニキビや赤みがところどころにある。

 そういえばユフィとかギルド職員も綺麗な白い肌をしていた。


「あっ、あはは、そうだよね。

 こんな汚い肌しているのなんて魔法が使えるようになったばかりの人だけだよね」

「だっ、大丈夫よ!

 3カ月もすれば綺麗になるわ!

 私も魔法を覚えるまでは肌汚かったから!」

「そうそう、セレナは魔法を使えるようになってからめっちゃ可愛くなったから!

 あとほんの少しの時間だよ!」

「ちょっと、昔の私も可愛かったでしょ!」

「ああっ、そうだったな!フェリシアは今でも十分可愛いぞ」

「あはは、ありがとね」


 なんかフェリシアに魅力を感じなかったのは肌のせいだった?

 確かにそんな感じはする。

 もしフェリシアが真っ白な肌になったら……うん、俺の最初のハーレムメンバーとして申し分無いな!


「お前さんがフェリシアか?」


 ギルドの方向からゴルドが歩いてきた。


「はい、フェリシアです!今日からよろしくお願いします!」

「俺はゴルドだ。責任者は俺だが、何か分からないことがあったらレオンに聞け」

「分かりました!レオン、よろしくね」

「おう!」


 ◇◆◇◆◇


 退屈な労働が終わった。

 俺とフェリシアは今日の報酬を受け取るためにギルドへ向かっている。

 レオンとセレナはまとめて報酬を受け取っているらしく、今日はギルドに寄らないと言っていた。


 「フェリシアはどこに泊まっているんだ?

 側溝掃除じゃ宿に泊まるのもギリギリじゃないか?」


 外壁工事をしていても、ギルドの宿に泊まっていれば毎日3食食べていればギリギリだ。

 外壁工事よりも報酬が低い側溝掃除じゃ、宿には泊まれないはずだ。


「えーっと、ギルドの近くだよ!」

「ギルドの近くって、ギルドの宿?」

「うん、そんな感じだよ」

「側溝掃除の報酬ってそんなに高くないよね?宿泊代払えてる?」

「うん、まあ……」


 この感じ……覚えがある。

 嘘を吐いて誤魔化しているんだ。


「嘘吐いてるよね?本当はギルドの宿じゃないでしょ」

「……うん」

「本当はどこに泊まってるの?」

「言っちゃ駄目って言われてるんだ、ごめんね」


 言っちゃ駄目ってなんだよ。

 また俺だけには教えちゃいけないとかってやつかよ。

 そんなのはもう前世だけで十分だ。


「誰にも言わないからさ、教えてよ」

「それは……駄目だよ。私からは言えない」

「良いじゃん、俺達の仲でしょ?」

「うん……。じゃあギルドの人が良いって言ったらね」


 ギルド?なんでギルドが出てくるんだ?


「ちょうどギルドに着いたし、ちょうどいいね」


 ギルドの扉を開けると、まだ仕事完了の報告には早い時間だったのか、俺達以外には誰もいなかった。

 受付嬢は……おっ、今日はユフィがいる。

 ユフィと話すのはここに来た初日ぶりだ。


「フェリシアさん!……とコーマさん。

 一日お疲れ様でした。

 仕事の完了報告ですね」

「ああ、それもなんだが、フェリシアにどこに泊まっているか聞いたら、ギルドの人が良いって言わないと教えられないって言うんだ。

 どういうことなんだ?」

「そうですか……。

 フェリシアさんは別の街からいらっしゃったため、一時的にギルド職員の寮に住んでいます」


 寮なんてあったの?

 寮ってことは宿よりは安いんだろうな……。


「それなら俺もそこに住まわせてくれ!

 俺も他の街から来たばかりで宿に泊まっているんだが、宿代が高くて厳しいんだ」

「それは支部長の判断が必要になりますので、私の判断ではできかねます」


 支部長ってあいつか……。

 あいつ上から目線で偉そうだし、殺しの脅しをしてきたから嫌いなんだよな。

 それに、あいつの許可は貰える気がしない。


「そこをなんとか、ユフィの判断だけで許可できないか?」

「規則ですので」

「はあ……。規則ねえ」


 ギルドの職員って何かあったら規則って言えば良いと思っていないか?

 本当に面倒だな。


「なあ、ユフィ。

 規則なんて守って、それで大事なもんが失われたらどうするんだ?

 俺がこのギルドからいなくなっても良いのか?

 俺を寮に泊まるのを許可するだけでいいんだぞ」

「えっと……」

「ギルドを出ていくならそれでも構わん。お前の首は置いていってもらうがな」


 声の方を見ると、そこには支部長と受付嬢が階段から降りてきたところだった。

 こいつ、また俺に死ねって言ったのか?


「現状、お前は大して戦力になっていない。

 魔法を覚えてから一週間。

 消滅魔法と遷移魔法をたった半日で習得したと聞いたから期待していたが、結局こんなもんか」

「はあ!?俺が期待外れだとでも言いたいのか!?」

「その通りだ」


 ああ、こいつは絶対殺す。

 今決めた。

 俺が強くなったらまず最初にこいつを殺してやる。

 明日からは魔法の特訓だ。


 支部長とはもうこれ以上一緒の空間にいたくない。

 ギルドから出ようと扉の方へ振り返る。


「ギルドから抜けるのか?それなら今ここで首を落とすが」


 ……くそっ。今はまだこいつには敵わない。


「ギルドからは抜けない」

「ならいい」


 背後から階段を登っていく足音が聞こえる。

 すぐにお前より強くなってやるからな。

 俺の経験10倍のスキルで。

最後まで読んでいただきありがとうございます!


感想や評価、リアクションをいただけると、とても励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ