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第7話 登録

 ユフィに連れられギルドの3階に来た。

 ギルドの1階には受付と大ホール、2階には魔法講習の座学を受けた部屋がいくつかある。

 3階にもいくつか部屋があるが、その造りは2階とは違っている。

 二人きりになれる場所は他にも沢山あるだろうし、告白とかではなさそう。

 別にちょっとしか期待してなかったけど。

 ……ちょっとだけだからね!


 そんなことを考えていると、ユフィは3階の一番奥の部屋の前で立ち止まりノックをした。


「支部長、ユフィです。入ります」


 中に入ると、手前にはソファとローテーブル、その奥には大きな木製の机がある。

 そして、その机で椅子に座りながら仕事をしている若い長髪の男性がいる。

 部屋が豪華だし、さきほどユフィが支部長と言っていたから、この人がここで一番偉い人なんだろうな。


 ……美人なお姉さんでもナイスガイなマッチョなおじさんでもないのかよ。


「こちらのコーマさんが魔法講習中に自力で遷移魔法を発動しました」


 遷移魔法?

 ……ああ、あれが遷移魔法だったのか。

 座学のときにデモンストレーションで一度見せられたが、念動力みたいなもんかと思って大して興味が出なかった。

 言われてみれば、先程左手が弾かれたときの様子はデモンストレーションのときと同じ感じだった。


「そうか。コーマ、今はなんの仕事をしている?」


 仕事?そういえばゴルドにも聞かれたな。


「まだ昨日この街に来たばかりだ」

「なら元の街に戻る予定はあるか?」

「当分は戻るつもりはない」

「それなら冒険者登録をするということでいいな?」

「……ああ、そのつもりだ」


 なんで今冒険者登録の話をするんだ?

 話の流れが全然分からない。


「それならこれからはギルドに併設されている酒場兼宿屋に泊まれ。

 冒険者なら少し割引される。

 今後家を借りたり、持ったりするときには必ずギルド職員に伝えろ」


 割引されるなら泊まることについて異議は無いんだが、引っ越ししたら言わなきゃいけないの?

 なんで?

 っていうか、なんでこいつこんなに偉そうな口調なんだよ。

 俺はまだ冒険者登録してないんだぞ。


「伝えなかったらどうなるんだ?」

「探し出して処刑する」

「は!?処刑??」


 なんで住所を伝えなかっただけで処刑されなきゃいけないんだよ。


「なんだよ、それ。

 そんなんだったら冒険者登録なんてしねえよ」

「お前に選択権は無い。

 先程聞いたのは冒険者と兼業するのか専業になるのかを聞くためだ」

「ふざけんなよ……。

 そんなの聞いていない!

 冒険者登録なんてしない!」

「そうか……」


 支部長と呼ばれた男は立ち上がり、俺に手を向けてきた。


「それなら今すぐ死ぬか?」

「は?何言って……」


 気圧されて少し下がると、首に何か温かな感触が伝わる。

 首に触れてみると、手に赤い液体が付いていた。

 まさか……血!?


「それ以上は動かない方が良い。

 首が地面に落ちるぞ」


 ピアノ線が張られていた?

 いや、さっきこの部屋に入ってきたばかりなんだ。

 そんなはずはない。


「さて、もう一度聞こう。

 冒険者登録をするか、今死ぬか、どっちだ?」


 ハーレムを作って楽しむ前に死ぬわけにはいかないし、首が切られたトリックが分からない今、まだこいつに勝てる気がしない。

 強くなったら絶対復讐してやる。


「冒険者登録する」

「よし」


 そう言って、こいつは椅子に座り直した。

 首の後ろのやつは解除されたのか?

 今なら走って逃げられるか?

 ……いや、やめておくか。


「後でユフィに冒険者登録の手続きをしてもらえ。

 まずは教会に行って、女神イリスに魔法を使って犯罪を犯さないことを誓ってもらう。

 もし犯罪を犯したら処刑だ」


 また処刑かよ!

 住所変更の連絡をしなかったら処刑、犯罪を犯したら処刑って……命の価値が軽すぎるだろ!


「名前はコーマだったな」


 そう言って羊皮紙に羽ペンで何かを書き始めた。

 こいつは俺の名前を知っているのに、俺はこいつの名前を知らないな。


「お前の名前は?」

「アインだ」


 アインか。

 将来、絶対殺してやるからな。

 覚えておけ。


 ◇◆◇◆◇


 アインと共に教会へ行き、神父の前で犯罪をしないと誓わされてからギルドに戻ってきた。

 教会の中には少し姿は違ったがイリスの像があった。

 イリスってこの世界では本当に女神として敬われているんだな。

 あんな気の利かない女神なのに。


 異世界転生のときに女神が出てきた場合は女神がところどころで関わってくるのが定番なのに、さっき教会に行ったときには出てこなかった。

 あのとき出てこなかったらいつ出てくるんだよ。

 俺のハーレムの最後の一人はイリスと思っていたが、ここまで放置されるならイリスのハーレム入りは無しだな。

 あの真っ白な空間で1人で寂しく長い時間を過ごしているんだな。


 俺のハーレム候補は今のところフェリシア、ユフィ、ノエルの3人だ。

 ノエルは別の街に住んでいるから、ハーレムを形成してからノエルを迎えに行く。

 フェリシアはいつでも落とせるから放置でいい。

 目下の目標は……ユフィだ。

 そして今はユフィと冒険者登録をするという接近イベントの最中だ。


「冒険者登録料として20000ゼニーが必要なのですが、今手元にございますか?」


 ……えっ?


 20000ゼニー?

 そんな額持ってないんだけど。

 転生してきたときポケットに入っていたのは2000ゼニーだけ。

 そこから食事や宿代で減っている。

 20000ゼニーなんて持っているわけない。


 この場合どうなるの?

 お金持ってなくて冒険者登録できないから処刑?

 そんな馬鹿な。


「手元に無くても問題ありませんよ!

 その場合、初回登録料はギルドで負担し、その後の仕事の報酬が10%天引きするという方法で返済していただくことになります」


 なんだ、そんな方法があったのか。

 それなら処刑される心配は無いな。


「じゃあその方法で」

「かしこまりました。

 では次に遺書を作成していただきます。

 コーマさんが仕事の最中にお亡くなりになってしまった場合に、遺品や金銭の取り扱いを記載します。

 ご家族がいらっしゃる場合はそこに届ける場合が多いのですが、いかがしますか?」


 遺書なんて書くの?

 自分が死んだときのことなんて考えたことないし、家族もいないから届ける相手がいないんだけど。

 どうしよう……。

 いや、待て。

 さっきから俺はなぜ普通に受け答えしているんだ。

 俺はこの世界でハーレムを作るんだろ。

 もっと女がドキドキすることを言わないと。


「俺が死んだ場合は……ユフィ、君が全部貰ってくれ」


 キマった……。


「はい、では冒険者ギルドで処分させていただきますね」

「いやいや……」

「はい?」


 そんなきょとん顔するなよ。

 変なことを言っているのはお前だからな。


「冒険者ギルドじゃなくて、ユフィ個人に渡すっていうことだ。

 どうだ?貰ってくれないか?」

「えっと……」


 男に口説かれるなんて人生で初めてか?

 まあ、この年じゃ仕方ないな。

 しかもこの先、俺という男を知った後では、他の男なんて例えどんな言葉を言われようとも目に入らないだろう。


「申し訳ございませんが、ギルドの規則でそういったことはできない決まりとなっています」


 また規則か。

 ノエルも規則がどうのとか言っていたな。

 本当に煩わしい。


「冒険者ギルドで処分する、ということでよろしいでしょうか?」


 ああ、なんかもうどうでもよくなってきた。

 本当に上手くいかないことばっかりだ。


「ああ、好きにしてくれ」

「かしこまりました」


 くそっ、俺みたいなイケメンに口説かれているんだからもっと嬉しそうにしろよ。


「では登録手続きはこれで完了です。

 魔法講習の時間はまだ残っていますので、広場に戻っていただいて構いません。

 遷移魔法についても冒険者登録をして支部長から許可を貰っていると言えば他の職員でもお教えすることが可能です。

 講習の終了後にはこちらにお越しください。

 その際に冒険者章をお渡しします」


 えっ、もう登録終わり?

 魔力測定とか、測定機が壊れるっていうイベントは?

 冒険者登録だよ?

最後まで読んでいただきありがとうございます!


書いている途中で気づきました。

第一章のセラをギルド長と書いていましたが、正しくはトラメリア支部長でした。

過去のエピソードを修正しました。

ギルド長は別にいるんです……。


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