第5話 フェリシア(挿絵あり)
8時に間に合いませんでしたああ
ストックを作りたいです……
ゴルドが商人との交渉や料金の支払いを行ってくれ、トラメリアの隣の街のベルハイムに到着することができた。
最初はゴルドのことを見下していたが、今ではもうそんな考えはない。
俺もゴルドみたいに色々な人に尊敬されて、頼られて、そしてモテモテになりたい。
そして、そうなるための一歩を、今踏み出すんだ。
ベルハイムの街の冒険者ギルドの扉を大きく開ける。
中には沢山の人が列を作って受付の順番待ちをしている。
そう。これだよ、これ!
これが見たかったんだ。
やっぱりトラメリアの閑散としたギルドがおかしかったんだ。
異世界のギルドって感じがするなあ。
列には数人のグループがまとまって並んでいる。
多分、これが冒険者パーティだ。
目の前にいるパーティは全員男で、女はこのギルド内に数人いる程度。
将来俺がパーティを作るときは俺以外全員女にしよう。
男は要らん。
メンバーの集め方は、まずは正妻ポジの女を一人仲間に入れて、その後依頼をこなしていくうちに少しずつハーレムメンバーを増やしていこう。
一人目は俺と並び立つ実力派の冒険者で、そのあと特殊な力を持った姉妹とか貴族の令嬢とか女騎士とか、王女なんかも良いな。
ああ、あと、パーティハウスを購入したあとはそこの管理をするメイドもほしいな。
未来のパーティメンバー兼ハーレムメンバーに思いを馳せていると、受付が俺の番になった。
受付嬢は女だが……ちょっと幼いな。
中学生くらい?
ロリをハーレムに入れるとしたら3人目か4人目くらい。
今はまだ君を俺のハーレムに入れることはできないんだ。
少しだけ待っていてくれ。
横の受付嬢を見ても、みんな同じくらいの年齢。
ノエルくらいの年齢の子はいない。
ギルドって子供が運営しているの?
「お仕事の依頼でしょうか?」
「いや、魔法講習を受けに来たんだ」
「魔法講習の受付は朝のみでして、今は受付ができません」
窓から外を見ると、日はすっかり暮れ、暗闇が広がっていた。
講習は朝からだって教えてもらったの忘れてた……。
「明日の朝、もう一度来てください」
「……はい」
ギルドを後にし、空を見上げる。
そこには月が……2つ?
地球の月よりも少し小さいのが一つと、さらに小さいのが一つ。
そういえばこの世界に来てから空を見上げたのは初めてだ。
この異世界は未来の地球っていう展開は起こらなさそう。
俺が死んだ翌日、あの世界が滅亡して俺だけが転生したことで生き残った、みたいなのもありだと思ってたんだけどな。
◇◆◇◆◇
ギルド近くの宿屋に泊まり、夜が明けた。
ベッドで寝ることはできたが、藁が敷いてあるだけのチクチクした寝にくいベッドだった。
その上、同室の冒険者っぽい奴らのいびきがうるさすぎて、よく眠れなかった。
朝ご飯を食べてギルドに向かうと、流石に早すぎたのか受付嬢以外は誰もいなかった。
「魔法講習を受けに来たんですけど」
「昨日の方!早いですね!」
覚えてくれていたのか。
ちょっとしか話していなかったのに。
「座学と実習の両方を受けますよね?」
「はい」
「では200ゼニーになります」
ポケットから200ゼニーを取り出して渡す。
「お客さんは第1グループです。25名集まったら上の部屋に案内しますので少々お待ち下さい」
軽く会釈して受付から離れる。
講習はいくつかのグループに分かれて行われ、先着順で講習が始まる。
講習が始まるのが先でも後でも料金は同じだから実習の時間を長く取りたいなら朝早くに行ったほうが良い。
全部ゴルドから聞いていた通りだ。
……昨日はうっかり忘れていただけでちゃんと覚えてるぞ。
壁に寄りかかって待っているとギルドの扉が開かれた。
長いピンク髪でスタイルが良い女だ。
悪くはないな。
その女はギルド内を見回し、俺と目が合った後、受付を済ませてからまっすぐ俺のところに歩いてきた。
「君、早いね。私が一番だと思ってたのに」
「俺もさっき来たばかりだ」
「そうなんだ。
私はフェリシア。あなたは?」
「コーマだ」
「へー……。コーマはこの街の人?」
「いや、昨日この街に来たばかりだ」
「そうなんだ!私も冒険者になるために昨日来たばかりなんだ!
コーマは魔法について何か聞いた?」
「……見えない壁みたいなのを出せるらしいな」
俺が見たことがある魔法は、ノエルが出したウィンドウォールだけだ。
あのときのことは嫌な思い出でしかない。
なんで俺はあのとき剣を抜いてしまったんだ。
「……私が知っている魔法とは違うね。
私が聞いたのは身体から水を出せるってだけなんだ」
ああ、水魔法か。
それも魔法としては定番だよな。
水が弱点の敵は序盤は出てきにくいのが難点なんだよな。
やっぱり最初は炎魔法だよな。
これを最初に覚えられれば序盤は楽勝になるんだ。
「水が自在に出せるようになったらすごく便利だよねー。
わざわざ汲みに行かなくていいし、水浴びだって毎日できるから香油を使わなくて済むようになるし」
あっ、トラメリアで水浴びを覗きに行くの忘れた!
ベルハイムでも近くに川があるよね?
そしたらフェリシアの水浴びを……あれ、魔法を覚えたら川で水浴びしなくなるのかな?
フェリシアの方からほのかに良い香りが漂ってきた。
これがフェリシアの言っていた香油の匂いか。
「良い香りだな」
「えっ……そう?
そっか……。
じゃあ魔法を覚えてからも香油は付けようかな。
コーマは魔法を覚えたらやりたいことはある?」
それはもちろんハーレム作り……なんて言うわけにはいかないか。
「冒険者として金を稼ぐ」
「おー!同じだね!
魔法講習を受けたら元の仕事に戻る人が多いらしくて、そのあと冒険者になる人って少ないんだって。
コーマとは冒険者になってからも一緒に仕事をすることがあるかもね」
これは俺のパーティに入りたいっていう意思表示か?
フェリシアを俺のハーレムメンバーに……。
悪くはない。
やっぱりハーレムの一人目は相棒的な立ち位置だからな。
一緒に講習を受けた人がそのままパーティメンバーになり、ハーレムメンバーになる。
悪くはない!
……ただ、ノエルの方が魅力的なんだよなあ。
「続々と今日の受講者が入ってきたね」
フェリシアの視線の先を辿ると、多くの人が受付の前に並んでいた。
「第1グループの方は移動しますので付いてきてください!」
ようやくか。
フェリシアと話をしているのも楽しかったが、今日は魔法講習を受けに来たんだ。
「楽しみだね!」
「ああ……」
俺のまだ見ぬハーレムメンバー達。
待っていてくれ!
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