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第4話 ノエル

 経験値10倍のスキルが外れスキル……?

 そんなことあるわけない。

 俺が今まで読んできたラノベでは、みんなこういう経験値系のスキルで無双してきた。

 そのラノベと違うこと……。


 イリスだ!

 イリスがチートスキルを作らないから、俺が今こんな目に遭っているんだ!

 無能女神だとは思っていたけど、ここまでだったなんて。

 何が願い事を叶えてやるだ。

 スキル一つまともに作れなくて何が女神だ。

 しかも転生してから今まで一度も顔を出さないし。

 転生系で女神が出てくる場合はちょくちょく登場するもんだろ。

 そろそろ俺に詫びるために一度くらい出て来いよ。


「デメリットはあるが、メリットもあるんじゃないか?

 例えば、剣術とか魔法の上達が速かったり……」


 ゴルドが焦ったように言う。

 剣術はまだしも、魔法は教えてくれないんだろ。


「経験値10倍の影響が脳のみならば、魔法との相性が良さそうですね!

 東の街では魔法講習を開催していますので、そちらに行ってみてください」


 東の街に行けば魔法が習得できる?

 それなら行くしかない!


「じゃあ、酒場に行ってこれから東の街に帰る商人がいないか聞いてみるか」


 酒場!?

 あの情報収集をする定番の場所、あの酒場があるのか!?


「よし、じゃあ行くぞ。

 運が良けりゃ、明日の朝には出発できるだろ」


 出発って、もうこの街からいなくなるってこと?

 ゴルド……はどうでもいいが、ノエルは俺の将来のハーレムメンバーなんだ。

 今この街からいなくなってしまったらノエルとも離れ離れになってしまう。

 だからノエルを東の街に一緒に行くように誘うんだ。

 大丈夫、俺はイケメンだ。

 自身たっぷりに誘えば絶対に上手くいく。


 椅子から立ち上がり、ノエルの元へ近寄ると、ノエルが少し戸惑っている。


「ノエル、俺はこれから東の街に行く。

 君も俺と一緒に行かないか?」


 決まった……。

 これが俺の最高の口説き文句だ。

 これで首を横に振る女はいない。


「……私がこの街を離れてしまうと、このギルドに誰もいなくなってしまいます」


 一度断って軽い女じゃないアピールか。

 こういうのはもう一度強気に誘えば承諾するやつだ。

 昔見たYouTubeのナンパ攻略法の動画で見たから知っている。

 なんでそんなのを見たかって?

 友達は作れなかったが、彼女ならと思って、クラスの女子に話しかけるためだよ!

 あのときは俺の顔が原因で悲鳴を上げて逃げられてしまったが、今は違う。

 俺はイケメンに生まれ変わったんだ。


「それに、一度剣を向けてきた人とどこかに行こうとは思いません」


 ……あれ、振られた?

 なんでだ?

 転生前とは違うんだぞ?

 俺は転生前のときは顔が原因で彼女が作れなかったんだ。

 だからイケメンに転生した今、彼女の一人や二人作れて当たり前。

 なのに、振られた?

 なんで?

 それじゃあ、転生前でも彼女ができなかったのは俺の顔のせいじゃなかったってこと?

 いや、そんなわけない。

 そんなわけないんだ……。


「はっはっはっ、振られたな!

 まあ、あんま気にすんな!

 それより酒場に行くぞ」


 ゴルドに肩を叩かれながら笑い飛ばされた。

 励ましてくれているのか?

 こいつのこと、あんまりよく思っていなかったが、もしかしていいやつなのか?


 ゴルドに肩を組まれながらギルドの出口へと歩いていく。

 ノエル……可愛かったなあ。


 ◇◆◇◆◇


 ゴルドに肩を組まれたまま、ギルドのすぐ近くの酒場に来た。

 酒場の中には客は誰もおらず、店員が片付けているだけだった。


「もう昼時は終わっていたか。

 まあ、誰か来るまで二人で飯でも食うか」


 そういえば腹減ったな。

 異世界での初めての食事がこのおっさんとか。

 美少女と一緒が良かったなあ。


「あれ、ゴルドさん。今日はマリアさんと一緒じゃないんですか?」


 店員さんが話しかけてきた。

 ゴルドはここの店員とも知り合いなのか。


「ああ、マリアは今ギルドでノエルと一緒にいるよ」

「近くにいるんじゃ今日は浮気はできないですね」

「今まで一度も浮気なんてしたことねえよ。

 それより肉はまだ余っているか?」

「はい、ちょうど二人分!

 私は今はまだマリアさんより安いので、高くなる前に買っといた方がいいですよ?」

「マリアがいるうちは買う気は無いな」


 ここは娼館も兼ねている酒場か。

 異世界酒場ではあるあるの設定だな。

 それより、えっ、ゴルドってモテるの?

 顔は悪いわけじゃないが、横に俺みたいなイケメンがいるんだぞ?

 さっき街に帰ってくるときに剣の反射で俺の顔を確認したが、ゴルドと横に並んでいたら百人中百人が俺のほうがイケメンだって言うレベルにはイケメンだった。

 なんで俺の方に営業しないんだ?


「ボーッとしてないで座るぞ」


 適当に返事をしながらゴルドと同じテーブルに座る。

 そういえば、誰かと一緒に食事するなんて久しぶりだな。

 最後に一緒に食べたのは……高校の入学当初か?

 あのときはまだ、みんな俺のことを避けていたりしなかった。


「お前……そういえば、まだ名前を聞いてなかったな。

 俺はゴルドだ」


 そういえば、初めて会った人とは自己紹介をするんだったな。

 苗字は……名乗らなくて良いか。


「コーマだ」

「コーマ……。やっぱり聞き慣れない名前だな」


 へえ、ここはテンプレ通りの反応をするんだな。


「コーマはノエルに一目惚れしたのか?」


 こいつっ……!

 こいつも俺が振られたのを笑う気なのか?

 クラスで一番の美少女に告白したら、翌日にはクラスメイト全員が知っていて、俺を笑いものにした、あのときみたいに。


「ノエルは強い男にある日突然迎えに来られるのに憧れている。

 もしノエルを本気で考えているなら別の街で強くなるっていうのは悪くないことだ」


 ……アドバイス?

 俺を笑うんじゃないのか?


「今後強くなれるかどうかはコーマ次第だが、経験値10倍なんてものがあるなら確実に強くなれるだろ。

 マサキよりも、な」


 マサキ、俺の前にこの世界に転生してきたやつか。


「マサキは強かったのか?」

「ああ、俺なんかよりも遥かにな。

 あいつが居なければこの前のスタンピードでこの街は落とされていただろうな。

 ここ、トラメリアの英雄だよ」


 スタンピードのときにはそいつが居たのかよ!

 俺がもっと早くに転生していたら、英雄になっていたのは俺だったのに。


「お待たせしました」


 先程の店員さんが食事を持ってきた。

 これは……豚肉か?

 やけに調理が速いな。


「ノエルさんから、マサキさんの功績は大きかったことは確かですが、ゴブリンの斥候を沢山倒していたゴルドさんの功績も大きかったって聞きましたよ。

 そのおかげでゴブリンは正面から行軍するしかなくなったって」


 斥候?

 それに行軍って……それじゃあ人間同士の戦争みたいだ。

 スタンピードっていうのは大量の魔物が人間の街に一気に攻めてくるイベントのことを言うんじゃないのか?

 これじゃあ、魔物に人間と同じくらいの知能があるみたいだ。


「そりゃあ、そうかもしれないが、北の麦畑をゴブリンの血で染めたのはほとんどマサキなんだぞ。

 あの光景を見ていないから分からないかもしれないが、あれを見たら俺がやったことなんてほんの些細なものに感じるぞ」

「それを言われると確かにそうかもしれませんけど……」


 北の麦畑っていうと、街のすぐそばにあった一面の畑か。

 あれが血に染まったって……どれだけ大量のゴブリンを殺したんだよ。


「餞別代わりだ。

 今日の飯代は俺が払うから気にせず食ってくれ」

「いいのか?」

「ああ、まだこの世界に来たばかりで金持ってないだろ?」


 少しは持っているんだが、まあいいか。

 どのくらいの金額なのか分からないし。


「気になるなら、今度ノエルを迎えに来たときにでも返してくれればいいさ」

「……ありがとな」


 ゴルドは驚いたような顔をしている。

 礼くらい言うぞ。

 そんなに驚くなよ。


「おう!」


 この日食べた食事は今まで食べた食事のなかで一番美味しかった。

最後まで読んでいただきありがとうございます!


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