第1話 転生(挿絵あり)
※本作に登場する挿絵は、AI画像生成モデル(Animagine XL V3.1)を用いて著者自身が生成したものです。
ここが異世界か?
石造りの家に囲まれた薄暗い路地にいるっぽい。
転生して最初にいる場所って、噴水の前とか、大通りの近くとか、だだっ広い草原じゃないの?
なんでこんな薄暗くて人気が全くないところなんだよ。
本当にイリスは気が利かないな。
……とりあえず適当に明るい方に行くか。
しばらく歩いていると、ようやく明るい場所に出た。
期待に胸が高鳴る。
ここが、ずっと憧れていた異世界だ!
……あれ?
おかしい。
普通の人しかいない。
確かに、みんなヨーロッパ系の顔立ちで、美形の人が多い。
でも、ドワーフは?エルフは?ケモミミは?
これじゃあ、ただのヨーロッパ旅行と変わらないじゃん!
……いや、冷静になろう。
ここは多分中世くらいの文化だ。
差別があったり、住んでいる地域が分かれているだけかもしれない。
まだ異種族ハーレムを諦めるには早い。
それにハーレムっていうのは一日にして作られるものじゃないし、ハーレムの中に普通の人間が一人はほしい。
よし、まずはハーレム第一号として、普通の人間を迎え入れよう。
それから各地を冒険して徐々にハーレムを増やしていこう。
ハーレムの一人目はやっぱり右腕的な立ち位置で、一番信頼できるやつかなあ。
これから色んな場所を冒険するんだし、俺よりちょっと弱いけど、そこら辺の冒険者よりは強いやつだな。
剣術大会優勝者とか、Aランク冒険者とか。
そんで俺はこの国には滅多にいないSランク冒険者になるんだ。
そうと決まれば、まずは冒険者ギルドを探すぞ。
『冒険者ギルド』
そう書かれた看板を見つけた。
ここが憧れの……。
鼓動が高まるのを感じながら、両開きのドアを押し開ける。
そこに広がるのは賑やかなホール……、ではなく、閑散としたホールだった。
あれ、入る場所間違えたかな?
中にはカウンターの奥で何かをしている女性が一人いるだけで、他には誰もいない。
あの人に話しかけてみれば良いのかな?
緊張する……。
「あの……」
「はい?」
おお、まあまあ可愛い。
耳が丸くなかったらエルフみたいだ。
これで普通の人間なの?
いや、認識阻害の魔法で耳を丸く見えるようにしている可能性がある。
ハーレムの一人目……いいかもしれない。
「ご要件はございますか?」
要件は……、えっと、ハーレムに加わりませんか?なんて言ったら駄目だよね。
これを言うのは冒険者として成功してから。
だから、えっと……。
「ぼ、冒険者になりたいです……」
……違うだろ!
俺はイケメンで最強の冒険者になるんだ。
もっと自信満々に振る舞うんだ。
次こそは!
「……現在、ここトラメリアの冒険者ギルドでは魔法講習を開催しておらず、新人冒険者の方にご紹介できるお仕事はございません。
そのため、他の街に移動してから冒険者登録をされることをおすすめします」
魔法講習って何?
魔法を使えるようになるための講習ってこと?
それより仕事……というか依頼が無いってどういうこと!?
冒険者ギルドには薬草採取とか色々な依頼が常設されているもんだろ!
イリスはなんでこんな街に俺を転生させたんだ!
こんなんじゃ俺のハーレムライフが始められないだろ!
ああ、くそっ、イライラする。
「お姉さん、名前は?」
「えっ、ノエルですけど……」
「依頼が無いっていうのは分かった。
魔法講習を開催していないっていうのはどういうこと?」
「冒険者ギルドの規則で魔法講習を開催できなくなってしまいました」
「規則っていうのは関係なしに、ノエルは人に魔法を教えることはできる?」
「はい……できます……」
よし。
じゃあ、あとはノエル次第だ。
大丈夫、俺はイケメンだ。
イケメンにかかれば落とせない女はいない。
自信を持て。
「ノエル、ギルドとは関係なしに俺に魔法を教えてくれないか?」
「申し訳ございませんが、それはできかねます」
……は?
なぜだ?
イケメンだぞ?
女はイケメンに頼まれたら断ることが出来ないんじゃないのか?
まさかイリスめ、イケメンにしなかったんじゃないだろうな?
「なあ、ノエル。俺はイケメンだよな?」
「はい、そうですね……」
「なら、なぜ断るんだ?」
「規則ですので」
「規則なんて……」
言葉の続きを言おうとしたとき、背後から扉を開ける音が聞こえた。
「ノエルー、護衛の仕事は来たか?」
背後を見ると、革の装備を身に着けた男と、胸が大きくて……妊娠中?の女がギルドに入ってきていた。
男の方は冒険者か?
革の装備っていうことは大した冒険者じゃないな。
ベテラン冒険者っていうのはミスリルとかオリハルコンの装備を着けるものだからな。
「ん?ノエル、そいつは誰だ?」
「ゴルドさん!こちらは冒険者登録を希望の方です」
「冒険者登録?こいつが?」
ゴルドと呼ばれた男が俺のつま先から頭までじっくり見ている。
男に見られたって嬉しくないんだが。
「お前、何か特技はあるのか?」
特技?
ゲームは好きだし、それなりに上手いが、こいつにそんなこと言って理解できるのか?
ゲームの他には、何かあったかな……。
「即答できないなら止めておけ。
今すぐ元々働いていたところに行って、働かせてもらってこい」
こいつ、今俺には冒険者は無理だって言ったのか?
革の装備をしているような冒険者が?
こんなやつに俺の何が分かるんだ。
俺はイリスに経験値10倍のスキルをもらっているんだぞ。
「まあ、他人に言われて辞める程度ならここには来ていないか。
ノエル、護衛の仕事は来ていないんだよな?」
「はい、今日は来ていません。
おそらく2日後だと思います」
「そうか、じゃあ外の見回りに行ってくる。
俺と一緒にこいつも外に連れて行ってもいいか?」
「はい!ゴルドさんと一緒なら問題ありません」
「冒険者になる気があるなら俺に付いてこい。現実を見せてやる」
「上等だ」
こんなやつよりも俺が劣るなんてことはありえない。
俺の実力を見せてやる。
「ノエル、レンタル装備はまだ残っているか?」
「はい、一つだけ残しておきました。
もう使わないかもと思っていたんですけどね」
「これは……よく手入れされている。流石だな」
「もう、それくらいしかやることがありませんから」
ゴルドはノエルからいくつかの何かを受け取って、俺の方に振り返った。
っていうかノエルと仲良さげに話していてムカつく。
ノエルは俺の将来のハーレムメンバーだ。
「おい、これを着けろ。着け方は分かるか?」
「当たり前だろ!」
ゴルドから手渡されたものを強引に奪い取り、何を渡されたのかを見てみる。
剣と、これは……なんだ?
着けろって言ってたんだから装備品だよな?
革製で……もしかして胸当てと膝当てか?
これと似たようなものをゴルドが装備している。
なんだ、あいつはレンタル装備と同じような装備をしているのか。
「マリアさん、お腹が随分と大きくなりましたね」
「ええ、もうすぐ生まれそうよ」
あの女はマリアっていうのか。
ゴルドの奥さんか?
革の装備をしている冒険者の奥さんだなんて大変だな。
顔もスタイルも良いんだが、妊娠しているからなあ。
残念だが、経産婦は俺のハーレムには要らん。
その冒険者とずっと一緒にいるんだな。
「装備できたか?」
ゴルドが話しかけてきた。
「ああ、できたぞ」
うん、装備できた。多分。
「……じゃあ、外に行くぞ」
何も言ってこないっていうことは合ってるっていうことだよな?
まあ、俺にかかれば初見の装備でも間違えなく装備できるってことだな。
「マリア、俺は外に出てくるからここで待っていてくれ。
もし移動するとしても一人では移動するんじゃないぞ?
ノエル、すまんがそのときは頼む」
「心配性ね。私は大丈夫よ」
「はい、お任せください!」
そう言ってゴルドが外に向かった。
これから初めての冒険だ。
俺の実力を見せつけて、俺にあんな態度を取らせたことを後悔させてやる。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
第一章のときノエルのイラストを投稿していませんでしたね……。
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