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第2話 魔法講習(挿絵あり)

今回も生成AIで挿絵を生成しました。

背景やポーズを指示して、色々試行錯誤したのですが、中々上手く生成できませんでした。

ポーズと服装が違ってしまっています。

何卒ご容赦ください...


※本作に登場する挿絵は、AI画像生成モデル(Animagine XL V3.1)を用いて著者自身が生成したものです。

※書籍化できた際には現在の挿絵は全て差し替える予定です。

※2025年7月7日に差し替えました。過去絵はみてみんで見られます。

「実は魔法で出現させたものは、時間が経つと魔素に戻ってしまうんです。

だから魔法で出現させた水を飲んで喉を潤しちゃうと、時間が経った後に体から一気に水が出ていってしまいます。

これを知らずに魔法で出現させた水を飲んで亡くなった方もいらっしゃいますから、絶対にこの水は飲んではいけませんよー!

万が一飲んでしまったら、普通のお水を沢山飲んでくださいねー!」


良かった。魔法は毒というわけではなさそうだ。

しっかりこういうことを忠告してくれるんだから、絶対まともな組織だ。

絵美、ごめん。

リリアのことを真剣に考えてみるよ。

だから絵美も自分の人生を生きてくれ!

薄情?もう絵美に会えないんだから仕方ないじゃないか。

いつまでもどうしようもないことで悩んでなんていられない。


「あと、この出現させた水ですが、実は魔素に戻る時間を早めることができるんですー!」


リリアが手のひらを足元の水たまりに手を向けると、水がみるみるうちに消えていった。


「本当ならこの水はあと1時間くらいは残っていたはずなのですが、このようにすることによって一気に消すことができるんです!

これも魔法の一つですよー!」


......相変わらず地味だ。

便利なんだろうけど。


「魔法は全部で3種類ありましてー、最後の一つは物を動かすことができる魔法です!

例えばー...えいっ!」


リリアが教室の後ろに向かって手を伸ばすと、教室の後ろにあった椅子がガタガタッと音を立てて動いた。

風が吹いているわけではなく、周りには何も無いのに勝手に椅子が動いた。

前の世界だったら、間違いなく怪奇現象だって騒いでいただろうな。

うん、地味。

これで本当にお金を稼げるのかな?

お金を稼げないと生きていけないんだけど。

思っていた魔法と違うし、今教えてくれている人がリリアじゃなかったら出ていってるかも。


「私はまだ下手っぴなので、今みたいに手を向けないと動かせないんですけど、すごい人だと何もしなくても動かせたり、さらには見なくても動かせたりするんですよー!」


椅子なんて魔法を使わなくても動かせるんだけどな。

最初の魔法は地味だし、2つ目の魔法も必要と思わなかった。

最後の魔法なんて魔法である必要が無かった。

魔法を教えてくれる組織なんて他にもあるだろうし、そっちで魔法を教わろうかな。


「あと、私は椅子くらいの重さのものしか動かせないんですけど、もしかしたら世の中にはこの建物ごと持ち上げられる人もいるかもしれません!」


この建物ごと!?

いや、どうせ誇張表現だな。全員が全員動かせるわけじゃない。

リリアも動かせないようだし。


「重いものを動かすほど魔臓への負担が大きくなるので、そんなことができると言われているのは歴史上、ただ一人だけなんですけどねー」


やっぱりな。そんなもんだろ。

宗教みたいな組織だったのかなあ。

もしかして、周りにいる人たちはみんなサクラだったりとかするかな?

リリアは可愛いのにちょっと残念だ。


「何を隠そう、その歴史上の一人というのが私達"庶民派"の初代リーダーなんです!」


初代リーダー、つまり教祖様か。

これから先は教祖様は凄いんですみたいな話かな。


「庶民派というのは、私達みんなが魔法を使えるようにするべきだって主張している団体なんです!

実はこの魔法講習も私達庶民派の大事な活動の一つなんですよー!

以前は魔法はこの国の貴族様しか使えなかったんですけど、初代リーダーが魔法の使い方を広めたことで、私達の団体ができあがったんですー!

ちなみに魔法は貴族様たちしか使うべきではないって言っている人たちもいて、その人たちは"貴族派"って言われています!」


あれ?魔法って貴族様しか使えなかったの?

じゃあ、魔法を教えてくれるところなんて他にもあるだろうっていうのは間違いだった?

でもなんであんな地味な魔法を貴族様は独占していたんんだ?

まだ何か隠していることがありそうだ。


「この街には貴族派の人は少ないですが、首都とかに行くときは魔法を使わないように気をつけてくださいねー?

もしかしたら牢屋に連れて行かれちゃうかもですよー!」


牢屋......。マジか。

せっかく転生したのに牢屋暮らしとか勘弁なんだけど。

首都に行かないようにするか、魔法を覚えるのを諦めるかのどっちかだ。

うーーーん。

......覚えても使わないようにすればいっか。

うん、とりあえず魔法を覚えよう。

魔臓があるかどうか分からないけど。


「魔法についての説明は以上です!何か分からないことがある人はいますかー?」


考え事をしていたら説明が終わったみたいだ。

分からないことはリリアの連絡先かな。

なんてね。


「無いようですねー!では、魔法練習場に移動して魔法を使ってみましょー!」


---



建物の裏手の空き地に到着した。


「では、まずは空気中の魔素を魔臓に貯める練習からしましょー!

魔臓は今も私たちの体の中で魔素を取り込んでいるのですが、それと同時に放出もしています!

放出を止めると、魔臓に魔素が貯まっていきますよー。

魔法を発動するためには、ある程度の魔素を魔臓に貯めないといけないので、まずはそれを目指しましょー!」


魔臓、あるよね?信じてるよ女神さま。


「魔素の放出の止め方は、ちょっと難しいんですけど胸の下に蓋をする、みたいな感じです。

最初は自分の手を当てて魔素が出ていくのを止めようとしてみてください!」


リリアが両手で胸の下を抑えるジェスチャーをした。

その動きでリリアの胸元がわずかに強調された。

見た目より結構ありそう。


挿絵(By みてみん)


「まずはお腹から何かが出ていっているのを感じてみてくださーい」


お腹に手を当てて集中してみるけど、特に何かが出ていっている様子はない。

やっぱり魔臓って無いの?


「手を当てても何か感触があるわけではありませんよー!

何かが出ていっている気がするなーって感じられたらおっけーですー!」


何かを感じるって、やっぱり宗教っぽい。


「感じられた人は、それを抑えようとしてみてくださーい!

皆さん感じられるようになるまで最低1時間くらいかかるので、焦らないでくださいねー!」


1時間もかかるの!?瞑想とかそういうやつ?

あるかどうかも分からないものを感じるように訓練ってなんの修行だよ......。


---


魔素を感じるための練習を始めてから、かなりの時間が経った。

多分一時間どころじゃない。

サッカーの練習なら一時間なんてあっという間だけど、この修行は本当に苦痛だ。

周りには何人か水を出している人がいるにも関わらず、俺はまだ魔素を感じられていない。

やっぱり魔臓は無いのかな。


「お兄さんは魔素を感じられましたかー?」


リリアが声をかけてきてくれた。

やっぱり間近で見ると可愛い。

そういえばまだ自己紹介をしていなかった。

まだ魔素を感じられていない落ちこぼれみたいな状況で自己紹介するのなんて嫌だけど、それでも名前を覚えてもらわないことには何も始まらない。

そういえば、苗字って言わないほうが良いのかな。

昔の人は苗字が無かったって言うし、リリアから苗字を聞いたことがない。


「昌樹っていいます。まだ感じられてません......」


あーっ、カッコ悪い。

もっと大量の水を出してカッコいいところを見せながら自己紹介したかったな。


「マサキさん......?」


リリアがきょとんとした顔をしている。

昌樹っていう名前はこの世界では珍しい名前なのかな。


「えーっと、ちょっとお腹に手をあてさせていただいてもいいですかー?

たまに魔臓から放出される魔素が少ない方がいますのでー」

「あっはい、お願いします」


お腹から手を離すと、リリアがお腹に手を伸ばしてきた。

手、ちっちゃいなあ。


「わっすごい!かなりの量の魔素が放出されていますね!」


リリアが俺のお腹に手を当てた瞬間、目を見開いて驚いていた。

魔臓あったの!?

もう半分諦めてたんだけど!


「魔素が多すぎて、逆に感じにくかったのかもしれませんねー。

うーん、これなら魔素を貯めなくても魔法を発動できるかも...」

「えっ、もう魔法を使えるんですか?」


あれ、もしかして実は結構すごい?

女神さまに毎朝感謝の祈りをした方がいいかな?


「多分できます!

魔法を発動した後だったら、魔素の動きを感じ取りやすくなるかもなので、とりあえず発動してみましょー!」


この数時間の修行はなんだったんだ......。


「魔法を発動するときは、イメージが大事です!

魔素を感じられる人なら、体内の魔素を手のひらまで移動させて、そこから魔法を出せばいいんですけど、

マサキさんはまだ移動させられないと思うので、お腹から水を出しちゃいましょー!」


うっ、なんか落ちこぼれみたいな扱い。

小さい頃リフティングができなくて居残り練習させられたときみたいだ。

しかもお腹から水を出すの?

めちゃくちゃカッコ悪い。


「えっと、じゃあ、服はたくし上げますね」


そう言って着ていた服をお腹の上までたくし上げると、リリアが俺のお腹を見ていた。


「おー、綺麗なシックスパックですねー。まるで熟練の冒険者さんみたいです!」

「あっ、はい...... ありがとうございます?」


あれ、好印象?

リリアって筋肉が好きなのかな?

まだ挽回できるかもしれない。

それにしても冒険者......?

初めて聞く単語だけど、冒険をする人なのかな?


「えーっと、水が湧き出るイメージ......」


目を閉じて頭の中で想像してみる。

地面から水が湧き出るイメージ。

体の中から水が湧き出るイメージ。

体内の魔素が変換されて水になって体の外側に出ていくイメージ......。


「おー!水が出てきましたよー!」


目を開けてお腹を見てみると、まるで中身の入ったペットボトルを倒したように、トクトクと少しずつ水が溢れ出ていた。

地味!!!!

相変わらず地味な魔法だ。


「やりましたね!初めての魔法成功です!」


リリアが笑顔で大きく喜んでくれた。

いや、でもそうか。

魔法を発動できたことには変わりはない。

初めて魔法を発動できたぞ!

やった。あの地獄の数時間も無駄じゃなかったんだ!


「ありがとうございます!リリアさんのおかげです!」

「いいえー!私はちょっとお手伝いしただけですから!マサキさんのお力ですよー!」

「いえいえ、そんなことないですよ!師匠って呼んでもいいですか!?」

「えー、師匠ですかー?そんな大したことじゃ...」


そう言いながらリリアが少し照れている。

師匠って呼ばれて嬉しそうだ。

これからは積極的に師匠って呼ぼう。


「そういえば、これでもうお仕事って紹介してもらえたりしますか?」

「お水を出せるだけでも紹介できるお仕事はあるのですが、大量にお水を出していただく必要がありますので、この量ではお仕事は無いかもしれません......。申し訳ございません」


リリアが困ったように謝罪した。

流石にそんなウマい話は無いか。


「いえいえ、そうですよね、俺の方こそごめんなさい。もっと練習しますね!」

「はい!手からお水を出せるようになったり、魔臓で取り込む魔素の量を増やせたら紹介できるお仕事がありますので、頑張ってくださいね!」


そう言って、リリアは他の受講者のところに行ってしまった。

そうだよな、受講者は沢山いるんだからずっと俺のところにいてくれるはずないよな。


でも魔法を発動できたのは嬉しいな。

次は手から水を出せるようになれば良いのかな?

いや、その前に、まずは魔素の感覚を掴まないといけないかもしれない。

リリアのおかげで魔法を発動できるようになったんだから、魔素を扱えたはずなんだ!

こうやってできることがひとつずつ増えていくのは楽しいな。

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