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第14話 前兆

本日から新エピソードでの投稿を再開します。

一話あたりの文字数を変更した都合で、新規投稿時の前話までの内容が圧縮されています。

もしまだ読んでいない場合は、過去話まで遡っていただけると、話が繋がります。


エピソードの削除ってできたんですね...。先程気付きました。

勝手にできないと思って過去話を編集していました。

 街に戻り、そのままギルドに来た。

 シノがなんだか真剣な表情をしているように見える。


「マサキさんにシノさん!やっぱり森にはゴブリンがいましたか?」


 俺達が手ぶらなのを見て、リリアが森にゴブリンがいて引き返してきたのだと察してくれたようだ。


「うん、あとリリア敬語じゃなくていいよ」

「いえ、私は今仕事中ですのでそれは流石に……」

「そっか。報告があるからセラを呼んできて。緊急事態」

「えっ……はい、分かりました。すぐに呼んできます」


 リリアの表情が一気に真剣なものになり、走って階段を登っていった。

 ……緊急事態だったんだ。

 分からないことばかりだ。


 ◇◆◇◆◇


 少しして、リリアと支部長が階段から降りてきた。


「シノ、緊急事態とはどういうことだ?」

「ゴブリンが痩せていて、冒険者狩りをしていた」

「……それは開拓村のときと同じということか?」

「そう」


 何の話をしているのか分からず思考停止していると、支部長が俺の顔を見て察してくれた。


「シノ、マサキには話したのか?」

「……してない」

「そうか、じゃあ私から話そう。シノ、構わないか?」

「うん、全部話して良い」

「では庶民派の歴史から話そうか。少し長くなる。適当に椅子に座ってくれ」


 支部長に促され、シノと壁際にあった椅子を持ってきて腰掛ける。

 リリアは受付のところにあった椅子に座ったようだ。


「5年前、我々庶民派のリーダーが変わってすぐの頃、魔法が使える精鋭部隊を集めて村を建設するプロジェクトがあった。

 シノとブルクもそのメンバーだった。

 ブルクは魔法を使えないが、建築に詳しい人間ということで同行することになった」


 シノはそのときか、それよりも前からブルクさんと知り合いだったのか。

 道理で仲が良いわけだ。


「今人類が住んでいる街、このトラメリアも含めて、全ての街は貴族が魔法で周囲のゴブリンを排除して建設したという伝説がある。

 そこで、我々庶民派のみで村を建設することで、貴族の支配がない街を作ることを目指していたんだ」


 魔法を使えたのは貴族のみだった。

 庶民派も魔法が使えるなら、過去に貴族が行ったと言われる街作りもできるはずだ、って思ったということかな。

 本当に伝説がその通りで、精鋭ばかりだったなら成功しそうだけど……。


「だが、村の建設を開始した2年後、そのプロジェクトは失敗に終わった。

 シノの両親を含めた開拓村の精鋭部隊は、シノとブルクを残して全滅した」


 村の建設を開始した2年後ということは今から3年前。

 シノは14歳で両親を亡くしていたんだ。

 辛かっただろうな。


「失敗に終わった原因というのが、スタンピードとも言われるゴブリンの猛攻撃。

 精鋭部隊はゴブリンと一対一なら絶対に負けることはないが、当時は1人で100を超えるゴブリンを相手にしなければいけなかったと聞いた」


 あのゴブリンが100体……。

 近づいてくるゴブリンだけなら遷移魔法で倒せそうだけど、弓矢を持ったゴブリンが何体もいたとすれば生き残れる気がしない。


「そのスタンピードが起こる前、ゴブリンは痩せていて、人間を食料にしようとしていたらしい。

 ゴブリンは繁殖スピードが速い。

 ゴブリンも村を作っていて、その村では農業をしていると聞くが、おそらく賄いきれなくなるんだろうな」


 自分たちの畑だけでは食料が足りなくなったから人間を食べる。

 理屈は分かるし、人間がゴブリンを食べるならその逆だっておかしくない。

 理解はできるんだけど、ゴブリンに食べられるなんて……。


「やつらは頭が良いわけではないが、罠くらいは張る。

 今日マサキが見たのは、子供の、弱そうなゴブリンで冒険者をおびき寄せ、木の上にいるゴブリンが弓矢を持って待ち構える、という罠だろう?」

「はい、その通りでした」

「それはゴブリン共の伝統的な罠だ。

 星4以上の冒険者は皆その罠を知っているから引っかからないが、星3以下の冒険者がゴブリンとの戦闘禁止のルールを破ったり、冒険者以外がゴブリンを倒そうとするとその罠に引っかかる」


 星3以下のゴブリンとの戦闘禁止にはそんな意味もあったのか。

 罠のことを知らずにゴブリンと戦おうとしていたら、俺もその罠に引っかかっていたかもしれない。

 でもそんなに危険な罠なら、冒険者だけじゃなくて皆に教えても良さそうだけど。


「この罠はスタンピードが起こる前だけではなく、いつでもあることなんだが、これに昨今のゴブリンの目撃情報の多さとゴブリンが痩せているという情報が合わさると、スタンピードが起こる可能性が引き上がる。

 シノ、ゴブリンの痩せ具合からして、スタンピードが起こるまでどのくらい猶予がある?」

「おそらく半年くらい」

「半年か……。まだ十分あるな。」


 半年もあるんだ。

 今すぐにでも起きるのかと思ったけど、そんなことはないみたいだ。


「マサキ、何か質問はあるか?」

「いえ、大丈夫です」

「そうか。では話は以上だ。

 リリア、シノの冒険者ランクを星4に上げろ」

「はい!」


 リリアが勢いよく返事した。

 シノはもう星4に昇格するのか。

 置いていかれちゃったな。


「それからノエル、ゴブリンの討伐報酬を2倍にする。

 酒場で飲んでるやつらにも周知しろ。

 あと、今なら遷移魔法を教えてやると伝えておけ」

「……はい!」


 いつの間にかリリアの後ろで話を聞いていたノエルさんにも指示が飛んだ。

 ノエルさんはいつものからかっている様子とは違い、今日は真面目な様子だ。……でもどこか嬉しそう?

 処刑のリスクが高くなる遷移魔法を教えるなんて、よっぽど非常事態なんだな。


「シノ、知らせてくれてありがとう。

 おかげでスタンピードの兆候を早くに知ることができた」

「うん、もうあんなことは嫌だから」

「マサキ、訓練を怠るなよ。お前が人の生き死にを左右することもある」

「はい!頑張ります!」


 俺には女神様から貰った魔法の才能がある。

 でもこれだけじゃ、まだシノの足元にも及ばない。

 残り半年、どれだけ成長できるか分からないけど、リリアとシノ。

 いやその2人だけじゃない。

 この街には良い人が沢山いる。

 その人たちを守るためにもこれからも強くなり続けてやる。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


今回は区切りの都合で文字数が少なめになっています。

次回からはこれまで通り4000文字程度になる予定です。


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