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第11.5話 小話(シノ・リリア視点)

第11話よりも少し時間が前の時点でのお話です

【シノ視点】 ある日の下水道にて


 マサキが下水道掘削の仕事に参加してくれたおかげで、掘削スピードがかなり速くなった。

 この前渓谷に到達できたのだってマサキのおかげだ。

 マサキは私の魔法を見ても距離を置かないで、それどころか一緒に掘削してくれる初めての人。

 まだ魔法の練習は必要だけど、それでもどんどん魔法が上達している。

 下水道の仕事が終わっても、これからもずっとマサキと一緒に仕事をしたいな。

 ううん、仕事だけじゃない。

 プライベートな時間も一緒に過ごしたい。

 今は壁を掘って出た土をゴルドたちのいる場所に運ぶところ。

 この時間はマサキと2人だけで雑談できる貴重な時間だ。

 マサキの背中、いつ見ても大きいなあ。


「そういえば、シノは誰から遷移魔法を教わったんだ?」

「遷移魔法はみんな支部長から教わるものでしょ?」


 この街で遷移魔法を教わる場合はみんな支部長に教わるって聞いた。

 私が教わったのはずっと昔だけど。


「へー、そうなんだ。俺はリリアに教えてもらったんだよ」

「リリア?」


 リリアってあの受付嬢?

 やけにマサキと仲が良さそうだったけど、そんな繋がりがあったなんて。

 魔法を教えるリスクを被ってまで教えるなんて、それじゃまるで……。


「そう、俺の恋人なんだ」


 ドサッ


 恋人……?

 恋人って、あの恋人?

 ダメ、頭が真っ白になっちゃう。


「シノ、大丈夫?桶落としちゃったけど……」

「あっ、ごめん……すぐ拾うから」


 マサキに恋人がいたなんて。

 ううん、まだ諦めるには早い。挽回できるはず。


「どのくらい付き合ってるの?」

「えーっと、一ヶ月くらいかな」


 一ヶ月……。

 私がマサキと初めて会ったのがそのくらい。

 それならきっと知り合ってからは長いのかな。


「リリアと出会ったのもそのくらいなんだけどね」

「出会ってすぐ付き合い始めたってこと?」


 それならまだ挽回できる!

 諦める必要なんてないんだ!


「そうなんだよね、一目惚れみたいな感じかな」


 一目惚れ……。

 マサキは私と初めて会ったときは何か感じてくれてたかな。

 私は……何も感じなかったけど。

 でもそれは新しい人を受け入れても、すぐいなくなっちゃうから受け入れたくなかっただけ。

 マサキがここまで魔法が使えると分かっていたら私だって。

 それに出会ってから一ヶ月なら、私と同じくらい。

 マサキはほぼ毎日働いていて、いつも私と一緒にいる。

 過ごした時間なら私の方が長いはず。

 だったら、まだチャンスはあるよね?


「マサキ、私負けないから」


 マサキを私に惚れさせてみせる。

 私が正室になるんだ。


 ◇◆◇◆◇


【リリア視点】 ある日のギルドにて


 遠くから鐘の音が聞こえる。17時だ。

 この時間帯は新しい依頼者は来なくて、何もすることがない時間が多い。

 マサキが仕事を終えるのは1時間後。

 受付に来るのはさらに時間がかかる。

 早くマサキに会いたいな。


「ねえ、リリア。昨日はどうだった?」

「ノエルさん!?どうって言うのは……?」

「初めてマサキの家にお泊まりしたんでしょ?その感想よ」

「えっと……」


 どうしよう、なんて答えよう。

 そのまま答えるのは恥ずかしいし……。


「他に誰も聞いてないから大丈夫よ。私とリリアの仲でしょ?教えて?」


 ノエルさんはお姉ちゃんって感じで大好きだけど、でもギルド内じゃ誰に聞かれてるか分からないし。


「小声だったら誰にも聞かれないわよ」


 うっ、グイグイ来る。

 断りづらいな……。


「優しくて……その、幸せでした……」


 言っちゃった。

 顔赤くなってないかな?

 恥ずかしい……。


「良かったね。

 リリアが幸せなら私も嬉しい。

 でも、気をつけなよ?

 マサキって結構モテるでしょ」

「うっ、はい……。

 なんだか一緒に仕事をしているシノさんと仲が良いみたいなんです」

「あのちっちゃくておっぱい大きい子ね……」


 おっぱいって大きい方が良いのかな。

 私はそんなに大きくないし。


「やっぱり男性って、ああいう大きい女の子が好きなんでしょうか?」

「世の中にはそういう人が多いだろうけど、マサキはリリアに夢中だから。

 そんなことないんじゃない?」


 夢中……。

 やっぱりそうなのかな。

 そうだったら嬉しい。


「ところでさ、マサキって側室を取る気はある?」

「ありません!マサキは私だけのものです!」

「冗談よ、そんなに大声出さないで。周りに聞こえちゃうよ?」

「あっ…」


 つい大声を出しちゃった。

 周りの人に何の話をしているか聞かれてないよね?

 あぁ……恥ずかしい。

 顔を上げれないよ。

 早く誰か仕事完了の報告に来てー!

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