94話 わたくしたちの勝利ですわ!
「アーシアさん、ワイバーン全部倒したよ~!」
「グライダーの人、ちょっと多くてガーちゃんだけだと無理だった……!」
「問題ありませんわ! 上陸した兵はミロス達が倒しましたの!」
首に付けたチョーカーを通じて島の周りに散っている仲間たちと連絡を取り合う。
これはある程度の距離であれば離れていても遠隔で会話が出来る魔道具で、島の貿易で稼いだ資金を使って買いそろえたのだ。
「この魔道具、とっても便利なのに随分とお安く手に入りましたわね」
「使い捨てだからそんなもんなんだな」
「一度起動したら丸二日くらいで効果が無くなるからのう」
わたくしは今、シュリーやスコットたちと岩山エリアの上に登って他のエリアにいる仲間たちに指示を出しながら、浮遊戦艦の出方を伺っている。
まずは浮遊戦艦から送り込まれた兵士と魔物を返り討ちにして、相手からの次の一手に備えることに。
「さてと、お次はどう来るんだな」
「上陸部隊を潰されたんじゃ。向こうさんはもう出来ることが限られておるよ」
「接近して砲撃ですわね」
「そうなったら吾輩たちの勝ちだな」
射程圏内まで島に近づかない限り、相手側も攻撃できないだろうし、早く次の行動を起こさないとエメラルドドラゴンの襲撃がくるかもしれない。
まあ、実際にはスイとリョクはもう体力の限界が来ているので戦えないのですけど。
まだ子供のドラゴンたちにとって、長時間の飛行と炎のブレスは体力の消耗も大きいのだ。
「アーシア、船がこっちに向かってくるぞ。チャンドラの出番か?」
「チャンドラは秘密兵器なので大人しくしててくださいまし」
「わかった」
まあ、兵器では無いので最後まで大人しくしててもらうつもりですけども。
「む、砲撃の準備を始めたようじゃ」
「それではこちらも発動ですわ」
「文字通り返り討ちにしてやるんだな」
―― ――
「ぐぬぬ……こうなったら、もう出し惜しみ無しだ。『魔装砲』全射出で島を破壊した後に戦艦ごと突撃してやる!!」
「し、しかしそれでは魔原石の採掘地が……」
「多少採掘量が減っても構わん! まずは島の制圧だ!!」
巨大な浮遊戦艦に積まれた砲台をフル稼働させて一気に制圧を進めようとする連合軍。
浮遊戦艦と共に開発していた武器、魔装砲のお出ましだ。
「ドラゴンとガルーダが来る前に急がねば……!!」
「砲撃準備……発射ァ!!!!」
バン!! バン!! バガアアアアアアアアアアアン!!
「不発無し、全弾発射!!」
火花と煙を上げながら射出された魔装砲は、魔石を使用した高威力の弾を使用している。
ひとつでも島に直撃すれば甚大な被害が広がるであろう。
「……ん? な、なんだあれは!?」
浮遊戦艦が砲撃を開始したと同時に、マージンス島の周囲に薄い膜のようなものが出現する。
そしてその膜に発射した弾がぶつかると、まるで高反発なゴムにめり込んだような軌道をした後、まるで来た道を戻るかのように上空へと弾が跳ね返る。
……その弾の先には、ギリス王国・アイル王国が莫大な資金をつぎ込んで開発した浮遊戦艦が何もできずにのんびりと浮いていた。
「「「……えっ?」」」
ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!
…………。
「汚い花火ですわね」
「海が汚れるんだな」
「まったく、アレだけのもんを作る技術と資金をしょうもない事に使いおってからに。攻めるだけの魔装武器開発なんぞ、三流も良いとこじゃ」
自分たちの放った砲撃を食らって爆散する浮遊戦艦を見上げながら、わたくしは島を守れた安堵と戦の虚しさを込めて一息ついた。
「敵艦沈没確認! みなさん! わたくしたちの勝利ですわ!!」
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