81話 魔石ロンダリングですの……?
「それじゃあ今回はアルラウネフルーツが3袋と、アルラウネフルーツ酒が2樽、各種魔物素材が2箱分。それから……」
「魔原石を小袋で5つ。なるべくバラけさせて売ってくれ」
「極秘の取り引きですの」
ロドス海賊団に次の取り引き商品を預け、代理貿易をお願いする。
今回の目玉商品は、スコットたちがアルラウネフルーツを加工して作ったお酒と岩山エリアで採掘された魔原石だ。
特に魔原石は、世界中で需要が高まっている貴重なエネルギー素材のため、かなりの高額で取引される可能性が高い。
「承知した。仕入れ元が分からないようにアタイらの独自ルートを経由して売りに出してみよう」
「よろしく頼みますの」
最初の頃は魔原石を売るつもりは無くて、島の中だけで活用していこうと考えていた。
現在マージンス島で暮らすわたくしたちのほとんどは『ケルディス戦争』という、ギリス王国とアイル王国が魔原石が採れるケルディス鉱山の領有権を主張しあった戦の煽りを受けて島流しにされたり、戦後のケルディス鉱山での強制労働から逃げてきた者たちだ。
マージンス島で採れた魔原石を他国に流通させた結果、どこかの悪い国が島の資源を奪いに来るかもしれないから、そう考えたら魔原石はこのままにしておいたほうが……という風に思っていたのだけれど、そもそもこの島を攻略できないから今までどこの国の領土にもなっていないわけだし、攻め込まれても大丈夫なように今の内から整えておけば問題なさそう、ということで試しに少量だけ魔原石を売ることにした。
「この島で採れたとは言わずに、魔真珠貝からたまたま手に入ったということにしておくよ」
「魔真珠貝ですの?」
「魔原石を生成する貝だな。数自体はいるところには結構生息してるんだが、魔原石を生成している確率はだいぶ低いうえに、大きいものはほとんど採れないから魔原石の入手先としてはあまり重要視されてはいないが……」
「たまにドデカいのが採れたりするのさ。まあ、今回はそんな感じで誤魔化しておくよ」
魔原石の販売先は特に指定していないが、ヨーロンス大陸……つまりギリス王国とアイル王国には渡らないようにだけロドスに伝えておく。
わたくしたちからのささやかな嫌がらせですわ。
「魔原石を売って手に入った資金も足が付かないように上手い事綺麗にしといてやるから安心しておきな」
「資金洗浄ですの」
「魔原石ロンダリングだな」
「人聞きの悪い言い方をするんじゃないよ。まあ、アタイらにとっては褒め言葉だけどね」
悪い事からは足を洗ったけど、海賊としての誇りは捨てていないらしい。
まあでもそのロドスたちの裏ルートを使って安全に魔原石が売れるので、わたくしは良いと思いますわ。
「緑色の嬢ちゃんはなにか欲しいものはありやすかい?」
「チャンドラの欲しいものか?」
「あっしらがなんでも手に入れてきやすぜ」
「そうですわ、チャンドラもなにか欲しいものがあったら言っておくと良いですの」
アルラウネフルーツを島の名産として売りに出すことが出来るのはチャンドラ達のおかげだ。
彼女たちが島で手に入れられないものを代わりに手に入れてあげることでアルラウネ族への恩返しになるだろう。
「チャンドラはなー、やっぱあれだな」
「なんですかい?」
「ヘビの肉だな!」
「ヘ、ヘビ肉ですかい」
「世界中の珍しいヘビ肉を食べてみたいからなー」
ヘビ肉料理を食べてる地域自体がだいぶ珍しいというか、むしろここだけのような気もしますけど……
「そういえば、ユーランス大陸の島国でウミヘビ料理が有名なところがあった気がするな……」
「あ~そういえばありやすね」
「あそこのフライドコブラとかいう料理が結構美味いとか聞いたことありますぜ」
「チャンドラそれ食べたい!」
「分かったよ。それじゃあ各国のヘビ肉を調達してやろうじゃないか」
どうやらロドス海賊団が次に来るときは大量のヘビ肉が届きそうだ。
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