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75話 魔原石ですの?



「ま、魔原石ですの?」



「そうなんだな! 見た感じ、質も良いし量も採れそうなんだな!」



「アーシア、魔原石って……?」



「白の魔石のことですわ。スコット、詳しい話を聞かせてほしいですの」



「ああ、実はな……」



 スコットの話によると、いつものようにカニせんべいを持って東岩山エリアに行き、岩山をナワバリにしているハンマーヒヒたちと交渉して石材を分けて貰っていたところ、岩山エリア内にある洞窟のような場所で魔原石を発見したという。



 魔原石は白の魔石とも呼ばれ、魔石の素となる特殊な結晶で、各種魔石に成長して様々な用途に使われるエネルギーにすることができる。

魔原石は世界的に採掘量が少なく、需要に対して供給量があまりに少ないということで、かなりの高値で取引されている。

それこそ、魔原石が採れる鉱山の領有権を巡って国同士で戦争になるほどに。



「ハンマーヒヒ達は魔原石も普通の石と変わらんから、カニせんべいさえ貰えれば採ってって良いって感じだったんだな」



「それはもう、採掘して他の国に売ることが出来たら物凄い利益になりますわね……」



 しかし、戦争の火種になるほど各国が欲しがっている魔原石。

場合によっては、他の国がマージンス島に魔原石を求めて攻め込んでくるかもしれない。



「この件は、慎重に取り扱わないといけませんわね」


 

 とはいえ、魔原石があれば島での暮らしもかなり発展するかもしれない。

外に売ることはいったん考えず、まずは東岩山エリアで魔原石の調査を進めよう。



 ―― ――



「というわけで、こちらが新たな交渉アイテム、エビせんべいですわ!」



「えびせん、うまそう」



 作り方はカニせんべいの食材をエビに変えただけ。命に感謝。

さすがにカニせんべいだけをハンマーヒヒとの物々交換に使っていたらこの島からカニ型の魔物が絶滅してしまうので、エビも使っていくことにした。

わたくしとチャンドラで味見した感じ、普通に美味しかった。

ハンマーヒヒたちも喜んでくれると良いのですけど。



「なあアーシア」



「なんですの? ミロス」



「エビせんべい、30枚くらい作ったよな。なんで20枚しかないんだ?」



「そ、それは……」



「食いしん坊め」



「わ、わたくしだけではありません! チャンドラも3枚食べました!」



「やめられない、とまらない」



「エ~ビせんべい♪ ですわ!」



 このあとミロスにめちゃめちゃ怒られましたわ。



「ウッギーウギウギ?」



「ウッキーウッキキ」



 東岩山エリアにいるハンマーヒヒたちの元を訪れ、カニせんべいと一緒にエビせんべいも渡して、代わりに魔原石の採取の許可を貰う。



「パリパリ……ウギ!? ウギウギ!」



「ウッキキウッキー」



「チャンドラ、何て言ってますの?」



「エビせんべい、めちゃうま。その白い石が欲しいなら、勝手に採ってけって言ってる」



「交渉成立ですわ!」



 スコットとミロスが洞窟に入り、すぐに採れそうな魔原石をいくつか採掘する。



「やはり、ここの魔原石はものすごく質が良いんだな。ケルディス鉱山でオイラが採ったものより何倍も大きくて純度も高いんだな」



「こいつはまさに大発見だな……本来ならエビせんべい1枚で手に入れられるものじゃないぞ」



「な、なんかハンマーヒヒたちを騙しているみたいで少し心苦しいですわ」



 まあこの島で生活するなら魔原石より食べ物の確保の方が重要ですものね。

物の価値というのは時や場面によって変わるものですの。



「ウギッギギギッギ」



「こんなに美味い物よりそんな石ころが欲しいだなんて、お前らは変わってるなって言ってる」



「まあ、たしかにエビせんべいは美味しいですわね」



 正直、今のわたくしなら魔原石よりエビせんべいの方が嬉しいかも。



「アーシア、アーシア」



「なんですの?」



「チャンドラはね、ヘビせんべいが食べたい」



「なんですのそれ」







————  ――――



読了いただき、ありがとうございます!


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