70話 商船ロドス号ですの!
「本当にこんなもんで良いのかい?」
「とりあえず売れそうなものがそれしかありませんの」
なんだかんだ色々あって、わたくしたちの住むマージンス島の暮らしをサポートしてくれることになったロドス海賊団。
とりあえず島の名産品というか、島にしかなさそうな珍しい食材を木箱に詰めてロドスたちに渡す。
これが売れたら、代わりに島にない食材や衣類などを手配してくれるようにお願いして、今回はおしまい。
「それにしても、アルラウネフルーツねえ……緑の嬢ちゃんから収穫した実なんだろ? 随分と不思議な果物だ」
「チャンドラ、不思議か?」
「なかなかイカしてますぜ」
「写真集とか作ったら売れるかもしれやせん」
「アルラウネ族の写真集か……一部界隈には人気が出るかもな」
他の国には知られていないアルラウネ族のチャンドラたちは、女性しかいない植物系の亜人という世界でも類を見ない特殊な存在で、小柄でかなり可愛らしい見た目をしている。
魔石を使用した撮影道具はかなり高価なため、手に入れるのはなかなか難しいと思うが、彼女たちの姿を世界に発信出来たら大人気になってしまうかも……
「でも、アルラウネ族をダシにしてお金を稼ぐのは気が引けますわ」
「いっぱい稼いでいっぱい美味いもんが食えるなら、チャンドラは別に良いぞ」
「まあこいつはそう言うよな」
「チャンドラの貪欲さは素晴らしいですわ。わたくしも見習わなくては」
わたくしたちよりもはるか昔からこの島で生活してきたチャンドラたちアルラウネ族。
欲しい物を手に入れる為なら身体を売るくらいどうってことないというわけですわね。
いや別に身体を売ってるわけではないのですけれど。体を張る、ですわね。
「それじゃあアンタたちの大事な商品、ちゃんと受け取ったからね」
「姐さんは商才も人脈もすごいんだ! バッチリ売り切ってやりますぜ!」
「なんでアンタが偉そうなんだい」
なんだかんだで、見た目も性格も変わってしまったロドスを変わらずに今でも支えている子分たち。
元は海賊として悪い事もしてきただろうけど、なんだか憎めない人たちだと思ってしまう。
「最後にひとつ聞いておくが……みんな、島を出るつもりはないんだね? ユーランス大陸辺りの国なら、あんたたちでも……」
「お気遣いありがとうございます。でも、わたくしたちはここで良い……いや、ここが良いんですの」
「そうかい……ダルメ、ジャン、ホーレ! そろそろ行くよ!」
「「「へい!」」」
「魔物にお気をつけてくださいまし」
「ハッハー! あっしらは泣く子も笑うロドス海賊団!」
「ちげーよばか! 泣く子も怒るだろ!」
「あほだなお前ら! 泣くまで待とうだろ!」
「泣く子も黙るだよ馬鹿共! とにかく、魔物なんざにやられたらロドス海賊団の名が廃れるってもんだ。海の事なら心配いらないよ」
浜辺に停めていた船の停め具を外し、海賊船が出航する。
「アーシア嬢ちゃん、元気でな―!」
「チャンドラ嬢ちゃんもなー!」
「ミロスの旦那! アーシア嬢ちゃんとはほどほどにしとくんだぜ!」
「だからそれは誤解だ!」
それから海賊船は、魔物に襲われることもなく、地平線の彼方へと無事に消えていったのであった。
「アルラウネフルーツ、売れるかな?」
「大丈夫ですわ、チャンドラ達が丹精込めて育てた美味しいフルーツですもの」
「チャンドラ、適当に育てた」
そこは頷いてほしかったですわ。
「なあアーシア。オレがもし急に女になっちまったらどうする?」
「ミロスが女の人に? うーん……」
人狼族の女性は見たことが無いから、どんな感じになるのかイメージが出来ませんわね……
「メスのミロス、おっぱいボインボインか?」
「それはふかふかでもふもふですわね! 寒い夜も安心ですわ!」
「いやそういうことを聞いてるんじゃないんだがな」
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