68話 海賊船、再びですの?
マージンス島の草原エリアにわたくしたちの本拠点が完成し、新たな島暮らしへの一歩を踏み出した矢先、その事件は起こった。
「ア、アーシア! 大変だ……!」
「どうしたのですかトゥーイ、そんなに慌てて」
「また海賊が来た……!」
「ま、またですの!?」
浜辺にいたトゥーイからの連絡。
それは前回レン達奴隷の子供を乗せてやってきたあのロドス海賊団の船が再び島にやってきたというものだった。
上空から島の周囲を観察していたガーちゃんが遠くから船が来るのを発見したらしく、トゥーイが詳しく確認したところ、見覚えのある翼の生えた骸骨のような旗を掲げた大きな船が島を目指して進行してきていたため、急いで知らせに来てくれたということらしい。
「また性懲りもなく……! ミロス、スコット! 行きますわよ!」
「おう!」
「返り討ちにしてやるんだな!」
もしかしたら奴隷を連れ戻しに来たのかも……ということで、怯える子供たちはマヨルカに任せて本拠地の中で待っててもらう。
「チャンドラも行くー」
「チャンドラは……まあ、戦えるから一緒に行きましょうか」
もしかしたら初めて見るアルラウネ族に戸惑って向こうの出だしを遅くできるかもしれない。
―― ――
急いで浜辺エリアに向かい、森の茂みからこっそりと観察する。
「も、もう船が浜辺に着いてるよ……!」
「どうですの? 新しく奴隷を乗せていたりはしますの?」
「いや、まだ誰も姿を見せてねえな……」
確かにあの船は前回やってきたロドス海賊団のものだ。
もしかして仲間の海賊を増やしてお礼参りにやってきたのだろうか……?
「お、誰か降りてきたんだな」
「あれは……前に見た子分の海賊団員ですわ」
小太りの男と瘦せぎすの男、それからノッポの男が船から降りてきて、周囲をキョロキョロと見回す。
「あ、もう一人出てきた」
「あれは、団長のキャプテン…ロドス?」
先に降りた子分三人に迎えられて船から出てきたのは、前回見たキャプテンロドス……と、同じ格好をした女の人だった。
「……誰ですの? あれ」
「さあ、オレもわからん」
「新キャラ……?」
船から降りてきた四人は浜辺を見渡してしばらく何かを探すような素振りを見せたあと、両手を上にあげて大声で叫び出した。
「前に会った島に住んでるお嬢ちゃ~ん! 危害は加えないから出て来ておくれ~!」
「何もしないですぜ~!」
「話を聞いてくれ~!」
わたくしがどこかで隠れて様子を伺っていると判断したのか、森の方に向かってとりあえず叫ぶ子分たち。
それにしても、あの女の人は誰なのかしら?
「うーん、いないのかねえ……」
「姐さんの姿に警戒してるんじゃないですかい?」
「今までのキャプテンみたいな漢気が感じられないっすもん」
「うるさいねえ。仕方ないだろ、こうなっちまったんだから」
「……ん? キャプテン? キャプテンって言ったかアイツ」
「あの女の人がキャプテンロドスなんだな?」
「いえ、ロドスは男ですわ。わたくしは前に捕まった時、たしかにあの人の股間を蹴り上げて、プチっと……」
…………。
「股間を……」
「蹴り上げて……」
「プチっと?」
「も、もしかして……」
いやでも、まさかそんな……
「嬢ちゃ~ん! アタイだよ! キャプテンロドスだよ!」
「そんなことってあり得ませんわ~!!」
「あ、いやしたで姐さん」
キャプテンロドスは、わたくしに蹴られたせいでミス・ロドスになっていた。
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