66話 立派な家が完成しましたわ!
「最後にここを固定して……よし、終わりなんだな!」
「完成しましたわ~!」
「「「やった~!!」」」
夏期の中月、無人島生活5か月目。
マージンス島の草原エリアで建造が進められていたわたくしたちの本拠地が遂に完成した。
森林エリアで伐採した木材と東岩山エリアで採取した石材を使って、大工職人のスコットを中心に少しずつ作業を進め、大きくて立派なお家が完成した。
「すごいですわ! 二階建てですわ!」
「屋根に監視用のやぐらも設置してあるんだな。ガーちゃんが飛んできても着地できるんだな」
「これなら、見張りもしやすい……」
一階には大きな寝室とゆとりのある調理場、そしてみんなで食事が出来るテーブルとイスが。
二階には4つに分けられた部屋があり、男女で分かれて眠れるように。
「こっちの離れの小屋はなんだ?」
「そこはトイレなんだな。こっちの空いてるスペースには、良い素材が手に入ったら風呂を作りたいんだな」
「お風呂、良いわねえ」
「温かいお風呂」
「入りたーい」
マヨルカ、リア、ミアの女性陣はやはりお風呂とキッチンが最重要みたい。
今は夏だから良いけど、冬になる前に温かいお風呂に入れるようになると嬉しいですわね。
「あとは採取した食材や素材を保管する倉庫を建てたいんだな」
「増築やるときは言ってくれ」
「おれたちも手伝うぞ」
レンとゼンは島に来てからスコットの拠点建築を手伝ってくれていた。
あまり子供たちに労働のような事をさせたくないとスコットたちは言っていたけど、2人は建築作業が楽しかったようだ。
「マヨルカの薬草園も結構大きくなりましたわね」
「中々良い感じよお。獣系の魔物が嫌いな香りの植物を見つけたから、増やして拠点の周りに植えていきたいわねえ」
スコットが建てた家の横に畑を整備して、森で採れた薬草や一部の葉野菜などを育てているマヨルカ。
家が完成して畑もあって、なんだか一気に島での生活に彩りが出てきましたわね。
「せっかくだし、今日は新拠点完成のお祝いをパーッとやろうか」
「良いですわね!」
「「さんせーい!」」
「それじゃあまずは……メイン食材の確保だな」
―― ――
草原エリアの南方面にある巨大な火山。
その麓あたりまでやってきたわたくしとミロスは、本日の新拠点完成のお祝いパーティーのメインディッシュとなるような食材を探していた。
「ミロス、なんの獲物を探してますの?」
「ん? ああ……オレが探しているのは『ホグノーズポーク』だ」
「ホグノーズポーク?」
「正確にはホグノーズポークの近縁種ってところだな」
ミロスによると、ホグノーズポークに似た魔物が前に草原エリアに現れ、追いかけたがこの山の方へ逃げて行ってしまったとのこと。
ホグノーズポークというのは、下あごが発達して顔がシャベルのように反りあがったイノシシのような魔物だという。
「もしかしたらマヨルカの畑を狙って出てきたのかもしれないってことで、数日前からこの辺りにわなを仕掛けておいたんだが……お?」
「おっきな穴が空いてますわ」
山と草原エリアの境目辺りの茂みに突如現れた謎の穴。
その穴はわたくしどころか、ミロスでさえも入れてしまいそうなほどに広かった。
「……よし、ビンゴだ。獲物がかかってるぞアーシア。結構凄惨な光景だから無理はしなくていいが、中を見てみるか? 落ちないように端からゆっくりな」
「はい……あ」
穴の中を覗くと、そこには地面に設置されたミロスの武器に突き刺さって息絶えた巨大な魔物が。
さっきミロスから説明されたようなホグノーズポークのイメージに合致する魔物だ。
きっと落とし穴のような罠をミロスが作って設置していたのだろう。
そういえばこの辺りには数日近づかないようにミロスが注意してましたわね。
「コイツには済まないが、本日のオレたちのご馳走になってもらおう」
「……命に感謝、ですわね」
命の重さは平等だと分かっていても、こういった魔物を見るとカニを捕まえてせんべいを作るよりもなんとなく罪悪感を強く感じてしまう。
丁寧に調理して、みんなで美味しく食べさせていただきましょう。
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