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64話 香水ですの……?



「なるほどお。熱帯夜のアツアツビーチでアーシアちゃんとミロスちゃんが二人で寝てたらこの愛の結晶が出来たってわけねえ」



「なにも合ってないが」



「トゥーイたちが浜辺で拾って来たんですの!」



 森の拠点で朝ごはんを作っていたマヨルカたちの元に良い香りのする石を持って行くと、早速ふたりで寝ていたことをからかわれてしまう。

まったく、レンとゼンが浜辺であったことをマヨルカに全部説明するから……



「この石、ゼンが見つけたんだぜ!」



「甘い匂いがするんだ。ミロスさんが言うには魔物のベゾアールとかなんとかって」



「ベゾアール……なるほどねえ。確かに、これは高級香料に使われる珍しい素材だわあ。ゼンちゃん、良く見つけたわねえ」



「う、うん……えへへ」



 マヨルカに褒められてまんざらでもなさそうなゼン。

なんだろう、レンとゼンはマヨルカにかなり懐いているみたいだ。

まあ、たしかにお母様みたいなところもありますものね。魔女だけど。



「ミロスは魔物の体内で生成される石だと言っていましたが、それでどうしてこんな甘い香りになるんですの?」



 ミロスにも聞いてみたのだけれど、『あまり詳しい事は知らない方が香りを楽しめるぞ』とか言ってたのよね。

一体どういうことなのかしら? なんとなく魔物の身体の中で魔力とかが結晶化したものだと思っているのだけれど……

ちなみにそのミロスはというと、泉で水浴びをしているリアとミアの護衛に出かけている。



「細かく説明すれば、アンバーホエールという大型の魔物が食べたエサの一部を体内の消化分泌物で結石化させたものねえ。それがうんちと一緒に排泄されて、発酵が進んで芳香成分に変わっていく、と言われているわあ」



「これ、うんちなのか……」



「うんちなんですのね……」



「良い香りのするうんち……」



 聞かなきゃよかったですわ。



「うんちと一緒に排泄されるってだけで、うんちではないわよお。それに、この大きさなら国によっては数千万エルとか、数億エルで取引されたりもするんだからあ」



「お、億ですの!? このうんちが!?」



「高級うんちだ!!」



「いやだからうんちじゃないのよお」



 マヨルカはうんちという言葉を覚えた子供のお世話で大変そうなお母さんになっていた。



 ―― ――



「そうか、真実を知ってしまったか……」



「あの石は、甘い香りのする魔物の高級うんちでしたわ……」



「うんちではないけどな」



 泉の周辺を見張っていたミロスを発見し、ゼンが浜辺て拾った良い香りの石の真実を知ったことを彼に打ち明ける。

たしかに、詳しい事は知らなかった方が純粋に香りを楽しめましたわね。



「まあでも高級品には変わりないからな。いつか外部と取引できるようになった時の為に保管しておこう」



「そうですわね」



 そうだ、せっかく泉に来たのだし、わたくしも水浴びしようかしら。



「ミロス、わたくしも水浴びしてきて良いですの?」



「ああ、良いぞ……」



「ミロスさーん」



「水浴び終わりましたー」



「ん、ちょうど二人が帰ってきたな」



 どうやら先に水浴びをしていたリアとミアが戻ってきたらしい。

入れ違いになっちゃいましたわね。



「……って、二人ともストーップですわ!!」



「ん? どうしたんだアー」



「ミロスはこっち向いちゃだめですの!!」



 リアとミアは服を着ていなかった。



「あ、アーシアさんだー」



「おはようございますアーシアさん」



「ええ、ごきげんよう……じゃなくて! 服はどうしたんですの二人とも!?」



「実は着替えが無いのに洗濯しちゃいまして」



「泉の近くに干してあるの」



「わたくしのを貸してあげるからもう少し水浴びしてなさいな!」



 二人の替えの服を用意する為、わたくしは急いで森の拠点に引き返すのであった。



「ミロス! なに振り向こうとしてるんですの!?」



「してねえよ」





————  ――――



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