63話 仲良しの2人ですの
……。
…………。
「ミロスとアーシアはこっちで寝てる……」
「浜辺にも拠点があるんだな」
「こっちが一番最初に作った拠点……」
「ふーん」
朝早く目が覚めてしまったレンとゼンは、トゥーイの浜辺散策に付き合うことにしました。
浜辺散策は元々アーシアがやっていた朝の定期活動で、浜辺を散歩しつつ夜のうちに流れ着いた素材や食べられそうなものを探す活動です。
最近はトゥーイとガーちゃんで浜辺エリアの管理をしているので、自然と彼がやるようになりました。
「トゥーイが島に来たときには、アーシアさんとミロスさんとマヨルカさんがいたんだっけ?」
「そう……ぼくとガーちゃんはその後に来た……」
「アーシアさんとミロスさんって仲良いよな」
「たしかに。人間と亜人なのにな」
「最初は、しばらく二人で暮らしてたらしいから……」
アーシアはギリス王国の公爵令嬢、ミロスはアイル王国の元傭兵。
戦争をしていた国同士の二人ですが、人がいないこの島ではそんなことは些細な問題です。
「あ、ほら。あれが浜辺エリアの拠点だよ……海賊に壊されちゃったけど」
「そうか、あいつらに……ん?」
「くー、くー……う~ん、ミロス~……Zzz」
「……んぐ、お、重い……Zzz」
「「「…………」」」
トゥーイが二人を浜辺に案内すると、海賊に壊された拠点の横で眠るアーシアとミロスを発見しました。
アーシアは仰向けに寝るミロスお腹に乗って、身体を丸めて気持ちよさそうに寝ています。
「なんか、『隣のトロトロ』みたいだな」
「あ、それぼくも知ってる……」
「トーモコロシな」
「「あははっ」」
二人を起こしては悪いので、トゥーイたちは拠点から離れて浜辺の散策を続けました。
―― ――
「う~ん……Zzz」
…………。
「……はっ! 朝ですわ!」
ザザーン、ザブーンという波の音と共に目が覚める。
最近は森の拠点で眠ることが多かったから、この波音と日の出を浴びての起床は久々だ。
「やっと起きたか……」
「って、ミロスっ!? なんでわたくしの下にいるんですの!?」
「お前がまた寝ぼけて乗っかったまま寝てたんだよ……」
「そ、そうなんですのね」
昨日は色々あったから普段よりもグッスリ眠ってしまっていたらしい。
いつも起きる時よりも太陽の位置が高い気がする。
「あ、アーシアたち起きてきた……おーい」
「トゥーイと……レンとゼンですの」
「アーシアさんたちぐっすり寝てたから、起こさないように浜辺を見て回ってたんだ」
「二人とも仲良いんだね」
「み、見られてたんですのっ!?」
「まあ、拠点が壊れていつにも増して野宿だったからな」
「~っ!!」
わ、わたくしとしたことが……一生の不覚ですの~!!
「あ、そういえばさっき浜辺でこんなものを見つけたぜ」
「これ、ゼンが見つけてくれた……」
「これは……」
見た目は手のひらサイズの黄褐色の石のように見える。
しかし、普通の石とは違ってなんだが良い香りが漂ってくる気がする。
「なんでしょう。焦がしたカラメルみたいな、ふわっとした甘い香りがしますわ」
「なんだろうね、これ……」
「ちょっと見せてくれ」
ミロスが石を光に照らしたり、匂いを嗅いだりして何か確かめている。
なんだろう、珍しい鉱石とかなんだろうか。
「驚いたぜ、まさかこんなものが島に流れ着くとは……」
「ミロス、これが何か知っていますの?」
「ああ……これはおそらく、アンバーホエールのベゾアールだ」
「あんばーほえーる? べぞあーる?」
説明されても全くもって分からなかった。
わたくしもまだまだ勉強不足ね。
「ああ、すまんすまん。これはクジラ型の魔物の体内に出来る石で……香水用の高級素材なんだ」
「これが、香水になるんですの!?」
いそいでマヨルカ先生に知らせなきゃですの!!
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