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61話 ワンド族長国と北ゾーエ皇国



「それで、あなた達はどういう経緯で海賊船に乗せられたんですの?」



 食事を終えて一息ついた後、わたくしたちは奴隷として売られそうになっていた彼らに事情を聞くことにした。



「つらい事もたくさんあったでしょうから、言いたくないことは言わなくていいですの」



「わかった。それじゃあ、おれが話すよ」



「あたしもサポートするわ」



 4人の子供たちのうち、レンが代表して話をして、足りない所はリアが説明してくれることに。



「おれたちは、アージンス大陸にあるワンド族長国という国に住んでいて、みんな親はいない」



「孤児だった、ということですの?」



「ああ……国の中で戦争がいっぱいあって、おれの親はそれで死んだ。ほかのみんなも似たような理由だ」



「国の中で戦争……」



「ワンド族長国は複数の部族が集まって一つの国を形成しているんだ。国の中にそれぞれの価値観を持った人が住む小さい国がたくさんあるって感じだな。そのせいで部族同士の衝突も頻繁に発生していてな……」



「アージンス大陸にある他の国とも戦争しているから、常に戦が絶えない不安定な国なの」



 アージンス大陸にある唯一の人間族の国であるワンド族長国は、隣接する獣人族の国とも小競り合いが多発していて人々は苦しい生活を強いられているんだとか。



「最近は部族同士のいがみ合いも減って、国内のまとまりだけでいえば多少はマシになったと聞いていたが……まあ、レンたちのように親世代が戦で亡くなっているという子供は結構いるんだろう」



「それで、みなさんも孤児に……」



「孤児になった後は、スラムで暮らしてたの……?」



 彼らと同じく、戦争で親を失ってアイル王国のスラムで生活していたトゥーイがどこか悲痛な面持ちで質問する。

わたくしもケルディス戦争でお父様とお母様を失ってしまったが、彼らはもっと幼い頃から一人で生きてきたのだろう。



「最初のうちはそうだな……おれはそこでゼンと出会って、しばらくして二人一緒に孤児院に拾われた」



「あたしとミアは最初から一緒よ」



「リアとは双子なの」



「そうだったのか。たしかに随分と似てるなとは思っていたが」



 その後4人は同じ孤児院で出会って、他の孤児たちと一緒にそこで暮らしていく……ということにはならなかった。



「……おれたちを拾った孤児院は、裏で孤児たちを他の国に奴隷として売り飛ばす奴隷商をやってたんだ」



「ひどいですわ……!」



 そして孤児院から奴隷として売られた彼らは、輸送を担当するロドス海賊団に乗せられていたところ、食料確保のために寄ったマージンス島で脱出を試みたということだった。



「どこの国に、行くことになってたの……?」



「いや、それは教えてくれなかったな……でも、アージンス大陸からこの辺りを通ってるからヨーロンス大陸のどこかだと思うけど」



「……おそらく、アイル王国なんだな」



 長いひげを引っ張りながら何かを考えている様子のスコット。



「スコット、それは本当ですの?」



「オイラがやらされていたケルディス鉱山での労働人員の補充が目的の可能性が高いんだな」



「でも、レンやゼンはともかく、リアとミアはあまり力仕事は出来ないのでは……」



「鉱山での仕事は採掘作業だけではないんだな。労働者の飯を作る炊事場での作業や、作業着の洗濯場での作業もあるんだな」



「そうなんだ……」



 わたくしが想像しているよりも、鉱山での労働には色々な人が従事させられているみたいだ。





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