55話 アルラウネフルーツですの!
「アーシアたち、シャンドラの実、欲しい?」
「ええ、そうですの。実は……」
チャンドラの母兼姉、シャンドラに彼女たちアルラウネ族の果実を島の名産にしたい旨を説明する。
見慣れないわたくしたちに興味を持ったのか、周りにいた他のアルラウネ族たちも集まってくる。
「それで、みなさんの髪に実るフルーツを使って……」
「あなた、もふもふ」
「しっぽ付いてる」
「お、おい……」
「手がぷにぷに」
「髪撫でて髪」
「むむむ~……!!」
ミロスはアルラウネ族に大人気だった。
まったく、ミロスもミロスですわ。わたくしが説明中だというのにイチャコラと……
「アルラウネ族の果実ですから、『アルラウネフルーツ』とでも呼びましょう。それで、あなたたちから何かと引き換えにアルラウネフルーツを分けて頂きたいのですけど……」
「なにかくれるのか?」
「ミロス」
「お、おう……ちょ、ちょっと失礼」
ミロスがペタペタと触りまくるアルラウネ族たちを退かして持ってきた布袋からとある食料を取り出す。
「ジャングルバイパーの干し肉だ。とりあえずこれでいくつか交換してもらえないだろうか」
ヘビ肉はチャンドラの好物だ。
他のアルラウネ族たちの好みが分からないので、とりあえず今回はこれを持ってきたのだけれど……
「くんくん……ヘビの匂い!」
「じゅるり」
「うまそう!」
「これは試食用だから対価はいらん。食っていいぞ」
「「「!!」」」
ミロスがジャングルバイパーの干し肉をちぎってみんなに配っていく。
生のヘビ肉は食べたことがあっても、干したものは初めてなのか、みんな慎重に……
「はぐはぐはぐ、うまい!」
「いやチャンドラは食ったことあるだろ」
ちゃっかりチャンドラも干し肉を貰って食べていた。
あなたは味見必要ないじゃない。
「はぐ、はぐ……ん! うまい!」
「うまいなこれは」
「いくらでも食えるな!」
どうやら他のアルラウネ族たちにも好評みたいだ。
「それにしても、植物系の亜人なのに魔物の肉が好物なのはどうなのかしら……」
「まあ、食虫植物とかもいるしな。アージンス大陸に生息する〝コワクカズラ〟という植物は身体の一部を罠のようにして人間を捕食したりもするし」
「怖すぎますわ」
ペロリとジャングルバイパーの干し肉を平らげたアルラウネたちは、ミロスが持っている残りの干し肉に熱い視線を注いでいた。
「そ、それで、どうだ? この干し肉と、アルラウネフルーツを交換してくれないか?」
「「「良いぞ!!」」」
「ずいぶんと力のこもった承諾を頂きましたわね」
ちょうど今、頭にフルーツが実っているアルラウネ達が近づいてくる。
これは収穫して良いよってことだろうか。
「ミロスに採ってもらうと、スッキリする」
「じゃあミロスにお願いする」
「お、おう……」
何故か分からないけど、チャンドラはミロスが収穫した時とわたくしが収穫した時で全然反応が違う。
それを聞いたシャンドラがミロスの前に座って後ろを向く。
「それじゃあ貰うぞ」
ぶちっ。
「お〝っ」
「だ、大丈夫か!?」
「大丈夫、もっと採ってくれ」
「あ、ああ……」
ぶちっ、ぶちっ。
「お〝っあ〝っ」
「なんかちょっと……破廉恥ですわ!」
何はともあれ、これで新たな島の名産品『アルラウネフルーツ』を手に入れることが出来たのだった。
……まあ、売る相手がいないのでしばらくはわたくしたちの食材として活用するだけなんですけどね。
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