54話 アルラウネ族の集落ですわ!
「こっちこっち」
「ちょ、ちょっとチャンドラ、速いですわ!」
「木の上飛んでくのズルいだろ!」
~これまでのあらすじ~
いつか商人の船が島を訪れたときの為、島の名産を探していたわたくしたち。
この島にしかいないアルラウネ族から採れる実が売れそうだということで、チャンドラが暮らすアルラウネ族の集落に案内してもらっていた。
「そういえばこっちの方には来たことありませんでしたわね」
今向かっているのは、森林エリアの西側。
東の森はハンマーヒヒたちがいる岩山エリアに行くときに通ったけど、西側はまだまだ未開拓だ。
「まあ、チャンドラ以外のアルラウネ族が友好的かどうかも分からないからな。チャンドラが子供だからオレたちに無警戒なだけかもしれないし」
「それもあって、西側の開拓は後回しにしてたんですのね」
獣道すら見当たらない未開拓の森の中を走るわたくしとミロスの上を、ツルを操って木から木へと飛び渡っていくチャンドラ。
「この先にチャンドラたちの家ある!」
「はあ、はあ……も、もうちょっとですわ」
「でもアーシア、こんな道の無い森の中を休まずにこれだけ走れるってことは、島に来たときよりかなり体力ついてきたんじゃないか?」
「はあ、はあ……そ、それはたしかにそうですわね」
あまり実感していなかったけど、ギリス王国でお屋敷暮らしをしていた時と比べたらかなり体力や筋力が付いてきたかもしれない。
将軍家の娘として多少の体力づくりや護身術程度の訓練は受けていましたが、やはり自然の中で必要に駆られて鍛えられるのとでは大違いですわね。
「着いた!」
「はあ、はあ……こ、ここがアルラウネ族のおうち……」
「すごいなこりゃ……」
チャンドラの後を追ってしばらく森の中を進むと、急にひらけた場所に出る。
そこには巨大な切り株のようなものが鎮座していて、周りではチャンドラに似た緑色の肌をした女性たちが思い思いに過ごしていた。
「切り株に扉が付いてますわ」
「あの切り株自体が住処になってるのか……」
ちょうど切り株に付いている扉が開いて、一人のアルラウネ族が出てくる。
あの中が部屋になっているんですのね……なんだかメルヘンでかわいいですわ。
「あ、シャンドラだ。シャンドラー」
「チャンドラか。どうしたー?」
ついさっき切り株ハウスから出てきた女の子に声をかけるチャンドラ。
チャンドラよりちょっと背が高いかな?
「アーシア、ミロス。こいつシャンドラ」
「シャンドラさん……ですの?」
「名前似てるな。チャンドラの姉ちゃんとかか?」
「シャンドラ、チャンドラのお姉ちゃん?」
「んー、わからん」
「わからんってなんですの」
シャンドラと呼ばれたアルラウネ族の少女は、チャンドラと似たようなしぐさで悩みだした。
「二人は同じ母親から生まれてきたのか?」
「違う。チャンドラは、シャンドラから生まれた」
「えっ!? じゃあシャンドラがお母さんですの!?」
「「んー?」」
「なんでそこで悩むんだよ」
チャンドラとシャンドラは二人して頭を傾けて悩みだした。
動きがそっくりなのは、やっぱり親子だからなのかしら。
「アルラウネ族、種から生まれる」
「そうなのか……植物系の魔物っぽいな」
「シャンドラの髪に出来た種、植えたらチャンドラになった」
「なんか子供向けの絵本みたいな展開ですわね」
「たしかにそれだと、親というより分体……双子の姉妹に近いかもしれんな」
アルラウネ族たちは、成長すると髪に出来る実の中からごくごく稀に種の入った実が出来るという。
その種を植えることで新たなアルラウネ族が生まれるという仕組みらしい。
「……ど、どうしましょう。わたくしが食べた実の中に種が入っていたら」
「そしたらアーシアのお尻から、チャンドラの子供が」
「いやああああああああああ!?」
「チャンドラ、まだ種ができるほど成長してない」
「だそうだアーシア。だから落ち着け、今ここで下着をおろそうとするな」
「ミ、ミロス……わたくしにアルラウネ族の子供が生まれたら一緒に育ててくださいですの」
「出来ないから安心しろ」
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