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33話 浜辺から草原へ



「それではみなさん、今日からマージンス島として新たな生活が始まることを記念して……かんぱ~い!」



「か、かんぱい……」



「うう、ねみい……」



「う~ん、かんぱ~……Zzz」



「ちょっとそこの魔女さん! 寝ないでくださいまし!」



 朝の浜辺散策から戻り、ガーちゃんが獲ってきてくれた魚と拾った海藻でスープを作り、みんなを叩き起こして朝ごはんを食べる。

塩だけの味付けだけど、やっぱり魚のお出汁があるのと無いのでは全然風味が違いますわね。



「それでアーシア、今日から少しずつ森を切り拓いていくんだよな」



「ええ。浜辺からまっすぐ一本道を作れば、森を抜けて草原エリアに出れるはずですわ」



 本日からは、今までのような周囲の探索に加えて少しずつ島の開拓を進めていくことにする。

まずはわたくしたちが拠点としている南の浜辺から背後の森の先にある草原エリアまで行ける道を作っていく。

力仕事が得意なミロスを中心に、わたくしたちも草を刈ったりして道の整備を手伝う。

魔物を狩ったり、肉、魚系の食料調達をしてくれていたミロスの代わりは、ガルーダのガーちゃんを駆使してトゥーイに頑張ってもらう。



「それじゃあまずは、木を伐採する用のオノとノコギリを作るか……」



「そんなの、作れるの……?」



「一応、武器になりそうな魔物の素材は色々と集めてたからな。そうだマヨルカ、ちょっとアンタにしか扱えないモノがあるんだ」



「ん~……? アタシにしか扱えないモノ~? それって男に生えてるヤシの木」



「子供たちの前でクソみたいなジョークは止めろ」



「わ、分かったわよお」



「?」



 いきなりマヨルカの顔面を片手でがっしりと掴むミロス。

なんだろう、マヨルカがなにか変なことを言ったんだろうか。



「魔力回路があるのがお前だけだからだ。ちょっと待ってろ」



 ミロスが拠点の裏で保管していた魔物の素材を持ってくる。

それはぱっと見、剣のような見た目をしていたが、刃の部分が全て凸凹になっていた。



「それはなんですの?」



「コイツは『チェンソーマカジキ』の頭部だ。正確には吻だな」



「ふん……?」



「マズル……いや、人間で言うと鼻の部分か。マカジキの吻はこんな感じで凶器の様に長くて鋭い種類が多い。これで敵と戦ったり餌を獲ったりするんだ」



「面白いですわ!」



 そういえば数日前の夕飯に食べた魚について聞いたらミロスがチェンソーマカジキだと言ってた気がする。

頭にこんな危険なものが付いてたのね。



「チェンソーマカジキは自らの吻に魔力を流すことで回転する刃として利用している。殻に閉じこもった貝や、甲羅の硬い魔物なども真っ二つにできるんだ」



「よく分かんないけどかっこいい……」



「チェンソーマカジキすごいですわ!」



「というわけでほれ、これをマヨルカにやろう。そんでもって伐採を手伝ってもらう」



「えっ? いや別に、アタシはいらないけどお? 伐採とかできる力もないわよお」



「まあまあ、こいつに魔力を流して木に当ててみろ。慎重にな……刃の先端は木に当てるなよ、跳ね返ってお前の腕が伐採される」



「ええ……」



 マカジキの頭部を受け取ったマヨルカが近くの細い木に向かってチェンソーを構え、恐る恐る魔力を流す。



 ギュイイイイイイイイイイイイイイン!! バキィッ!!!!



「……一瞬で木が切れちゃったわあ」



「な、なんか凸凹部分が高速で回転してましたわ!」



「よく分かんないけどかっこいい……!」



 速すぎてよく分からなかったけど、チェンソーの周りにある凸凹の部分が刃の周りを高速で回り、削るように木を切り倒したように見えた。



「おお……予想以上に良い性能だ。マヨルカ、この調子で伐採の手伝いを頼んだぞ」



「これ、結構力仕事なんだけどお……?」



「まあまあ、これを機にしっかりと体力を付けるんだな」



 こうしてわたくしたちは、チェンソーマカジキを駆使したマヨルカによって一気に森の開拓を進めていくのだった。



————  ――――



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