32話 マージンス島1日目ですわ!
「みなさんごきげんよう! 今日から魔物島改め、マージンス島での暮らしが始まりましたわ!」
…………。
「……ぐがーZzz」
「う、う~ん……トゥーイちゃん、このお薬を飲んで……Zzz」
「……た、たすけ……ガーちゃ……Zzz」
「この島は夜更かしさんばっかりですわね」
ごきげんよう、アーシアですわ。
昨日、わたくしたちの暮らすこの島の名前が『マージンス島』に決まりましたの。
今日はマージンス島での暮らしが始まる記念すべき1日目。
島民の方々にはもっと気合いを入れてほしいものですわ。
「とりあえず、いつもの浜辺散策に出かけましょう」
―― ――
「ふんふんふ~ん♪ コンブ茶、ワカメ茶、ヒジキご飯~♪」
いや、ワカメはお茶じゃなくてスープですわね。
「……はあ、お米とパンが食べたいですわ」
島での食事は、主に魚と野草、キノコ、果物などが多い。
たまにカニやエビ系の魔物が獲れたり、ミロスが森に仕掛けた罠にかかった魔物のお肉が食べられたり。
ちなみによく罠にかかるのは『アナブタ』という身体が細長いブタの魔物だ。
家畜として飼い慣らされたマルブタよりも肉が少ないが、この島で食べられる貴重なお肉である。
「森を抜けることが出来たら、もっと色々なお肉……じゃなかった、魔物が生息しているのかしら」
島に暮らす魔物を、種類によって殺す、殺さないの選択をすることについては、今でも考え続けている。
ただ、まずはとにかくわたくしたちの血肉になってくれてありがとうの気持ちが大切かな、と考え、食事の際には祈りを忘れないように心掛けていますわ。
「まあ、殺された魔物にとっては感謝されようが嬉しくもなんともないと思いますが……あ! ガーちゃんですわ」
「ギィィ」
鳥型の大きな魔物、ガルーダのガーちゃんは魔物使いをしているトゥーイの相棒だ。
とはいえ、いつもトゥーイと一緒にいるわけではなくて、1人で餌を探して飛び回っていたり、狩りをしたりしているらしい。
「ギィッギィッ」
ガーちゃんが浜辺に打ち上げられていた海藻のようなものをつついている。
「ガーちゃん、それなんですの?」
ガルーダは肉食の魔物だってトゥーイが言ってたけど、一体何をつついて……
「……っ!! こ、これって」
ガーちゃんがつついていた海藻のようなものは、ボロボロの白い服だった。
しかも、わたくしはその服に見覚えがあった。
「ギリス王国軍の海軍服、ですわね……」
つい一月ほど前に、わたくしを乗せた軍艦の乗組員が着ていた制服だ。
見た感じ、服だけで中身は無さそうだけど、もしかしたら匂いとかが残っていたのかもしれない。
そういえば、ガルーダは人間の死肉も食べる場合があるってトゥーイが言ってたわね……
「ガーちゃん、それは食べられませんわよ」
「ギィィ?」
ガーちゃんから服を回収して、森の脇に埋めて手を合わせる。
わたくしを島に送り届けた結果、自らが命を落とすことになるとは思いもよらなかったでしょうね。
「……よし! 今日も1日生きていることに感謝ですわ! 改めてマージンス島生活1日目、張り切っていきますわよ~!!」
「ギィィ~!!」
「それはそれとして……ガーちゃん、何か美味しそうなお魚とか獲って来れたりしませんか?」
「ギィィ?」
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