18話 マヨルカの恩返し
「ふう、ごちそうさまでした」
「お粗末さん」
「魚介のスープ、美味しかったわあ」
浜辺に倒れていた魔女のマヨルカは、水を飲んで少し休憩した後は自分で料理を食べられるくらいにまで回復した。
特に怪我などもしていないみたい。大事なくてなによりだわ。
「マヨルカもギリス王国で軍艦に乗せられて島流しにされたんですの?」
「そうねえ。途中まではそうだったわあ」
「途中まで?」
「島が見えた辺りで軍艦から降ろされたというか、小さな木のボートに一人で乗せられてはいさようなら。って感じねえ」
「そんな……あんまりですわ」
おそらく、魔物に襲われる前に引き返したかったのだろう。
マヨルカが無事にこの島にたどり着けてよかった。
「まあ、アタシのことはもういいわあ。それよりもアーシア、あなたよあなた」
「わたくしが、どうかしましたの?」
「あなた、なによその破廉恥な恰好は。もしかしてミロスちゃんに色目を使ってるのかしらあ?」
「なっ……! そ、そんなんじゃありませんわ!」
「ミロスちゃんて……」
マヨルカは帆布を巻いただけの無人島スタイルなわたくしの格好に思うところがあるらしい。
そう言われても、今できる服装はこれが精いっぱいなのだけれど……
「その帆布はまだ余ってるのよねえ?」
「ああ、おそらく巨大な軍艦の帆に使われていたものだからな。拠点の屋根や敷物に使ったが、まだまだ残っている」
「ふうん……あとは、そうねえ……染料はなにかしら森で採ってくれば大丈夫かしらねえ。それから帆布を洗う石鹸が欲しいわねえ」
「石鹸なんてありませんわ」
むしろあったらわたくしが髪と身体を洗うのに使いたいくらいだ。
あーあ、どこかから流れ着いたりしないかしら。
「……あら? そういえばこの食器はヤシの実で作ったものよね? ヤシの実が採れるのかしらあ?」
「ああ、向こうに何本か生えてるぞ。実を採っていない木もまだあったはずだ」
「それなら……うん、なんとかなりそうねえ」
マヨルカがさっきから何かつぶやきながら考え事をしている。一体どうしたのだろうか。
「アーシアちゃん、ミロスちゃん。助けてくれたお礼にアタシが服を作ってあげるわあ」
「えっ? それは本当ですの!?」
「勿論よお。とは言っても専門じゃないから結構シンプルなものになっちゃうけど、出来る限り良いものを作ってあげるから。女の子だもの、島流しにされたって、もっと可愛い服が着たいわよねえ」
「マ、マヨルカ~……っ!!」
わたくしは感極まってマヨルカに抱き着いた。
新しい服を手に入れるには、どこかから運良く浜辺に漂着してくれないと無理かな~くらいには諦めていたから、本当に嬉しい。
「でも、どうやって作るんだ? 帆布はあるが、逆に言うとそれ以外は何も無いぜ」
「無いならこの島にあるもので代用すれば良いのよお。とりあえず、ミロスちゃんにお願いがあるわあ」
「ん、なんだ?」
マヨルカは料理を入れたヤシの実の器を指さしながら、ミロスにひとつお願いをした。
「ヤシの実をいくつか採ってきてくれるかしらあ? まずはそれで石鹸を作ってあげるわあ」
「えっ!?」
ヤシの実から、石鹸を作る……!?
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