そうだ、ちょっと散歩してくる
ごめんね。ごめん。
ごめんね。
この世界に新たに生まれた主人公、魔法使いはこの世界の異質さに気付いた。この世界にあるのは妹と小さな家だけで、ほかは何も無いただの白い空間が広がるばかり。
そんな何も無い世界のことを更に知るために、魔法使いはあることを閃いた。
「そうだ、ちょっと散歩してくる」
「散歩?」
「うん」
「急だね?」
「この世界を知るためにはそれしかないかなと」
「もっと他の方法もある気がするけど」
「でも多分手っ取り早いのは散歩かなって」
「そっか」
「散歩ってどこに行くの?」
何も無い世界を散歩すると言ったのだ。不安にもなるだろう。しかし、これまた魔法使いは突拍子もないことを言う。
「とりあえず近くで行けそうな世界があったらそこ行く」
新発見だ。どうやら世界は沢山あってその世界には行くことができるらしい。
「私は?ついてってもいい?」
妹がそう聞くと、魔法使いは悲しげに微笑みながら首を振った。
「妹には、私の目印としてこの世界に居て欲しい」
「目印?」
「私の目印として、帰る場所として、私の世界はここにあるってことを知らせてほしい」
「…わかった待ってる」
「ありがとう。目印お願いね」
「うん。…ねぇ」
「なに?」
「必ず、帰ってきてね。…1人は怖いから」
「…わかってるよ。必ずね」