エピローグ
と、そこで紫乃はくるっと読者の方を向いた。
「皆さま、ごきげんよう。わたくし紫乃と申します。現在はよろずやつかさ受付嬢ならびに警護を任されています。以後よろしく――ああ、読者の方によっては強い印象を残すことができたでしょうかわたくしのことですからね。
というわけで『オーマイガーが叫べない』終了でございます。今回あまりわたくしの出番がありませんでしたがそれでも皆さま存分にお楽しみいただけましたでしょうか? 今度はわたくしも隆起さんや司坊っちゃんのように大活躍できるよう作者の方にはぜひ頑張っていただきたいものですね。
そうそう。わたくし、もともとは鴻池家の家政婦をやっておりましたの。司坊っちゃんが生まれたときから仕えて参りました。司坊っちゃんはそれはそれはかわいらしい少年で、末は博士か大臣か、といった聡明な子だったのですが、それが気が付いたらデイトレーダーだか何だかという毎日パソコンと向き合っている大人になってしまいました。それもこれも幼稚園のときからく腐れ縁の隆起さんのせいでございます。ええ。隆起さんは高位の影響力を抹消する特殊能力をお持ちだとか何だとかでいつも司坊っちゃんを振り回しておりますね。皆さまは本当にそんな不思議な現象がこの世にあるとお思いでしょうか? わたくしははっきり言って隆起さんの妄想か冗談かだと思っておりますが、まあ~司坊っちゃんもいろいろあって隆起さんの運命共同体とおっしゃっておりまして、わたくしとしては司坊っちゃんさえ無事ならあとはもう良い方向に日々が進むといいと思っておりますの。よろずやつかさがどうなろうとわたくしにとっては鴻池家に戻ればいいだけなので大した問題ではございませんわ。差し当たり次回作ではわたくしが趣味のマシンガンや特技の格闘技を皆さまに披露させていただけましたらこの物語に登場した甲斐もあるというものでございます。
高位の影響力――。不思議なこともあるものですね。わたくしは妄想だと思っておりますけれど。実際、隆起さんが日々、具体的に何をされているのか、わたくしにはさっぱりわかりませんし、それこそ司坊っちゃんや、最近お店に入り浸っている紗夏さんたち高校生カップルもどこまで本当のことだと思って付き合っているのやら? しかし隆起さんの冗談に付き合っていても特にトラブルがあるようにはわたくしには見えませんし、つまりこのような毎日がしばし続くのでしょうね。一条さんもいよいよ登場されたことですし、これが高校生の楽しい青春時代の一ページになるのであればこのお店も存在理由があるというものでございますわ。
ああ、つい話が長くなってしまいましたね。年ですからねぇ。そもそもわたくしがお喋り好きな普通のおばあさんであるということです。重ね重ね、次回作ではわたくしの虜となっている皆さまのために大活躍できるよう、くれぐれも、くれぐれも作者の方には尽力していただきたいものですわね。とはいえ、高位の影響力の抹消だの誕生だの、世の中自体には特に目に見える変化のある現象ではございません。結局のところそんなものは結果論に過ぎませんことです。でもま、くどいようですがわたくしとしては司坊っちゃんさえ無事なら隆起さんがどうなろうがどうでも構いませんのよ。本当、司坊っちゃんには鴻池家の次期後継者としていい加減目を覚ましていただきたいものですが、これが友情の力なのですわね。さすがに騙されていることはなさそうなので、まあ、飽きるまでよろずやつかさを続けていただければと思います。とっとと飽きていただきたいものですが、それこそ高位の影響力がどうとかという話と絡めれば、終わるまでは続いてしまうのでしょうねぇ。
というわけで、『オーマイガーが叫べない』終了でございます。隆起さんが事実としてが皆さまに何らかの影響を与えることができたのであれば、わたくしとしてはそれが良い影響であることを願うばかりです。中には作中のある日のように特殊能力の芽生えた方もいらっしゃるのかしら? ま、だからといってそれで今日から明日から世界の仕組みがまるごと変わってしまうわけではありませんので不安な方もご心配なく。結局、世界はそんなに簡単には変わらないのですわ。それこそ――それを隆起さんと司坊っちゃんは防いでいらっしゃる、とのことですから。
では皆さま、またお会いできる日を楽しみにしていますわね。今度はぜひ皆さまにわたくしの淹れた美味しいお茶を飲んでいたできたいものですわ。わたくし、お茶が趣味の一つでございますの。そうですわね、金萱茶などいかがかしら?
では、それではさようなら。皆さまの毎日が素敵なものでありますように。
ごきげんよう」
〈了〉




