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Record of Divergence ~世界の分岐点~  作者: 進道 拓真
第一章 分岐の始まり
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第七話 裂け目の来訪者


 リンカとパーティを組んだ後、互いにアイテムを消耗していたこともあり、リンカはアイテムの補充。俺は武器屋の店主に黒鉄を渡すため、街へと戻ってきていた。


 街へとたどり着いてから、一度リンカと別れて武器屋に来ていた。


「おーい、おっさんいるか? 黒鉄無事に取ってきたぞ」

「ん、おお本当か! いやはや助かった! ありがとな」


「それじゃあ約束通り武器を作ってやるから、また明日ここに来てくれるか?」

「明日な。了解だ。楽しみにしてるよ」


 用を済ませたカイは武器屋を後にし、リンカと合流するため中央広場へと向かった。







「ついたけどリンカの姿は見えないな…。とりあえずメッセージだけ送っておくか」


 事前にリンカと交換していたフレンド機能を使って既についたことを伝えようとしたとき、背後から覆いかぶさってくる者がいた。


「わあっ!!」

「うわっ! なんだっ!? …ってリンカじゃねーか!」


 背後から触れてきた者はリンカだった。先ほどまでは確実にいなかったはずだがどうやって近づいてきたのか…。


「ごめんごめん。私が使える魔法で《氷霧(フローズンミスト)》ってものがあってね。これを使うと自分の姿を見えなくするようにできるんだよ」


 そんな便利な魔法をいたずらのためだけに使ったのか…と複雑な感情にならざるを得ない。街へと戻る道中でも思ったが、リンカは好奇心や悪戯心が強く、面白そうなことにはまっすぐに飛び込んでいく。


 その姿勢はカイ自身も理解できるので、好ましいのだがその被害が自分ともなれば話は別である。


「まあいいけど、悪戯もほどほどにしてくれよ」

「善処する!」


 明らかにやめる気がない返事である。どうしようもなさそうなので、今は諦めて放っておくことにした。


「そんじゃ今日はどうするか、いい時間だしここまでにしておくか?」


 時間を確認すれば既に6時間近くが経過しており、やめるタイミングとしてはいい頃合いだ。


「そうだね、さすがに疲れたし、私も今日は休みたいかな」

「そんじゃそうしよう。次の予定は…明日とかでも大丈夫か?」


「うん、今は夏休みだし時間は確保できてるよ」

「了解だ。また明日な!」


 二人はログアウトを選択していく。そうすると自身のアバターが光の塵になっていき、世界から離脱していった。







「ふぅ…。終わったか。」


 再び自分の部屋で目覚めた戒斗は、ベッドに横たわりながら今日の体験を思い返す。チンピラに絡まれたり、ゴーレムと死闘を繰り広げたり、リンカと出会えたり…。1日の体験としては濃すぎるものだった。


 そんなことを思い返しながら、体に蓄積していた疲労とともに意識は眠りへと落ちていった。








 翌日、目覚めた戒斗は携帯にインストールしていた「レコダイ」のメッセージ機能にリンカから送られてきた内容を眺めていた。


「「昼頃に中央広場で」…か。それまでは暇だし、軽く体動かしておくか」


 昨日はまともに動いていなかったし、ちょうどいいかと思い、戒斗はランニングをするために出かけて行った。



 ランニングを終え、時間も昼前となっていたため、「レコダイ」へとログインをする。昨日のうちに頼んでいた新しい武器を受け取りに武器屋を訪ね、黒鉄製の大剣を受け取ってから中央広場へと向かった。


昨日ログアウトをした場所でリンカを待っていると、それほど時間も経たずに会うことができた。


「やっほー、カイ。昨日ぶりだね」

「おう、リンカ。今日は悪戯がないようで一安心だ」


「あっはは! さすがの私でも2日連続で悪戯するようなことはないよ。…多分」


 最後の言葉が非常に気になったが、そこはスルーする。


「今日はまた森に向かおうと思うんだが、構わないか」

「わかった。互いのスキルとか連携も確認しておきたいし、それでいいよ」


 今日の予定を確認しあった二人は目的を果たすため、狩場へと向かう。



 その道中でカイとリンカは互いの能力を教え合っていく。


「じゃあカイは《身体強化》と《鋭刃》が使えるんだね。前衛が一人いるだけで安定感は変わってくるしね。頼りにしてるよ」

「そういうリンカは《氷属性魔法》と《魔力操作》があるんだな。敵の注意は俺が引き付けていくから、しっかりぶちかましてやってくれ」


《氷属性魔法》

氷属性魔法を扱えるようになる。使用者の熟練度によって魔法を創造することも可能


《魔力操作》Lv:1

消費魔力が10%減少する


 仲間の能力を把握したところで、目的地に到達した。


「よし! そんじゃ狩りといくか! 今日中に第二段階に進化といきたいな」

「あまり焦りすぎずにと言いたいけど…私も早く職業を進化させたいからね。ガンガンレベルを上げていこう!」








 森に入ってから2時間ほどが経過した頃、次第にパーティとしての連携が取れるようになってきていた。


「ようやく少しずつ形になってきたな。それでもまだ粗があるから完全ではないけれど」

「2時間でここまでできているのだから、上場だと思うけどね。確かにこれで満足してはいられない」


 戦闘にも集中してかかっていることで、カイの現在のレベルは47、リンカは45となっていた。レベルの上昇に伴いSPも溜まってきたため、二人で相談した結果、《鑑定》を取ることにした。


 これで今までは名前しかわからなかったモンスターのステータスも、これである程度読み取れるようになった。敵の強さがわかれば戦闘の判断も下しやすい、という理由から二人とも取得したが悪くない判断だろう。


 今の俺たちのステータスはこんな感じだ。


カイ Lv:47 職業:剣士


HP 3670/3890

MP 240/240


STR 214

END 202

DEX 98

INT 84

AGI 184

LUC 27


状態異常:なし


《装備一覧》

《スキル一覧》

SP:3


リンカ Lv:45 職業:魔法使い《氷》


HP 2725/2820

MP 1873/4860


STR 112

END 67

DEX 157

INT 254

AGI 120

LUC 184


状態異常:なし


《装備一覧》

《スキル一覧》

SP:0


 最初に比べればかなり成長できている。リンカとLUCの差がさらに開いているが、気にしないことにした。断じて現実逃避ではない。


 もう少しで上限の50にも届く。そうすれば職業も進化して、また強くなれる。


「もう少しレベルを上げたら今日はやめておくか…ってどうしたんだ」

「いや…なんか空に黒いものが…」


 リンカに話しかけると、彼女はじっと上空を見上げている。何だと思い、俺も見てみるとそこには……黒い裂け目のようなものがあった。


「……なんだあれ」


 昨日からこの森にはいるが、あんなものは見かけなかった。そうしている間に裂け目は大きくなっていき、その広がりを止めたかと思えば……何かが()()()()()


「っ!」


落ちてきた衝撃が地面を伝って教えてくる。砂埃が舞っていて姿が認識できないが、何かがいることはわかる。


「リンカ! 警戒しろ! 明らかに普通じゃない!」

「わ、わかってる!」


 警戒を続けながら砂埃を注視し続ける。そして煙が晴れた時、そこにいたのは……額に二本の角を生やした鬼だった。



《氷霧》は本来、自分や仲間の姿を消して敵に接近するための魔法です。気配までは消せませんがそれなりに有用なものです。…がリンカはほとんど悪戯のためだけに使ってます。何してるんですかねぇ。




そして最後に現れた鬼。こいつに関してはまた次話で。





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