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Record of Divergence ~世界の分岐点~  作者: 進道 拓真
第二章 自然の通過点

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第二十一話 恵みの採取


 パラカに連れられやってきた、村の近場に存在している森林。だが森とはいっても鬱蒼とした雰囲気は感じられず、どちらかといえば清涼感が漂っているようだった。


「ここがキノコが群生している森です。かなり近い距離にあるので村の者達もたまに採りに来るんですよ」

「これはまた過ごしやすような環境ですね。何か動物がいたりするんですか?」


 目の前に広がる景色から、何か動物がいてもよさそうなものだと思い質問をしてみる。


「あまり動物を見かけたことはないですねぇ……ただ時折、モンスターがいることがあるのでそこだけ覚えておいてください。弱いモンスターしかいないとは思いますが、念のために」

「わかりました。油断しすぎないようにいきますね」


 モンスターが生息しているという話を聞いて少し気合を入れなおす。さすがに常に警戒し続けることはないが気を抜きすぎるのもよくない。


 いくら弱い相手しかいないとはいっても奇襲をかけられれば、動揺したところを狙われる恐れもある。


「まぁ村の子供も頻繁に遊びに来る場所ですから、お二人であれば大丈夫でしょう。あとは………これを渡しておきますね」

「こ、これは?」


 手渡されたのはやたらと分厚い本。重量感もしっかりと感じられるものをいきなり渡されたため、戸惑ってしまう。


「これはこの森にある植物の詳細をまとめた本になります。森には多くの種類の植物が存在していますから、こういったものがなければ慣れた人であっても間違えた種類を採取してしまうんです」

「それはありがたいです。さすがに有毒のものを取るわけにはいきませんし、俺たちには知識も薄いですから参考にさせてもらいますね」


 これがあれば比較的安全に採取もできるはずだ。本をストレージにしまい込んで森に入る準備を整える。


「それでは、私の案内はここまでとさせてもらいますね。先に村に戻っていますから帰った際にはぜひ寄ってきてください」

「ええ、ここまでありがとうございました。また後で必ず寄らせてもらいます」

「ありがとうございました! めいっぱい楽しませてもらいますね!」


 帰路を辿るパラカに声をかけ、二人も森に入っていく。この穏やかな空気を感じさせる雰囲気が、二人を歓迎しているように思えた。









 森の中に入って思ったことは、予想以上に行動しやすいということだ。


「もっと獣道とかがあって歩き辛いんじゃないかと思ってたけど……人も通ってるらしいし整備はされてるのかな」

「そもそも動物がほとんどいないって話だったし、荒らされる要因が少ないんじゃないかな? だからこれだけ綺麗なんじゃない?」


 足元にある木の根につまづいて転びそうになることはあるが、特に大きく行動を制限されるわけではない。


 そもそも戦いに来ているのではないのだから、この程度は仕方のないことだ。


「じゃっ、早速始めるか。待ちに待ったキノコ狩りといこう!」

「よーし! たくさん採ってっちゃおう!」


 周辺を見渡せばいい具合に群生しているのが確認できる。そこから気分をマックスまで高めて二人は自然との戯れに興じていく。




「おぉー! これとかすごい綺麗じゃない!? なんかおいしそう!」


 そう言ってリンカは、明らかに身体に害を与えてきそうなキノコをこちらに見せてくる。


「いや絶対毒あるだろそれ……。ちょっと待ってろ、今確認してみるから」


 もらった本の中から該当しそうなものを探していく。少し見ていると、その毒々しい見た目から発見することができた。


「えーと……、『名称はカラタケダケ。触れる分には問題ないが、食すと全身が温まりふわふわとするような感覚が味わえる。ただし、それは毒による幻覚なので要注意』、だとさ」

「これ毒なのか……ふわふわする感覚もちょっと気になるけど、毒だったら意味ないもんね。じゃあ撤去と」


 拾ったキノコを投げ捨てる。さすがに毒があると知ったうえで食べるような真似はしないようだ。


「気をつけろよ。どんな効果があるかはわからないんだから、ちゃんと怪しそうなのはチェックしとけ」

「はーい。えーとこれは……有毒か。こっちは大丈夫かな…」


 真剣に探し始めたリンカの様子に安心し、こちらも本腰をいれていく。


「それにしても随分と生えてるな。種類が豊富だとは聞いてたけど、実際に見てみるとすごいな」


 この森の環境に特異性でもあるのか、ここには本当に多くのキノコが生えそろっている。これならばパラカが村の魅力として広めていきたいと思うのにも納得だ。


「特殊な効果を持ってるものに目がいきがちだけど、案外普通の種類でも食べると美味いものもちゃんとあるんだな。この辺りを狙ってみるか」


 特殊なものに関してはリンカが採取してくるだろうことは目に見えているので、そっちは任せる。どうせ食べるのなら美味なものがいいのでカイはそちらに注力することにした。


(ここに生えてるのは『アカサカイ。全身が軽くしびれるようになる毒を持つ』。違うな、これじゃない。こっちは『テンタコウ。独特の風味を持つが、一部の者に非常に人気のあるキノコ』。これはいいな、採っていこう)


 間違えて毒を入れないように確認していく。




 その後も採取を続けるとなかなかの量が集まっていた。


「これだけ取れるとはな。大収穫って言っていいんじゃないか? リンカ! そっちはどんな感じだー?」


 夢中になっている間に少し離れてしまった相棒に、声を張り上げて現状を聞いてみる。


「こっちも結構採れてるよ! ただもう少し探してみたいからあと少しだけいいかなー?」


 どうやらまだ満足がいかないようで延長を望んでいた。


「あぁ、大丈夫だ。こっちも森を少し見てくるから満足したら教えてくれ!」


 もともと彼女が希望した旅だ。気の済むまでやればいいと思い返事をする。


 それにカイの方も今まではキノコ狩りに集中していて見れていなかったが、この森の中を見て回りたいと思っていた。


 なので少し別行動をとることを決定し、その場から離れていく。


「改めて見ると綺麗な場所だよな、ここ。気のせいかもしれないけど空気も澄んでるみたいだし」


 この清浄な空気感こそが、あの多様な生態系を成り立たせている秘密なのかもしれない。そんなことを考えていると、前方に人影のようなものが見えてきた。


「ん? あれって……」


 別に人がいることがおかしいわけではない。少し前にも遊んでいる子供たちを森の中でも見かけたし、特段変わったことでもない。


 ただその人影は子供にしては少々背丈は大きく、かといって村の鍛冶師ほどしっかりしたガタイでもない。


 ならば村の女性かとも思ったが、あんな背格好の人は見覚えがない。


「誰だろうな……ちょっと話してみるか」


 少し気になってしまったので声をかけに行く。近づいていくとその容姿も少しずつ見えてきた。


「………誰?」


 そこにいたのは、まるで探索者を思わせるかのような恰好をした女だった。



リンカの目利きはあまり信用なりません。なんせ毒キノコを嬉々として持ってくるくらいですので。


なんで見るからに有毒のものを手にするのか……。


多分彼女の内なる好奇心がそうさせるんでしょう。多分ね。



そして最後の新キャラ。こいつもなかなかに良い特徴持ってます。




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