喪失
傷つく心をなくしたのはいつからだろう
優しい言葉をなくしたのはいつからだろう
壊れるものなど何もなく
傷つくこともないはずなのに
傷つけたと知ったら自然と涙が流れてくる
この涙は誰の涙なのだろう
悲しみも苦しみも
辛さも悔しさもなく
感じるものなど何もないはずなのに
涙だけは自然に溢れる
涙は優しさなんかじゃない
優しい心が残っているなら
誰も傷つけたりはしない
いずれは流れる涙さえ
失う時が来るのだろうか
それでも僕は「僕」なのだろうか…
なくしたものは…なんだったのだろう
代わりに僕は何を得たのだろう…
何かを思い
何かを考えている
そうしていられる間は
本当に何もかもが失われたわけじゃない
零れ落ちたものは
自分の中から失われていくのではなく
何かを受け止めたから
溢れ出たものなんだろう