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“秘密のいぼ痔”を俺は誰にも言えない!

作者: 七瀬







俺は長時間、椅子に座っていられない!

“アイツがキリキリ痛むからだ。”

その事は、誰にも秘密にしている!

肛門から飛び出す“やつ”は? 歩くだけでも痛い。

激痛が体に電気のように襲いかかる。

痛さは、日増しに酷くなっていった。

俺のケツに何が起きてるんだ!?






 *





・・・そんなある日、彼女から映画を観に行こうと誘われる。

今まではずっと、断り続けてきた俺だが。

この日は、彼女がどうしても観たい映画があると押し切られ

しぶしぶ行く事になる。

なるべく長時間、椅子に座っていたくない。

ケツに付いている“やつ”が痛みだすからだ!

激痛に変わる前に、直ぐにその場から離れたい。






・・・今思えば? 彼女には申し訳ない事をしていると思う。

長時間、同じ場所にいれない俺は直ぐに違う場所に彼女を

連れて行くからだ。

観光も旅行もデートも温泉もずっと彼女と居ると俺の“やつ”の

存在がバレると思い、ずっと避けてきた。

彼女には申し訳ない事をしていると反省もしている。

だけど? 俺の“やつ”は? テレビで取り上げられた有名な病院

でも治らないんだ。

何しろ、俺のケツにこびり付いて取れない。

ダイヤモンドよりも固いのかコイツは!

俺からなかなか離れてくれない“やつ”。

そんな“やつ”の存在を“彼女や親兄弟にも言えないでいる俺。”

思いきってみんなの前で、【告白】したいのだが。

勇気がもてない。

俺がまさか!? “いぼ痔”と分かれば、皆俺をバカにするんじゃない

かと怖くて言えないよ。

俺の周りに、“いぼ痔”のやつがいないからだ。




まあ、俺のように“いぼ痔”だったらそいつもまた誰にも言えない

んだと俺は思う!

これは、恥ずかしい事なんだと俺の思い込みか?

俺の歳は、まだ20歳になったばかりで、言えばこう言われるだろう。




『まだ若いのに“いぼ痔”なの? それは大変ね!早く病院に行って

取ってもらえばいいじゃない! いぼ痔ってどうやったらなるの?』





・・・俺はこんな事を言われたら? もう立ち直れないよ。

ガラスのようなハートをしている俺には無理だ!

だから3年! 俺は“やつ”と一心同体なんだ。

既に俺は、“やつ”に愛着も沸いていて。

取るに取れなくなっている。

いやいや? 今日は彼女と映画デートの日。

この日をどう乗り越えていけるかを考えなくては?




『ごめんね、大って映画館で観るの嫌いなんだよね?』

『・・・い、いや? 大丈夫だよ。』

『でもね、この映画凄く評判がいいんだって! どうしても私観たくて

付き合わせてごめんね!』

『いいよ、観よう。』

『うん。』






・・・案の定、座って10分も経たないうちに“やつ”が痛みだす。

キリキリ、電気が走る痛さ。

激痛が俺の体を走る。

彼女は俺の横で、嬉しそうに大きなスクリーンを観ていた。

映画がまだはじまる前から、俺のケツは限界を迎えている。



『ごめん、急に調子が悪くなって外で待ってるよ。』

『えぇ!?』



俺は彼女を一人映画館に置いて暗闇の中出て行った。

彼女も俺の後を追って一緒に出てきてしまう。



『ごめんね、無理に誘っちゃったんだよね。』

『・・・い、いや?』

『なんか美味しいものでも食べに行こう!』

『映画はいいの?』

『ふたりで観たかっただけなの。』

『・・・ご、ごめんね、俺のせいで。』

『大が謝る事ないよ、私が悪いんだから!』

『・・・ごめん。』

『じゃあーお昼ごはん奢ってね!』

『いいよ。』

『じゃあ、行こっ!』

『うん!』





彼女は凄くいい子だ。

俺がまさか!? “いぼ痔”で長時間、座っていられないなんて!

俺から彼女に言えやしないよ。

・・・恥ずかしい。




でも? いつか、皆に俺の秘密を言わないとな!

【俺は“いぼ痔”で長時間同じところで座ってられないんだ】




・・・うーん? 皆の反応が怖いな。


最後までお読みいただきありがとうございます。

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