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ホームレスシンデレラ裏エピソード1そして物語へ

作者: CPM

この小説はホームレスシンデレラの物語が始まるまでの女主人公の辛すぎる人生を番外編として描いています。

それは私が高校一年生の時…


学校から帰宅した私は玄関のドアを開け


私『お母さんただいま~』


母がすぐに出て来て


母『あんた、今日はお父さん朝から会社行かずに飲んでるからどこか時間潰しに行っといで』



父はろくに仕事もせず会社を休んで一日中酒を飲んでいることはよくあった。


普段は口数少ないおとなしい人だがひとたびお酒が入ると暴力を振るう酒乱だった。


私と母は私が小さい頃から父がお酒を飲むと二人で家を出て、時には車でどこかの駐車場で一夜を過ごしたり、時には友達の家に泊まらせてもらったりして父が居なくなるのを待ってから戻るという生活が日常茶飯事になっていた。


その日はたまたま私は友達と喧嘩をしてイライラしてたので、つい母にあたってしまった。


私『お母さんがあんな人と結婚するから私までこんな生活しなくちゃならないんじゃない!』


母はうつ向いて「ごめんね」とボソッと一言だけ言って自分の部屋に戻って行った。


私は少し言いすぎたとは思ったが、素直に謝ることが出来ずに鞄を置いて友達の家に遊びに出掛けた。


晩御飯もご馳走になってから家に帰ると母の姿は無かった…


私はいつものことだと思い自分の部屋で本を読み始めた。


どうも集中出来ない…今にして思えば昼間の母の様子がおかしかったような気がする…


何か思い詰めていたような…


妙に胸騒ぎがする…


もしかして…もうお母さんは…帰って来ないんじゃないかな…私を置いてどっか行っちゃったんじゃないかな…


私は不安になり茶の間を覗いた。


父がコタツで寝ている。


母の部屋も覗く。


何かがおかしい…


それほど片付けが得意な方じゃ無いのに妙に部屋の中が片付いていて…ベッドの布団も


かなり丁寧に直されている。


その布団の上に白い紙がポツンと置いてある…


私はそれを拾い上げ読んだ…


「ごめんね、あなたを幸せな家庭に産んであげられなくて…ごめんね、


お母さん、もう疲れたの…お母さん一人の力じゃもうどうにも出来なくて…こんな私じゃあなたを連れて出ても何もしてあげられないから、ほんとにごめんなさい…」


私はあのとき母に取り返しの付かないことをしてしまったのだと初めて知った…


もしあの時もっと母の苦労を理解して、もっとたくさん悩みを聞いてあげて、もっともっと母の味方でいてあげられたなら、きっと母は私を一人置いては行かなかっただろう…


きっと二人で助け合ってこんな泥沼の人生にはなっていなかっただろう…



時は遡ること9年前…



私『お母さん…お母さん…』


小学校から帰宅した私は自分で家の鍵を開け母の姿を探した。

いわゆる鍵っ子だ。


家には誰も居ない…


それはいつものことだ。


それでもたまに家に居る母を探すのは日課だった。


母は昼間パートの仕事をして夜もまた化粧をして仕事に出掛けた。


家に居る時間はほとんどない。


まだ私は幼かったから母がどんな仕事をしていたかは知らなかった。


父は生活費をほとんど入れてなかったので母が主に生計を立てていたそうだ。


それでも父が酒代に遣ってしまう。


隠してもこっそり探して持ち出してしまうのだ。


よく幼い私に母がお風呂に入っている間父を見張るように言いつけられた。


目を光らせていないと生活費を全て持って行ってしまう。


だからいつも私はお腹を空かせていた。


時にはガスも電気も水道も止まってることもあったほどだ…


私はインスタントラーメンを乾麺のまま付属のタレを付けてかじりつくこともあった。


まだ私が低学年の頃は父は私には手を上げることは無かった。


しかし小学4年生の時、父が私に酒を買いに行ってこいと言ったので私はつい口応えをしてしまった…


父『おい、昌代…酒買ってこいよ』


私『そんなお金無いじゃん』


父『あるだろ?お前ある場所知ってるだろ、いいから買ってこい!』


私『お父さんがお酒ばかり飲むからお母さん全然家に居ないんじゃないの』


そのとき初めて父は私の頭をぶった。


それからは母が居ない寂しさを私にあたるようになった。


父は仕事をよく休むから更に会社で肩身が狭くなったようでお酒の力を借りて荒れるようになっていった。


私はこんな家を早く出ていきたいと思っていた。


それでも母はせめて私に高校くらいは出してあげたいといつも言っていた。


昼間も夜も一生懸命働いて働いて私を育ててくれた母だったのに…


私の心無い言葉のナイフで母を刺してしまったのだ…


母が居なくなってこの家は借金の形に入っていることを知り、当然学校にも行けなくなったので私は友人の家を頼った。


とりあえず数日お世話になることになったが、いつまでもこのままというわけにもいかず私は仕事を探した。


とは言っても家も何もない私が生活していくことなど到底出来ないので、住まいを提供してくれる夜の仕事を探し回った。


数件回ってあるスナックのマスターが私を拾ってくれた。


住む場所も食べるものも着るものも困ることは無かったが、その代わり全ての自由を与えてもらうことは無かった。


私の稼ぎは全て衣食住として取られ現金は一切支給されることは無かったからだ。


いわゆる飼い殺し状態なのでここを出ることは出来ない。


更に私はそのマスターの所有物にされた。


そこでの生活は結局7年ほど続いた…


ある日私はそのマスターの下から逃げ出した。


私の全てを彼に良いようにされるのが嫌になったからだ。


お店の常連さんがいつも私に


常連『ねぇ昌代ちゃん、俺んとこおいでよ。いつでも面倒見てあげるよ。』


そう言ってくれてたから、そしてその常連さんは優しくて紳士だったので若かった私は彼を信頼してしまっていた。


私は彼に協力してもらい彼の家に転がりこんだ。


彼の家に住み始めて間もなく彼は暴力団関係者との繋がりがあることを知った。


気付いた時にはもう遅く、私はその暴力団関係者に売られてしまった…


私は風俗の世界に沈められ抜け出すことの出来ない底無し沼で生きる気力も失っていった。


ある日私は必死でその底無し沼から逃げ落ちた。


もう人生に疲れてフラフラと歩いていると流れの速い川の橋にたどり着いた。


その橋の上から川を見ていると吸い込まれそうな感覚に襲われ、無意識に私は橋の欄干を越えようとしていた。


そこへたまたま男性が通りかかり私を抑えた。


その男性はたまたま非番だった警察官だった。


私は警察官に連れられ警察署に向かった。


全てを警察官に話して相談に乗ってくれた警察官の勧めで私は昼間の仕事をすることになった。


しかし私はどこまで行っても恵まれない星の下に生まれたのかも知れない…


今度はその職場の社長に…


もう私は人と関わるのが恐くなりあの時死のうと思った川へと足を運んだ。


そしてあの橋桁の下で暮らすようになった…


それから数年後…運命の出会いが始まる…

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