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後編_04(聞いてない)


   *


 山賊たちの囲いに戻ったと思った。


 中庭に立錐の余地もなく集められたのはヒトのみならず小人、巨人、妖霊、獣人、翼人、魚人、石竜人と、無節操な混成であった。


「最高のケツが揃っていると信じている」

 女武者が、ひとりひとりの顔を(心に刻むように)とっくりと見て、ひとつ頷き、(私の賭けに乗れ。何も恐れはない)散会となった。


 三々五々に分かれ、小隊を作る者、得物を確認する者、装備を受け取る者、腹に食を収める者──戦いに備えて、僅かな時間が与えられた。


 若きガンスリンガーは、義勇兵──混成傭兵隊に組み込まれていたのである。

 聞いてないぞ!?


 ゴールは混乱していた。

 そもそも、ここは何処だ。

 そして何が始まる。


 ゴールは混乱していた。

 先ほど(いささか下品な)大演説を打っていた女武者に、どこか知った者の面影があったことがさらに困惑を深めた。


 どうなってしまうンだ?

 彼は心細かった。


 説明してくれ、誰か。


 集められたヒトにしろ、小人にしろ巨人、妖霊、獣人、翼人、魚人、石竜人──いずれも声を掛けづらい。


 絶対に怖い何かだ。と、確信した。

 彼はわりと小心であった。

 若さと場数、この中にあって一番に足りないことは理解した。


 ところがである。「よう、ゴールデン・ゴール」

 肩を軽く叩かれた。それは気安く、友がするまさにそれであった。


 革鎧を身に着けた(胸当に奇妙な記号が打刻されていた)男であった。

「元気か」

「俺を知っているのか」


 伝説の剣を佩き、伝説の盾を背負った男は、「もちろんだ、ゴールデン・ゴール」

 ほっとしたが、「人違いだ。俺はペニー・ゴール」


「そうか」

 その者は気にしないようだった。

「あんたは?」


「勇者だ」彼は革鎧の胸当の文字を指さした。「勇者・ロジャー」


 自/称/か/!

 ゴールはおののいた。

 かっけえ!!


 彼は勇気を信じていた。

 だから勇者を信じた。


 鎧の胸当は、「勇者」の二文字(訳注:訳文ママ、原典都合か?)であった。左胸に勇の字(ブレイヴ・ハート)を刻んで(一文字改行)。


 勇者は、若きガンスリンガーに語った。


「話を簡単にすると、


「世界には、〝ホール〟の他に落とし穴がある。


「〝ゲート〟ではない。


「俺たちはそれを〝ポータル〟と呼んでいる。


「彼女は〝ポータル〟の先にいる。


「〝ポータル〟は、鳥と兵隊の向こうに出ている。


「俺は〝彼女〟を連れ戻す。


「〝ポータル〟はヒトのままでは通れない。


「だからお前は俺の援護をする。


「つまり、時間稼ぎを頼む。


(クー)X(理解したか)?」


「ああ」ゴールは頷いた。「その彼女っていうのは、あんたの好い人か?」


「大切な人をそう呼ぶのなら」と、勇者は力強く頷いた。「そうだ」


 かっけぇ……。

 彼はわりとロマンスに弱かった。


 ロマンスは、甘ければ甘いほど良い。

 蜜のようなら最高だ。

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