ここで暮らしていきます!
ククリスに準備を手伝ってもらい、デイドレスに着替え、一緒に暮らしているたった一人の家族である母親に面会に行った。
母親は病弱で自室からでることができない。
ククリスにつきそわれて母親の部屋に入ると、そこには美しい少女がいた。
輝く銀髪はゆるくサイドに三つ編みでまとめられている。
私の姿をみとめると淡い赤の瞳をほっそりとさせて微笑を浮かべる。血管が浮き出る白い肌は窓から注ぐ日光さえも彼女を焼き尽くすのではないかと不安にかられるほど儚い。今日が曇りであることに心から感謝するほどだった。
「お母様・・・?!」
え、お姉ちゃんじゃなくて???8歳の子持ちには見えないんだけど・・・。
いったい何歳で生んだの?
姿をみたこともないお父様はロリコンなの?!?!?!
心の中で一人討論会が始まったが、強制終了して母親を見つめた。
儚げな深窓の令嬢という言葉がぴったりで、人妻とか母親とは遠く離れた純潔の乙女っぽい美少女。私のお母様であるマリアンヌ・モリスヴィッシュがそこにいた。
私の混乱ぶりをどう理解したのか母親専属の侍女であり執事が私の肩にそっと手を置く。
「お嬢様の驚きは最もでございます。お嬢様を心配するマリアンヌ様の美しさは普段とはまた違う美しさを放っておられます。」
(え?同志?!?!)驚いて振り向くと、侍女兼執事であるエディットはしっかりと頷いた。
儚げ系美少女とクール系美女、キマシタワー!!!!?
永遠に壁となって見守りたい!!美少女と美女の百合がSS席でみれるなんて最高な生活!!
ビバ転生!!!
「エディット、やめてちょうだい。私の可愛いリアが驚いているわ。」
小鳥がさえずるような儚げで美しい声で私を呼ぶ。
私がそっと近寄ると、マリアンヌ様は頭をそっと撫でる。
(リアって本当の私の名前でもあるから、愛称とはいえ運命みたいなものを感じるなぁ)とぼんやりと思う。
職場でも献血センターでも苗字でしか呼ばれないので、なんだかむずがゆい。
下の名前で呼ばれるなんてどれくらいぶりだろうか。
「なんだかいつもと違う感じね?頭をぶつけたということだけれど、大丈夫かしら?」
心配そうに覗き込む瞳もまた美しく、私は言葉を発することもできず何度も頷いた。
前世の記憶を思い出していたくらいで、なんにも変わりありません!!!
あえていうなら行動基準が8歳から三十路になったくらい・・・って大したことある?!
でも、サーティリアはサーティリアだし・・・・!
「大丈夫ですわ、お母様。心配させてごめんなさい。」と少し申し訳なさげに微笑む。
元気だけど、あなたの愛娘は母であるあなたより年上の女性の記憶があります!申し訳ありません!!!という気持ちを込めてみた。
そんな私を知ってか知らずか、マリアンヌ様はそっと微笑みながら「よかったわ」と私を抱きしめた。すこし、震えているように思う。
私は美幼女の子供らしい腕をそっと回した。
細くて折れそうでそして布団に入っているはずなのに冷たい体温だった。
(この人を一生守りたい!!!!)と強く感じた。
美少女というかお母様だけど。
サーティリアは12歳になったら異国に嫁ぎ、もう二度とこの国には帰れない現実を思い出し…(のぉ~うっ!!)私は転生してはじめてパニックになったのであった。