ニックネームを考えます!
元婚約者(になる予定)のオゼノービリス様が帰ったのを確認し、侍女のククリスを探す。
ククリスはいつもと変わらない表情をしているものの、やや青ざめている様子が伺えた。
(はっ!ククリスは真面目なクーデレ委員長タイプだからおびえているのかも?!)
私はあわててククリスに駆け寄り、手を握る。
(こういうとき、なんて言えばいいのかな?えーとえーと・・・)
とりあえず、さらに手に力を込めて握るとククリスがハッとした表情になる。
「ククリスはリアとずっと一緒よね?!」とじっと見つめてみた。
ククリスはヴァンダイアへの嫁入りにも着いてくるといっていた。
もしかしたらヴァンダイア国に行きたかったのかもしれない。
でも私はこのクーデレ委員長タイプのククリスがいないと生きていけないのでこの国に残ってもらう必要がある。
美しい少女に世話をされる喜びを手放したくない。
完璧な計画だったはずなのに、そこのフォローを忘れていた。
私のバカー!!!!
ククリスは私の言葉を理解するのに数秒かかったようで、私の手を強く握り返してくれるとともにやや顔を赤らめ、目を潤ませる。
「もちろんでございます。もし、私の命を我が主とともにあることをお許しくださるのであればどこまでも付き従います。」
初めてのデレだけど、ちょっと重いのでは・・・?
でもかわいい!!
「もちろんよ!嬉しいわ、ありがとう!」と元気よく返した。
ククリスはこの世で最も可愛いと思われる笑みに涙を浮かべながら頷いた。
初めてみるククリスのノーマル以外の表情の可愛さに圧倒された私は婚約破棄の成功も含め満面の笑みで微笑む。
残された私たちはオゼノービリス様の後日に来るだろう返事を待つ、ということで解散して自室に戻った。
その夜、ククリスが就寝の準備を一通り終えたあと、ベッドで眠る私に跪きながら話しかけてきた。業務以外でククリスが私に話しかけてくるのは初めてのことと思われる。
ククリスは「我が命をサーティリア様とともにあることをお許し下さりありがとうございます。私にサーティリア様からの新しい呼び名をいただく幸福をお与えください。」といつもより柔らかな表情を浮かべた。
(新しい呼び名・・・?友達同士でよくするという愛称決めみたいな感じかな?)私のテンションが急激に上昇する。
どうしよう?!美少女同士の友情とか最高すぎる!!ってか私の初めての友達になるんじゃないだろうか?夜中のテンションというものは時代が違っても変わらない。
(ククリス・・・うーん。あ、私が百合好きだから似たような花にしようかな?水仙とかどうかな?うん、いいかも、お揃いとか友達っぽい!!)
「ククリスにナルキッススの名を授けます。」私の言葉に、ククリスはうっとりと微笑む。いや見た目はいつもとおなじ表情なんだけどね?!なんかわかるようになった!これが友情パワーなのかもしれない。友情ってすごい。
ククリスは恭しく頷き、「主から真名をいただけたことは私の一生の誉れでございます。これからは二人のときはナルキッススとお呼び下さいませ。」そう言ってククリスは私の両手をぎゅっと握り締める。
(え・・・真名・・・?仲良し友情ニックネーム付けあいっこじゃなくて・・・?私が思っていた以上のことが起きているんじゃない?!)頭の中での整理が追いつかない。
祈るように私の手を握り占め続けるククリス。なんだか不思議だけれど、いつもの表情にしか見えないのに、ククリス・・・いや、ナルキッススの気持ちが伝わってくるような気がする。
「ではナルキッスス。私のことをリリーと呼ぶことを許可するわ。」
(いや、なんか知らんうちに真名を与えたみたいだし?!ナルキッスス専用の私のニックネームをあげた方がいいよね!?)
ナルキッススは驚きと喜びにあふれた表情を浮かべる。
「今日は私にとって人生で最も待ち望んだ幸福な日です。おやすみなさいませ、リリーさま。」
ナルキッススが柔らかい笑みを浮かべる。
(ナルキッススはやっぱりヴァンダイアに行くことが楽しみだったんだろうな~。でも食料には絶対なりたくないから、その分私ができるだけ幸せにしてあげよう!なぜか一生一緒にいる宣言してもらえたし!)
この世界にきて、いや前世も含めて最高のにんまり笑いをしながら私は眠りについたのだった。




