~ニセドル~特技をいかしました~
はい、短編として書いてみました。
一応、これ、連載も視野にいれようかな~って思ってます。
内容的にも書いてて楽しいですし。
どうするかは、今の所、未定です。
ある晴れた頃、俺は……とある場所にいた。
まず……簡単な自己紹介から始めようと思う。
俺の名前は、月城雅つきしろみやび。自分でも思うが……結構変わった名前なんだと思う。
年は、まあ……若い。一応20歳以下だが……俺には変わった特徴があった。
それは……
「シノブちゃん、今日も可愛いね~」
そんな事を言われてしまった。まあ……何故可愛いと言われるのかと言うと……
そう演じているからなのだ。そう……俺は他人になりきる能力があるのだ。
ま、特殊能力的な感じでは無く、メイク技術とか声帯模写とか出来るので、今、俺がやっているのは
その……アイドルをやっている。
つまり……可愛い衣装を着て、カメラマンに写真をバシバシ撮られているって感じなのだ。
これも仕事なので、俺は声を少女寄りにして
「あ、ありがとうございます~ポーズは、こんな感じでいいですかぁ~?」
そう媚びた感じの猫なで声で言うと、俺を撮っているカメラマンが
「うん、OK~あと何枚か撮ったら、撮影は終了するね」
「解りましたぁ~」
カメラマンに写真を数枚撮られた後、本日のお仕事は終了した。
仕事が終了したので、俺は用意された楽屋へと入る。
そこにいたのは、俺をこの世界に引きずり込んだ張本人の姉だった。
「お疲れ様、雅、流石……変幻自在のシノブね?」
「姉さん……そう言われてもな……俺、男なんだが……?」
「いや……私から見たら、あんた……全く男に見えないわよ。メイクしてるからだろうけど、無駄に私より可愛いし、それにその声だって、思いっきり女の子に聞こえるじゃない」
「それはまあ……努力したから? 姉さん、もう元の姿に戻していいか?」
「そうね……今日の仕事は終わったから、元に戻していいわよ?」
「解った」
俺は着ている服を脱いで、下着姿になる。姉の前で下着姿を晒すのも変だと思うのだが……
下着を用意したのって、姉なんだよな……しかも今回の仕事って、女子向け衣装の撮影だったから、思いっきり女性下着なので、この姿を何回も見られているので、もう特に羞恥心とか無いのかも知れない。
いつもの服装に戻した後、メイクを落として、装備しているウィッグを外す。
これで、俺が今、活躍しているシノブと言う女性アイドルとは解らないと思う。
まあ、見た目が思いっきり違っているしな?
声もシノブ用に使っている声から、戻して、姉に
「元に戻したよ、姉さん」
「りょーかい、それにしても雅、あんた……元に戻しても童顔だから、ショートカットの美少女に見えるわね?」
「ほっといて、それより姉さん……俺は、いつまでアイドルを続けなきゃならないんだ?」
「そんなの決まっているじゃない、儲かるまでよ? 私達の所属事務所、雅が入って安定してきたけど……まだまだなのよね~だから、雅、これからもアイドル活動、頼むわね」
「何で、姉さんがやらないんだよ……」
「私は貴方みたいにアイドル活動とか、出来そうに無いわよ。せいぜいサポートぐらいよ。だから……これからもシノブのマネージャーとして、やっていくつもりよ? 雅……あんたまさか、やめたいの?」
「俺がやめたいって言えば、やめれるの?」
「無理」
「即答か……まあ、今の所、問題無いのが奇跡なんだよなあ……」
そう、普通、男の俺がアイドル活動、しかも女装とかして出来るかと言われれば、はっきり言って無理だと思っていたんだが、姉が「あんたなら完璧にこなせるわ」とか言って、シノブと言う芸名をつけられて、まあ……由来は変装とか得意な忍者から取って、シノブと言う女装アイドルとして仕事をしてみたのだけど……
全くばれる事無くアイドル活動出来ちゃったんだよなあ……普通にばれると思ったのに。やっぱり……これって、俺の特技が凄すぎるって事なのか? メイクしたら思いっきり美少女顔に出来るし、声帯模写も出来るから、声も少女声に出来るしな? そんな事を考えていると
「それじゃ、今日の仕事は終わったし、帰るわよ」
「解った、姉さん」
そう言って、自宅へと戻る事にした。
俺は思っていた。一体いつになったらアイドル活動をやめられるのだろうか……と。
そう思っていたんだが……姉が、とんでもない仕事を持って来やがった。
「なあ、この仕事って、俺が出来そうにないんだけど?」
「いや、あんたなら出来るわ」
「いやいやいや! 無理だって、何だよこの水着撮影って!」
そう……姉の持ってきた仕事と言うのは、浜辺のビーチで水着写真の撮影、少年漫画雑誌の表紙を飾るとかそんな感じの仕事だった。え~っと確か……グラビア写真とか言うんだったか? その仕事を姉が持って来やがったのである。
「水着なんか着たら、俺が女装しているって完全にバレるんじゃないか?」
「そんな事無いわ、雅、あんた……この水着着てみなさい」
「この水着?」
「そう、この水着なら、バレる事は無いわ、イケルわね」
姉に渡された水着を見てみると、布面積の多そうな水着だった。
これを着ろと……? まあ……とりあえず着てみるか……
そう思った俺は、早速、用意された水着に着替えてみる。
水着は、フリル付のパレオタイプで、股間が隠れていて、確かにこれなら男だってバレる心配は無さそうな感じだったけど……俺は、姉に、水着姿を見せてみる。
「姉さん、一応着てみたんだが……どうだろうか?」
俺がそう言うと、姉が俺の姿をじっくりと観察した後
「……Okね、全く違和感ないわ……何なのあんたのその魅惑のボディーは? 肌は綺麗だし、脛毛とかも全く無いじゃない。あんた……本当は女の子なんじゃないの?」
「いや、一応、貴方の弟なのですが……ほら、胸ないし」
「いや……確かにそうだけど……けど、胸が無くても、女の子に見えるってどういう事なのかしらね? ウィッグも付けてないのに、やはり……顔の印象なのかしらね……うん」
「そう言われてもな……顔は今更、変えられないし……」
「まあ、いいわ、これでこのお仕事が出来そうな感じね? この仕事は、明日撮影だから、雅、頑張るのよ」
「明日って、急すぎなんだけど……」
結局次の日、俺はシノブとして、浜辺で水着撮影を行う事になった。
ええ……ウィッグ付けて声をシノブ用にして、姉の用意してくれた水着になったら、全くバレナイで撮影成功してしまった。……ちなみに撮った写真は、来週の少年誌に掲載されるそうですよ。巻頭カラーとか言ってたっけ? 俺の水着姿を見て、興奮する男とかいるのかも知れないが……はっきり言って、嬉しいって言う感情はわかなかった。まあ、普通に恋愛対象は異性だしな……
こうして、俺のアイドルとしての活動は、まだまだ続くらしい……
アイドルだから、いずれ歌でも歌うんだろうな……とか、そんな事を思っていたのだった。