ボーイズ・ビー・アンビシャス3
オシャレなバーだった
薄暗い中に赤い照明がぽつぽつとあったが
それだけで...
「私ね」
「うん」
「唯井くんと別れて、黒魔術をはじめたの。」
「黒魔術」
「そうよ」
やけに大きいボストンバッグから、黒地に白で魔法陣(?)が印刷されたノートと、ごつごつと装飾の施されたペンを取り出す
「これ、私の運命の書よ。」
「荻野さん」
「なにかしら、唯井くん。」
「ぼくはあんまり、非科学的なものは好きじゃないんだ」
「そうなのね」
「君はもしかして、僕を宗教に勧誘しているのかな」
「いいえ、これは宗教ではなくてよ」
「なんだい?」
「真理よ」
ゲーと嗚咽を心の中で漏らす
「僕は、神様とかは信じてないんだ」
「あなたはむかしからそういう人ね」
「君のご期待には添えないね」
「私のことが嫌いかしら」
「南アフリカの原住民のオジサンと同じくらい、好きさ」
「気持ち悪い言い回しね」
「僕だって、そのノートは気持ち悪いよ」
「また、会ってくれるかしら?」
「僕には妻子もいるんだよ」
「会ってくれるかしら?」
「暇な時なら、いいよ」
「君は、夫はいないの?」
「いないわ」
「いい歳した、オバサンなのに」
「勝手でしょう」
「君は見た目はいいのに、なんでだろう」
「あなた、もう1回机を見てちょうだい」
氷が一つ溶けて、カランと音を立てる。
カラン、カラン____
荻野さんは
図書副委員長でした