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第十五話 先生に教えます②

明日(2月11日)は漫画版の更新日です。

「ただいまー」

 シェリーとリーナを連れて、俺は自分の部屋に帰ってきた。


「へ~ここがレオの部屋なのね。私の部屋と見た目は変わらないわね」

 転移されて来るなり、二人はさっそく俺の部屋を観察していた。


「そりゃあ、同じ学校の寮だからね」

 逆に、皇族だからもっと広い部屋じゃないことに驚きなんだけど。


「そうなんですか? 私の部屋はもう少し狭いですよ」


「そうなの? まあ、そうか」

 リーナはこの国の貴族じゃないからね。

 ただ、侯爵相当の扱いはされているみたいだけど。


「レオ様おかえりなさいませ。早かったですね」

 俺達が会話をしていると、ベルが奥から出てきた。


「あ、ただいまベル。そうなんだよ、思ったよりも早く終わっちゃたんだ」


「そうなんですか……その……そちらのお二人は?」

 あ、そうだ。二人とはまだ会ったことなかったね。


「二人は「レオの婚約者よ」」

 俺が答えようとすると、シェリーがベルに威圧するように言い放った。

 ん? どうしたシェリー?


「え、えっと……名前は知っていると思うけど、シェリアとリアーナだよ」

 とりあえず、二人のことをベルに教えてあげた。


「あ、そうだったのですか。申し訳ございません。それじゃあ、私は行かせて貰います」

 ベルは、丁寧に謝って奥に入って行ってしまった。

 表情を見る限り、そこまでシェリーのことは気にならなかったみたいだ。


「ねえ、レオ?」


「は、はい、なんでしょうか?」

 今日のシェリー、なんか怖いんだけど……。

 俺、何かしたかな?


「あの子は何?」


「何って……俺の専属メイドだけど?」

 もしかしてやきもち?


「そうなんですか。それにしては、随分と可愛がっているみたいですが?」

 あ、リーナも参戦してきた。

 二人相手じゃあ、勝ち目ないじゃん。


「ちょっと、二人とも落ち着きなよ。ベルは、小さい頃から面倒を見て貰っているから、家族みたいな存在だよ」

 家族で間違ってないよね?


「家族……」


「家族? それじゃあ、どうしてあの子が私達と同じ首飾りを持っているのよ!」

 そ、そんなところまで見てたの!?

 なんて説明すればいいんだ……?


「え? ああ、そういえば。えっと……初めて会った頃、珍しい魔法を見せて貰ったお礼に、創造魔法を見せてあげるついでに造ってあげたんだ」

 俺の記憶が正しければ、そうだったはず。


「珍しい魔法? あの子はどんな魔法を使えるの? 獣人しか使えないような魔法?」


「そうなんだよ。ベルは、獣魔法という体を獣みたいに出来る魔法を使えるんだ」


「そうなの……それで、あの子にあれを渡したってことは、今日私が先生にやったことをあの子にやったの?」

 シェリーが先生にやったこと?

 ああ、魔力操作か……。


「やってないよ。ベルは、うちに来る前から魔力操作を習得していたんだ」


「え? レオが教えてないの? じゃあ、誰に教わったの?」

 シェリーは驚いた顔をしていた。

 そういえば、勇者の関係者以外で魔力操作を使える人がいるのはベルが初めてだな。


「ベルは孤児院で教わったって言っていたよ」


「孤児院……そうなんだ……」


「孤児院? あの、帝都の端にある小さな孤児院ですか?」


「それは知らないけど……」

 てか、逆になんで孤児院のことをリーナは知っているんだ?


「たぶんそうだと思います。私、一度だけそこに行ったことがあるんですけど。あそこの院長、おばあちゃんたちと仲良かったみたいですよ」

 ばあちゃんたちと?


「ああ、そういうこと」

 それなら、ベルが魔力操作を使えるのも納得だ。

 勇者と知り合いなら、魔力操作くらい使えそうだもんな。


「ちょっと! 話が脱線しているわ!」

 リーナと俺で話していると、シェリーが話に割り込んで来た。


「えっと……どんな話をしていたんでしたっけ?」


「それは……その、ベルとかいうメイドがレオとどんな関係なのかよ」

 またその話に戻るの?


「あ、そうでしたね。でも、家族みたいな存在って言っていませんでした?」

 と思ったら、リーナが助けてくれた。


「本当にそうなの? 嘘ついているかもしれないじゃない!」


「シェリー、ちょっと落ち着いてください」


「落ち着いて? 逆にどうしてリーナは落ち着いていられるの? レオが、レオが取られてしまうかもしれないんだよ? 取られて……」

 シェリーはリーナに怒鳴りながら、泣き出してしまった。


 あ、泣かせちゃった……。

 どうしよう……


「ごめん。シェリーがそんなことを思っていたなんて……。本当にごめん」

 悩んだ末、泣いているシェリーを抱きしめながら謝った。

 ここで、何を言っても逆効果だ。

 それなら、素直に謝るしかない。


「許さないんだから。罰として、私が泣き止むまで抱きしめてなさい」

 シェリーはそう言って、俺の胸に顔をつけて泣き始めた。


「はい……」

 何も言う権利がない俺は、素直に従うことにした。


「私も後でお願いしますね。私は、ベルさんの所に行ってきます」


「え? あ、うん」

 止めようかと思ったけど、シェリーを抱きしめている状態では見送ることしかできなかった。



 それからシェリーが少し落ち着き、話し始めた。

「ねえ、レオ……」


「何?」


「本当は私より、あのメイド方がいいんでしょ?」

 これは……なんと答えるのが正解なんだろうか?

 ありのままを話すべきか……。


「そんなことないよ。ベルは家族だと思っているけど、シェリーやリーナみたいに結婚しようとは思ってないよ。俺の婚約者はシェリーとリーナの二人だけだ」


「そう……それ、信じていい?」

 そう言って、泣いたせいで赤くなってしまった目を俺に向けてきた。


「うん」

 俺も、シェリーの目を見てしっかりと返事をした。


「わかった。信じる」

 シェリーはそれだけ言って、また俺の胸に顔を隠してしまった。


「どうやら、こっちも終ったみたいですね」

 しばらくして、リーナがベルの手を握って戻ってきた。


「あ、二人とも……うん、終ったよ」


「それじゃあ、交代ですね。今度は、私の番です。シェリーは、ベルとお話ししててください」


「え?」


「ほらほら、行ってください」

 そう言って、リーナは俺からシェリーを引きはがしてベルと一緒に奥の部屋に押し込んでしまった。


「あ、ちょ、待って! 待ってよ!」

 シェリーは抵抗しようとするも、結果は言葉だけになってしまった。


「強引だな……」


「そうですか? 私だけ我慢するのは嫌なので。それじゃあ、約束通りお願いします」


「う、うん……」

 約束だからな。

 俺は、素直にリーナを抱きしめた。


「これでいい?」


「はい。それじゃあ、私とのお話が終わるまではこのままでお願いしますね」


「わ、わかった」


「えっと……どうして、シェリーがあんな風になってしまったのか、わかりますか?」

 シェリーがどうしてあんなに怒っていたか?


「うんん……俺がベルと仲良くしていたから?」

 たぶん、やきもちだよね?


「それも少しはあると思うのですが、本当の理由は違います」

 え? 違うの?


「そうなの? 何が原因だったのか、教えて貰ってもいい?」


「本当に、わからないんですか?」

 リーナが俺の目を真剣な眼差しで見つめながら、聞き返してきた。


「え?」


「よ~く、考えてください。ここ最近、シェリーや私と何かありましたか?」


「え? 何か……? 特に……」

 俺、最近、シェリーやリーナと何かしたかな……?


「そう、何もありませんでしたよね? レオくんは他のことに夢中で、私たちのことを忘れていましたから」

 あ、そういえば……。

 魔法具作りや、店の手伝いに夢中になってしまって、何もしてあげられなかったな……。


「ごめん……」

 自分の過ちに気がついた俺は、それしか言えなかった。


「いいですよ。でも、これからは、ちゃんと私たちのことも考えてくださいね?」


「わかった。これからは、三人での時間を作るようにするよ」

 休みの度に三人で遊ぶようにしよう。


「約束ですよ?」


「うん、約束する」


「わかりました。それじゃあ、話題を変えましょうか。さっき、ベルと話してきて思ったのですが……」


「うん」

 ベル? この短時間で随分と仲良くなったな。

 いや、さんをつけるのも嫌ないくらいに、仲が悪くなってしまったのかも……。


「凄く気が合いました」

 俺の不安を裏切り、リーナは満面の笑みでそう言った。

 よ、よかった……。


「そ、そうなの?」


「はい。ベルは普段のレオくん、私は学校でのレオくんについて教え合っていたら、意気投合しました」

 え? ふ、普段の俺?

 ベル……変なこと教えてないよね?

 ちょっと不安なんだが?


「そ、そうなんだ……それは良かった」


「はい。良かったです。あ、そういえば、一つだけ頼みたい事があるんですけど……」


「ん? なに?」

 頼みたい事?


「目をつぶっていてくれませんか?」


「いいけど……俺は何をされるの?」

 なんか怖いんだけど?


「気にしないでください。ほら、目をつぶって」


「わ、わかったよ……」

 断れる立場でもないので、目をつぶる……ふりをした。

 少しだけ目を開けて、リーナが何をするのか見ていた。

 だって、怖いんだもん!


 俺が目を閉じたのを確認したリーナは、何故か顔を赤くしながら俺に顔を近づけてきた。

 え!? もしかして……キ、キス?


 そんなことを思っていたら、リーナの顔がすぐ目の前に来てしまった。

 あと少し……。

「二人とも終わった? 入るわよ?」


「え? あ、うん」

 いいところでシェリーが入って来てしまった。

 ああ、残念。


「ちょっと! どうしてリーナの顔がそんなに顔が赤いのよ!」


「な、なんでもないです! それより、ベルと仲良くなれました?」

 あ、そういえば、そっちの方が気になるな。

 喧嘩とかしてないよね?


「う、うん。獣魔法って凄いわね。モフモフしていて、触り心地が最高だったわ」

 そう言って、シェリーはベルの腕をモミモミしていた。

 ベルの方は、若干困った顔をしているけど、そこまで嫌がっているわけではなさそうだ。

 まあ、仲良くはなったのかな?


「え? 獣魔法を見せて貰ったのですか? ズルいです! 私も見せてください!」


「い、いいですけど……」

 ベルは恥ずかしがりながらも、手に獣魔法をかけて見せてくれた。

 それに、リーナとシェリーは目を輝かせた。


「うわ~。本当にもふもふですね。気持ちいい~」


「でしょ? この触り心地、癖になるわ」


「ちょ、くすぐったいです。二人とも!」

 あ、そういえば、二人ともぬいぐるみが好きだったな。

 あのぬいぐるみみたいな触り心地が二人にはたまらないのだろう。


 まあ、なにより三人が仲良くなって良かったな。

 楽しそうにしている三人を眺めながらそんなことを思った。


前書きでも言ったのですが、明日は漫画版二話の更新日です!

ニコニコ静画で読むことが出来ますので是非。

↓の方にリンクがあるので、そちらからでも読めます。

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[一言] シェリアは皇女で王位継承権も有ったのに、元公爵家で現子爵家当主に専属メイドが付いているのをなぜ不満に思うのか? 普通そのような存在は自分にもいるはずだし、相手にいてもおかしくないとわかるはず…
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