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第十二話 努力の成果

 今日は、クラス替えテストだ。

 クラス替えテストは三年生最後の日に行い、四年生の初日に結果が張り出される。


 気がついたら、今日になってしまった。

 フランクに魔法を、ヘルマンに勉強を、ベルに格闘術を教えていたらあっという間の一年だった。

 それぞれ、ちゃんと成長してくれた。


 フランクの魔法は、シェリー程とまでは言えないが、それに近い魔法技術を手に入れたんじゃないかな?

 ヘルマンは、この一年間必死に頑張ったおかげで、後半から急激に成長した。

 今なら、俺がどんな問題を出しても答えられるだろう。

 ベルの格闘術は、毎日少しの時間だけしか教えていなかったけど、オーク一体くらいなら倒せるようになったと思う。


 まあ、ベルの格闘術は置いといて、今日のテストでフランクとヘルマンの成果が試される。

 フランクは心配してないけど、ヘルマンが出来るか心配だな……。

 俺が予想していないような問題が出たら諦めるしかないな。


 一時間目は算数だ。

 解いてみた感じ、三年生の初めに受けた抜き打ちテストと難易度は変わらないかな?

 うん、このレベルならヘルマンでも高得点が取れるだろう。


「師匠! 全問解くことが出来ました!」

 案の定、テストが終わったらヘルマンが嬉しそうに駆け寄って来た。


「おお、やった! けど、まだ始まったばかりだから気を抜いたらダメだぞ」


「そうですよね。気をつけます! よし、次の剣術も頑張るぞ!」

 元気だな……前回とは大違いだ。


 二時間目は剣術の試験。

「今回も、ここにいる先生たちが相手して貰って点数をつけて貰え。それと、レオとヘルマンはこの試験は免除だ。この時間は休んでいろ」


「え? いいんですか?」


「ああ、お前たちが満点を取ることはわかり切ったことだからな。それと、これに異議がある奴は遠慮なく言ってくれ。そこの二人に勝つことが出来たら満点をあげるぞ」

 俺とヘルマンを指さしながら先生が聞くと、皆は勢いよく首を横に振った。


「そんなに俺たちとやるのが嫌か?」


「当たり前だろ? お前たちとやるより、先生に相手して貰った方がまだ満点の可能性があるからな」


「な、なるほど……」

 まあ、余計な体力を使わなくて済んだしいいか。


「そんな~」

 ヘルマンとしては、気分転換がなくなってしまったから残念かもしれないけど。


 それから、皆の試験を見学するようなことはせず、ヘルマンとこれからのテストに向けたおさらいをしていた。

 フランクは見ようと思っていたんだけど……気がついたら終わっていた。

 本人が言うには、去年よりは上手く戦えたとか。

 まあ、大丈夫だろ。


 三時間目は歴史だ。

 どうやって帝国は建国された?

 初代皇帝は誰か?

 勇者の功績は?

 などの帝国についての問題が出題された。


 うん、どれも予想通りの問題だ。

 これならヘルマンでも大丈夫。


 四時間目は国語

 物語を読んで問題に答える方式だ。

 こればかりは対策が出来なかったから、とにかくヘルマンに本を読ませて読解力をつけて貰った。

 ヘルマンの苦手科目であり、この教科が出来ればヘルマンはAクラスには入れるだろう。


 そして、問題の五時間目……魔法だ。

 ヘルマンは実技が出来ない分、筆記で満点近く取らないといけない。

 だから、ヘルマンには徹底的に魔法の理念、理論、魔法陣の方式などを教えた。

 おかげで、どんな問題が出されても満点を取れるまでに仕上がった。

 あとは、ヘルマンがケアレスミスをしないことを願うだけだ。


 そして、実技の時間。

「今回のテスト方式は前回と変えさせて貰います」

 ヘロンダス先生に代わって、この一年間魔法を教えてくれた若い女の先生……リーズ先生が皆の前でテストについて説明していた。


 リーズ先生は、前任の男とは違って生徒思いの素晴らしい先生だ。

 魔力が少ない人、属性に恵まれなかった人にも、丁寧に魔法を教えていた。

 それに、俺とヘルマンが授業中に無属性魔法を使って鍛錬をしているところを見たら、俺に無属性魔法を教えて欲しいと土下座をする勢いで頼んできた。


 何でも、属性に恵まれない人にも魔法を教えられるようになりたいらしい。

 もちろん、教えてあげたよ。

 まあ、その話はまた今度。


 それより、今はテストだ。


「今回のテストは、何をしてもいいので自分の魔法をアピールしてください。遠いところから魔法を的に当てるのもよし、大きな魔法を見せるのもよし、自分の得意なことを先生に見せてください」


 おお、なんだか凄いな。

 この方法なら属性に関わらず、公平な採点が出来る。

 無属性魔法はもちろん、聖魔法とか非戦闘系の属性を持っている人たちは嬉しいんじゃないかな?


「それじゃあ、シェリアさんから順番によろしくお願いします」


「わかりました。それじゃあ……これはどうでしょうか?」

 そう言って、シェリーが両手を広げた。


 すると……

 シェリーの周りに電気、水、氷の塊がたくさん発生した。


 そして、様々な方向に散らばった。

 シェリーの魔法たちは意思を持ったかのように飛び回っていた。


 ヘロンダス先生も初めての授業で同じようなことをしていたけど、あんなもの比べ物にならない。

 ヘロンダス先生は、風魔法で無理やり水を動かしていただけだけど、シェリーは魔力操作だけで魔法を自由に、しかも複数も動かしている。

 これは流石に俺でも真似できないな……魔力操作のレベルが違い過ぎる。

 たぶん、レベル7か8にはなっているはず……。

 相当頑張ったんだろうな。


 心の中で。シェリーを褒めていると、魔法たちは綺麗に的の中心に当たって消えた。


「俺……この後にやらないといけないの?」

 隣からボソッと暗い声が聞こえたけど……ドンマイとしか言いようがないな。うん。


「つ、次はフランクくん」

 先生もシェリーの魔法に圧倒されていたが、気がついて次のフランクの名前を呼んだ。


「……はい」


 フランクは、的の前に立つと手に先の尖がった金属の塊を造った。

 造ったと思ったら……的からパアン! と大きな破壊音が聞こえた。


 的の方を見ると跡形も無く粉々になっており、フランクの手に視線を戻すと金属の塊は無くなっていた。


「よし、成功だ」

 皆が驚いている中、フランクが嬉しそうにガッツポーズをした。


 これは、魔力操作を使って空気抵抗が少ない形にして、限界までスピードを上げた結果だ。


 うん、頑張って練習した甲斐があったな。


「つ、次は……レオンスくん」

 あ、俺の番だ。


「何をしよう……」

 前の二人が凄かったからな……。


「あ、いいこと思いついた」

 これなら、二人を見た後の皆も驚くだろう。


 俺は地面に手をついて、創造魔法を使った。


 何を創造するかというと、ここにいる全員の等身大フィギュア。

 皆の隣に生やすように造った。


「うお!」

「きゃあ!」

 よし、皆驚いてくれたいだな。


 先生も驚きつつ、自分のフィギアをまじまじと見ていた。

「こ、これを全てレオくんが?」


「はい」

 凄いでしょ?


「そうですか……えっと……わかりました。次の人の邪魔になってしまうので、申し訳ないのですが元の床に戻してもらえますか?」


「あ、はい」

 おっといけない、早く戻さないと。


 それから、皆それぞれ魔法を自分なりにアピールすることはなく、前回と同じ的に当てる方法で終わらせてしまい、早々とヘルマンの番になってしまった。


「それじゃあ、次はヘルマンくん。好きにアピールして」


「わかりました」

 ヘルマンは、返事をするとボールを持ち、的に向かって思いっきり投げつけた。

 投げられたボールは、目で追うことが出来ないような超スピードで的に当たって貫通し、後ろの壁が凹ませた。


 ちなみに、ボールは他の人がやっている間に頼まれて俺が造った物だ。

 これを魔法と呼んでいいのかわからないけど、どう評価されるかは先生に期待しよう。


 そして、最後のリーナになった。

 リーナはいったい何をするんだろう?


 シェリーがあれだけ目立っていたし、それなりに凄いことはしそうだけどな。

「それじゃあリアーナさん、よろしくお願いします」


「はい。えっと……先に皆さんに謝っておきます。ごめんなさい」


「え?」


「あれ? 急に眠気が……」

「眠くなってきた……」


 先生がリーナの発言に首を傾げていると、一斉に皆が眠りだした。

 俺とシェリーとヘルマン、フランクと先生以外は寝てしまった。


「ちょ!? 皆!? リアーナさん、あなたがやったの?」


「はい。先生以外のここにいる皆の眠気を誘ってみました。四人には通じませんでしたけど」

 そう言って、俺たちとシェリーのことを見てきた。


 聖魔法ってこんなこと出来るの?

 てか、魔法アイテムが無かったら俺たちも寝ていたんじゃないか?

 凄いとしか言いようがないな……ちょっと怖いけど。


「えっと……起こすことは出来ますか?」


「そこまで強い魔法を使ってないので、トントンすれば起きるはずです」


「そ、そう……」

 そう言って、先生は苦笑いをしていた。

 先生にまで怖がられちゃってるじゃん。


 それから、先生が皆を起こしてクラス分けテストは終了した。


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