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第二話 師匠に教わります



 

 現在、俺は師匠の店の奥にある作業部屋にいる。

 店の中とは違い、ここは綺麗にされていた。

 どうしてここだけ綺麗なのかを聞くと

「仕事場を綺麗に保つのは職人として当然だろう?」

 と返された。


 なら、どうして店はあんなに汚いのかを聞くと

「そ、それは……妻が生きていた時は綺麗だったんだぞ」

 と返って来た。


 どうやら……師匠の奥さんは既に死んでしまっているみたいだ。

 師匠は、始めた当初から店の切り盛りを奥さんに任せっきりしていたみたい。

 それでいざ一人だけでやるってなった時、うまくいかなく、売り上げがどんどん落ちていき、今の収入ゼロの状況になってしまった。

 これからどうやってこの店を黒字にしていこうかな……。


 まあ、商売のことは後にして、今は魔法具の作り方だ。

「よろしくお願いします師匠」


「おう。それじゃあ、基本的なことから始めるぞ」

 そう言って、師匠は作業台にいろいろ並べていった。


「まずこれ、魔石。これは魔法具を動かすのに必要な大切なエネルギー源だ。ちなみに、魔法具によって必要な魔石が変わってくる」


「必要な魔石が変わる? どういうことですか?」


「そうだな……例えば、この小さな雷を発生させる棒は属性が雷を持っている人が注いだ魔石じゃないとダメなんだ。

 で、この炎のビックリ箱は炎か火の属性。この黒い球は闇属性。

 みたいな感じで用途によって使う魔石を変えるんだ」


「なるほど……知らなかった」


「そうか。しっかり覚えておけよ。それじゃあ次、魔石と同じくらい魔法具に必要な物はこれだ」

 そう言って俺に一冊の本を開いて見せた。

 そこには、様々な形をした幾何学的な模様が描かれていた。


「これは……魔法陣?」


「そうだ。よく知っているな」


「前に本で見ました」


「そうか。これは魔法具を魔法具にするためになくてはならない物だ。この魔法陣が魔法具の性能を決める」


「そうなんですか……これ、よく見ると凄く細かく書き込まれていますね」

 見せてもらった本の最後のページに師匠の顔からは想像できないような、めちゃくちゃ細かく描かれた魔法陣があった。


「ああ、ここまでの物が作れるには長い時間をかけて経験を積まないと無理だな」


「そうなんですか……師匠は凄い人なんですね」


「まあな、フェルマーに何回もうちで働いてくれと頼まれるくらいだからな」


「え!? そんなにですか? それならそっちに行って働いた方が絶対にいいじゃないですか」


「いや、俺はこの店をあきらめたくないんだ。この店は死んだ妻との思い出の店だし、この店は俺の人生なんだ」

 そんな大切な店ならもっと綺麗にしようよ……。


「そ、そうなんですか……。わかりました。俺が絶対にこの店をどうにかしてみます」


「おう、頼んだぞ。それじゃあ、俺はその報酬の前払いを始めるとするか」



「まず、魔法陣にはこの魔力伝導性が高いインクを使って描く」

 そう言って、瓶に入った透明なインクを見せてくれた。



「魔力伝導? 魔力に伝導性があるんですか?」


「ああ、あるぞ。それじゃあ、これから基礎的な魔法陣を描いていくから真似して描いてみろ」


「わかりました」


 それから、師匠の長い長い魔法陣講座が始まった。

 師匠は言い方だけは厳しかったけど、なんだかんだ優しく教えてくれた。


 そのおかげで基礎的なことは理解することが出来た。

 まあ、数があるから全て覚えるとなるとなかなか時間がかかってしまいそうだけど。

 帰ってから復習しないと……。


「よし、今日はここまでにしておこう。また明日な」


「はい、またよろしくお願いします」


「おう!」


 俺は家に転移した。

「ふう、ただいま~」


「あ、レオ様! どこに行っていたんですか!?」

 家に入るなりベルが怒った顔をして立っていた。


「え? 魔法具屋で魔法具の作り方を教わっていたんだ」


「魔法具の作り方……? よくわかりませんが帰って来るのが遅いです!」


「ご、ごめん……。つい、夢中になっていて時間を忘れてたよ」


「まあ、いいんですけど。それなら、前もって遅くなると言って欲しかったです」


「ごめん。明日からも遅くなるからそうするよ」

 なんか最近、ベルがメイドらしくなってきたな……。

 最近はミスもしないし、落ち着いている。


「え? 明日もですか!?」


「うん。これからほぼ毎日になると思う」


「魔法具の作り方を教わるんですか?」


「うん。これから教わることになったんだ」


「それは凄いですね。でも、レオ様に必要ですか? 正直、創造魔法があれば魔法具なんて必要ありませんよね?」

 確かにね……俺もそう思う。


「うん。まあ、暇つぶしだよ。それに、何かの役に立つかもしれないじゃん」


「そうなんですか……頑張ってください」


「うん。そうだ、今日教わったことを聞いていてくれない? 復習をしたいんだ」


「え? 聞いていないとダメなんですか?」


「うん。誰かに教えながらの方が身に付きやすいからね」


「わかりました。それじゃあ、お願いします」


「うん、それじゃあよろしく」



 それから遅い晩飯を食べて風呂に入り、俺の部屋で床に今日師匠のを写した魔法陣を並べていく。

「まず、この模様が魔力吸収の効果があるんだ。これを使って魔石から魔力を引っ張り出して魔法陣に魔力を供給するんだ」


「そ、そうなんですか……」


「次にこれが魔法を起動するやつで……これが魔法を放出する模様……これが……って、寝ちゃってるし……そういえば夜遅かったんだった。悪いことをしたな……俺も寝よう」

 ベルは床で寝てしまっていた。



 SIDE:ベル

「んん、あれ? 私、寝ちゃってた……?」

 昨日は確か、レオ様の帰りが遅くて……それで、夜遅くにレオ様が魔法陣の話を始めてしまって……それで寝てしまったんだ。

 やっちゃった……アメリーさんに怒られちゃう。

 それより早く起きないと。


 ん、あれ?

 体が重くて起き上がれない……。

 そういえば……ここどこ?


「ん、んん……」


「え? レ、レオ様?」

 なんと私の上にレオ様が乗っかっていました。


「どうしよう……起こすわけにもいかないし……」

 頑張って起こさないように抜け出さないと……。


 レオ様をそ~と動かす。


「ふう、これで抜け出せますね。早く支度をしないと……っちょ、え?」

 やっと抜け出せるようになって気が緩んだ隙に、レオ様に抱きつかれてしまいました。


「うう、力強過ぎです……これじゃあ、抜け出すのが絶望的じゃないですか……」

 もう……諦めてしまいますか……もし怒られてもレオ様のせいにしてしまいましょう。

 おやすみなさい……レオ様。



 SIDE:レオンス

「んん……朝だ……よく寝れた。こんなに気持いい朝は久しぶりだな。ん?」

 何か、顔にふさふさした物が当たってる……?

 それに、何か柔らかい物に抱きついている……。

 俺、抱き枕なんて持ってたっけ……。


 そんなことを思いながら、目を開けると……

 目の前に、犬耳があった。


「べ、ベル……!? そういえば昨日、寝る時にベルを運んでいたな……そのまま一緒に寝ちゃったんだ」


「んん……」


「でも、この時間にベルが寝ているのも珍しいな。いつも俺を起こしてくれるのに」

 いつも、夜更かししてなかなか起きない俺を起こすのがベルの朝の仕事だ。

 それにしても……ベルの寝顔は可愛いな……。


 バタン!


「レオ様起きて下さ~い」

 ドアが大きな音を立てて空いたと思ったらアメリーさんが部屋に入って来た。


「それと、ベルの居場所を知りません……あら? 一緒に寝ていたんですか? ふふ、それじゃあ朝ごはんが出来ていますので」

 アメリーさんは俺がベルに抱きついている状況を見るなり、ニヤッとして外に出て行ってしまった。


「ま、まって! これは……はあ、行っちゃった。とりあえず起きないと……ベル起きて」

 弁明しようと思ったが……既にアメリーさんはいないので諦めてベルを起こすことにした。



いつも読んで頂きありがとうございます。

今日でこの物語を書き始めて半年になります。

これからも頑張って投稿していきますので応援よろしくお願いします。


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