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第十八話 シェリーに何が・・・


(レオ助けて....)


 さて、この念話は空耳だったのか……。

 ただ、もし本当に聞こえたのならシェリーが昼間にしかもこんな念話を送ってくるなんて珍しい。

 パーティーに来られなかったから、相手して欲しくていたずらをしたのか?

 いや、シェリーはそんなことをするようには思えないな……。


「お~い! レオ!」


「は、はい!」


「どうしたのいきなり黙り込んじゃって?」


「う~ん、ちょっとね」

 まあ、気のせいか。

 空耳な気がするし、本当に何かあったらもう一回念話してくるでしょ。


「大丈夫? それより、もうパーティーも終わっちゃうから最後にもう一回取りに行かない?」


「え~ また取りに行くの?」

 今日だけでどんだけ食べているのかわかっているのか?

 もう、十皿は食べてるぞ……。


「だって、ドラゴンの肉だよ? 人生で一度食べられるかどうかだよ? 食べられるときに食べておかないと」


「そうかな……そんなに食べたいのなら、僕の家にまだストックがあるから食べに来れば?」


「え? レオの家に行けばあるの」


「うん、あるよ」

 レッドドラゴンの肉はまだまだ残っている。

 まあ、凄い大きかったからね。


「そ、そうなんだ……明日にでも行こうかな」


「あ、明日? まあ、いいけど」

 そんなに気に入ったの?


(レオ、助けて!)


 ビクン!


「うわ!」

 俺が急にビクッとしたので兄さんが驚いてしまった。


「リーナ、今の聞こえた?」


「今の? いえ、特に何も聞こえませんでした」


 リーナは俺の質問の意図がわからず、首を傾げているのでどうやら本当に聞こえなかったのだろう……。

 これも空耳か?

 いや、二回も聞こえたんだからそれはないだろう。


 うんん……って、本人に聞けばいいじゃないか。

 そうだ、そうしよう。

 

(もしもし、シェリー? もし僕の勘違いだったら悪いんだけど、さっき念話した?)


 そう言って、少し返事が来るのを待ってみる……が何も返ってこない。

 俺のネックレスがおかしいのか?


 うんん……。

(リーナ、聞こえる?)


 ビクン!


「うわ~!」

 また兄さんが今度はリーナがいきなりビクッとしたので驚いてしまった。


(ど、どうしたんですか? さっきから変ですよ?)


(いや、僕のネックレスが壊れたのかもと思って)


(そうですか……それで壊れていたんですか?)


(いや、全然)


 リーナと念話できたから、壊れてはいないんだよな……。

 うんん……とすると本当にシェリーに何かがあったのだろうか……。


「おいおい、二人ともさっきからビクッとしたと思ったら急に黙り込んでどうしたの?」


「特に何でもないよ。兄さん、少し城に行ってくる」


「それ、絶対何かあるよね? って、ちょっと散歩してくるみたいに何言っているの?」


「ちょっと知りたいことができたんだ。そういうことで行ってくる」

 そう言って、俺は会場出て行く。


「え? 嘘でしょ? 僕たち、まだ兄さんにおめでとうすら言ってないんだよ?」



 SIDE:ダミアン


「何!? 姫様が消えたって?」


「はい、どこを探してもいません」


「まさか……レオくんの所に行くために隠れて出て行ってしまったか?」


「いえ、それはありえないかと。流石に姫様でも壁を越えることはことは出来ないでしょうし、門番には魅了魔法対策の魔法具を持たせています」


「いや、姫様の魅了魔法は魔道具なんて意味が無いよ」

 レオくんがあげたあの杖があれば、誰も姫様に逆らうことは出来ないだろう……。

 

「そ、そうなんですか……それでどうしますか?」


「外を探すしかないよ。全員で死ぬ気で探して! 何かあってからでは遅いから」


「は、はい。わかりました。全力で探します」


 部下が走っていくのを見ながら、僕は姫様がどこに行ってしまったのかを考えた。

 うんん……パーティーに参加出来なかっただけで城から脱走するかな……?

 けど、他に理由が思いつかないんだよね。

  

「僕はレオくんの所に行こうかな」

 もしかしたらレオくんが何か知っているかもしれない。


「ダミアン様、レオンス様がお会いしたいとおっしゃっております」


「え? レオくんが来ているの? 今すぐ行く」

 本当にレオくんが何か知っているかも。


 SIDE:レオンス


 城に着き、おじさんに会わしてくれと頼むとすぐにおじさんが来た。

「やあ、さっそく中に入ろうかレオくん」

 おじさんはいつものようにいきなり登場するなり、いきなり俺を中に案内した。


「う、うん」

 もしや……本当にシェリーに何かあった?


 それから、いつもの部屋に案内された。

 そう、皇帝の部屋である。

  

 部屋に入ると皇帝は机に向かって書類と格闘していた。

「皇帝様、少しお時間を頂いてもよろしいでしょうか?」


「うん、ああいいぞ。って、レオくんではないか……。もしや、また何か俺が想像も出来ないような問題が?」

 おじさんに話しかけられて顔を上げた皇帝は俺がいるのを見て、不穏な空気を感じ取った。


「はい。実を言いますと……先程、姫様が行方不明になりました」


「え!? シェリーが行方不明?」

 行方不明ってどういうこと?


「は? どういうことだ? というより、どうしてレオくんが驚いているんだ?」


「本当に申し訳ございません。気がついたらどこにも姫様がいませんでした。どうしてレオくんが驚いているのかは私もわかりません。あ、そういえばレオくんがここに来た理由を聞いてませんでした」


 おいおい。それにしても、おじさんがここまで冷静に判断できていないのは珍しいな……。

 そう思いながら、俺はこれまでの経緯を二人に説明した。

 

「なるほど」


「もしかすると……考えたくはありませんが姫様は誘拐されたのかもしれません」


「うんん……。そうか、この時期だからその可能性が高いか……」


「この時期? この時期だと何があるんですか?」


「ああ、この時期というのはクリフの成人直前だ」


「そ、それがどうしたんですか?」

 クリフさんの成人とシェリーの誘拐と何が関係しているんだ?


「皇帝が次期皇帝が誰なのかを宣言するのは、その選んだ子供の成人した日に発表するのが決まりなんだ」


「なるほど。それでシェリーが……」

 そうなるとシェリーは今、凄く危険な状態じゃないだろうか……。

 心配になってきた。


「皇帝陛下、もしかすると今回も忍び屋、アレンが絡んでいるかもしれません」


「理由を言ってみろ」


「はい、単純に姫様を城から誰にも気がつかれず連れ出せるのは彼しかいないからです」

 おじさんと同じスキルを持ったアレンだけか。


「そうだな……メリッサの監視はしているんだろ?」


「はい、ただ特に変わった動きはないと報告を受けました」


「そうか……さてどうするか……」


 二人が話しているが……全く頭に入ってこない。

 もしかするとシェリーが死んでいるかもしれない……。

 そんな考えが頭の中を(よぎ)った瞬間にとんでもない不安に襲われ、頭の中が真っ白になってしまった。

 シェリーともう会えないかもしれない……。

 ……速く助けないと。


「……僕が絶対に見つけ出してきます」


「「は?」」


「今日中には必ず見つけ出して助け出します。それじゃあ」

 そう言って俺は部屋から転移した。

 俺は早くシェリーを助け出して、この不安から解放されたかった。


「ちょ、どこ行くの?」

 そう言ってダミアンはレオを追いかけようとするが皇帝に止められた。


「レオくんのことは本人に任せていい。たぶんレオ君なら大丈夫だろう。それより俺たちは忍び屋とメリッサが関わっていた証拠を見つけ出すぞ」


「わかりました。今すぐ部下に指示します」

 ダミアンは皇帝に礼をして部屋から出ていった。


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― 新着の感想 ―
皇帝様って…小さな子供がするような呼び方でダミアンの印象がガラッと変わったな… 田舎の平民とかならいざ知らず、普通は陛下って呼ぶんだけどw
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