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第三話 魔法の授業

 三時間目の授業は魔法の授業だ


 俺とヘルマンは、授業が始まるギリギリで教室に入ることが出来た。

 教室には、既に細身な男の先生が教壇に立っていた。

「それじゃあ、欠席が出ることは無かったようなので始めましょうか」


 そう言って先生は、持って来た大きなカバンからたくさんの魔石を出し、席の1番前の人にまとめて何個かを渡した。


「皆さん、これを一つ取って後ろに渡してください。ただし、貰ったら直ぐに机に置いてください」


 皆は、言われた通りに魔石を1つ取って後ろに渡した。


 俺は、渡された魔石を持ってみると少し違和感があった。

 その違和感は……若干だが、この魔石に魔力が吸われているような気がするんだ。


「使い方は後で教えますので、今は触らないでくださいね」

 先生が魔石に触っている男子に向かって注意をしていた。

 俺も慌てて机に置いた。


 そして、皆が机に魔石を置いたのを確認をしてから先生は話し始めた。

「魔法についての授業を行うヘロンダスです。どうぞよろしくお願い致します」


 挨拶が終わると先生は魔法で手に水を作った。

「これは水魔法です。これを作るためには二つの事が必要です。皆さん、何かわかりますか?」

 そして間を置き

「ほとんどの人は魔力が必要なのは知っているでしょう。じゃあ、もう1つは何だと思いますか? そこの君?」


「え、えっと~て、適性魔法ですか?」

 指さされた生徒は自信がなさそうに答えた。


「そう、適性魔法です。これが無ければ、どんなことをしても魔法を使うことは出来ません。例えば、私は火の属性は持ってないから絶対に火を作ることは出来ません。今回の場合は私が水魔法を持っていたので水を作ることが出来ました」


「適性魔法は、人それぞれ持っている物が違います。例えば、姫様、あなたの属性を教えてもらえませんか?」


「えっと、無属性と水と雷と氷と魅了魔法が使うことが出来ます」


「それは流石ですね。それじゃあ、君」

 今度はヘルマンを指した。


「えっと、自分は....無属性魔法だけです」

 ヘルマンは下を向きながら言った


 すると、

 今まで優しそうだった先生が急変した。


「あ、それは可哀そうに、きっとこれから君はつまらない人生だよ」

 見下すように先生はヘルマンに言い放った。


「待ってください! どうして無属性魔法だけで人生を否定するんですか?」

 凄いムカついたから俺は思わず先生に抗議してしまった。


「君はレオンス君でしたっけ? 君の噂は聞いているよ」

 気持ち悪くニヤッと笑った。


「だから何ですか?」


「わからないの? それなら教えてあげましょう。無属性魔法は(くず)魔法なんだよ。無属性魔法を使える人を今まで私は見たこと無い」


「そんなことはない!使える人はいます」

 実際に、俺だけでなくシェリーとリーナでも使うことが出来た。


「ああ、勇者様は使えることが出来たんだっけ? そんなことはどうでもいい。勇者は特別だったんだから。一般人は使えないよ」


「いえ、頑張れば絶対に出来ますよ」

 本当にこいつはムカつくな……。


「まあ、君はそう願うしか無いよね。無属性と創造魔法しか属性を持ってないんだもの……まだ望みのある無属性魔法を使えるようになりたいよね。うんうん、可哀そうに」



「……どうしてそれを?」

 俺の適性魔法は有名なのか?


「え? 貴族の間では有名だよ。あのフォースター家に無能が産まれてしまったてね」

 そんなことが噂になっているの?


「無能?」

 無能ね……あれを無能と言ったら何が有能なんだろうな……。


「ああ無能さ! あ、ごめん皆」

 先生は話について行けていない生徒たちを見て、また元の態度に戻した。


「それじゃあ、今のことを簡単に説明していきます。まず、無属性魔法について、これは体を強化する魔法だと言われてますが、ほとんどの人が使えません。だから、無属性しか持ってない人は人生を諦めてください。次に創造魔法。これはユニークスキルで珍しいのですが、何も造ることの出来ないので無能魔法と言われています」


 そして

「ああ、可哀そうに」

 と先生は俺とヘルマンを見て言った。


(じいちゃんや父さんが言っていたけど、本当に貴族は適性魔法が全ての世界なんだな)

 俺は先生の話を聞いて、しみじみと実感した。


「それじゃあ、さっき配った物を使いますので持ってください」

 先生がさっき配った魔石を見せながら指示をする。


「これは魔石と似ていますが、少し違います。これは、魔力を吸収してくれるように魔石を改造した魔道具です」


「魔力は使えば使う程、量が増えていきます。この魔道具は効率的に魔力を成長させるための道具です」


「そして、これの使い方は簡単です。強く握ってください」

 そう言って、先生は持っていた魔石を握った。


 握られた魔石は、少しずつ魔力を吸収して輝きだす。


「この魔道具は優れ物で、魔力が尽きそうになると吸収が止まります。ですので、具合が悪くなることを心配する必要はありません」

 へ~便利な魔法具だな。

 でも、これを練習に使ってもそこまで魔力は増えなそうだ。

 魔力は使い切った時に成長するんだから。


「それでは皆さん、やってみてください」


 その号令でクラスメイト達は、魔道具を強く握った。


「魔石の色が変化しなくなった人は、手を挙げてください」


 すると

「先生、色がもう変わりません」

 ヘルマンがすぐに手を挙げた。


「ああ、あなたは魔力が少なかろうと多かろうと関係ないんで気にしなくて大丈夫です。あ、君は良い属性を持っているんだから。これから、しっかり努力をしないともったいないですよ」

 先生は、ヘルマンのことなど気にも留めず、他の子を教えに行ってしまった。


 それからも、先生は持っている適性魔法によって、教える態度を変えて教えていた。

 本当、よく教師をやってられるな。


 しばらくして

「まだ、終ってない人はいませんか?」


 それに、俺とシェリーとリーナが手を挙げた。


「おお、これはこれは二人とも流石です。素晴らしい適性魔法に、たくさんの魔力、これからが楽しみですね」


 どうやら、俺のことは無視するようだ。


「それじゃあ、2人はこっちの魔道具を使ってみてください」

 似たような魔石を二人に渡した。


 渡された2人は、言われた通りにその魔道具を握る。

 すると、さっきの魔石よりも速いスピードで魔力を吸収し始めた。


 しかし、二人からすると、どうってことない量だった。


「あ、あれ? おかしいな....私でもこの魔石を使ったら、すぐに魔力の吸収が終わってしまうのに」


 そして、悩みだした先生に

「あの....もういいですか? 時間の無駄ですし」

 とリーナが冷たく言い放つ。


 俺にはわかる。

 あれはだいぶ怒っていらっしゃる。


「あ、はい。大丈夫です」

 先生は慌てて二人を席に戻す。


「それじゃあ、最初の授業ということで魔法に興味を持ってもらうために、私の魔法を見せたいと思います」

 そう言って、先生は手に水を作った。


 そして

「皆さん、動いてはいけませんよ~」


 先生は、手を教室の天井に向けて水を勢い良く放った。


 勢い良く出された水は、天井に当たってしまいそうだった。


 しかし、ギリギリ当たりそうな所で方向転換した。

 方向転換した水は、加速しながらクラスメイトの1人に向かって行く。


 当たりそうなクラスメイトは、怖がってしまい全く動くことが出来ない。


 そして、当たる寸前に

「そうです。動かなくていいんです」

 と先生が言うと

 またギリギリで水が避けて行く。


 それから水は、

 生徒たちの間を凄いスピードで何度も方向転換をしながら通り抜けて行き、

 最後に先生の所に戻って行った。


 それを先生は、綺麗に水しぶきが出来るように霧散させた。


 そして、

 クラスの反応を確認すると

「これからよろしくお願いします。今日はありがとうございました」

 と先生は教室から出て行った。


 先生が教室から出て行くと

 それまで、静寂だった教室が一気に盛り上がった。


「今の凄い」

「あれを将来出来るようになるかな?」

「これからの魔法の授業が楽しみだ」

 などなど


 皆、先生の思惑通りの反応をしている


 さぞ、廊下にいる先生は気持ちがいいことだろう。


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― 新着の感想 ―
ここで読み進められなくなる人結構いると思う。先生流石におかしいでしょ、
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