第二十二話入学直前
シェリーに誕生日プレゼントを渡した次の日
衝撃的なことが起こった。
それは、ガルム教国が聖女とリーナを国外追放にすると発表した。
その理由は、聖女が帝国で教皇を暗殺する計画を企てた為という意味のわからないものだった。
どうやら、教皇はどうにかしてでも聖女とリーナを教国に入れたくないようだ。
この為、聖女とリーナは国に帰ることが出来なくなってしまった。
そんなリーナと聖女にばあちゃんが
「どうせ部屋は余っているし、ここにいなさい」
と家にいることを勧めた。
「悪いと思うけど、他に行くところが無いからね....厄介になるよ」
「気にしなくていいさ。リアーナちゃんもこれからここに住むんだからね」
「はい、わかりました。お世話になります」
「そうと決まったら、リアーナちゃんも来年から学校に行けるように皇帝の所に行って頼んで来るしかないね」
そう言って、ばあちゃんが聖女を連れて出て行ってしまった
ちなみに、学校は来月の1月から始まる。
つまり、ばあちゃんはあと1カ月しかない時期に無理やり入学させようとしている。
これは頼まれた皇帝だけでなく、学校関係者も大変迷惑だろう。
はたして、リーナは入学できるのか?
そして現在、リーナと2人で留守番をしている。
「今頃、皇帝たちは対応に困っているだろうな」
「そうですね.... でも、私はレオくんと同じ学校に通いたいです」
「うん、僕もリーナと学校が一緒なら楽しそうだと思うよ」
「本当ですか? 嬉しいです」
リーナは嬉しそうに笑った。
おお、この笑顔は反則だろ....
「そ、それじゃあ、ばあちゃんに期待して待ってようか」
SIDE:カリーナ
現在、城の門に着いた
門番に馬車から顔を出して皇帝に会いたいと言った。
すると、門番は慌てて中に入って行った。
しばらくして、門番が戻って来て馬車のドアを開けた。
「皇帝陛下が時間が空いているので、1時間までなら話すことが出来るとおっしゃっておりました」
「ええ、すぐに終わらせるから心配ないわ」
「あんたと言う奴は....」
セリーナが呆れたと言いたげな声で言ってきた。
それから、皇帝のいる部屋に案内される
部屋に入ると皇帝とダミアンの妻のエリーゼがいた。
「わざわざ時間を貰って悪いわね」
「いえいえ、気にしないでください。私も教国の発表は聞きました」
「そうかい、なら早速話ができるね」
「はい。しかし、今回は帝国で聖女様を匿うことは出来ません」
皇帝は申し訳なさそうに言った。
「それはわかっているわ。帝国の立場があるだろうからね」
「ええ、もし聖女様を帝国として受け入れてしまうと、帝国が教皇の暗殺の手助けをしたと言われてしまうので」
また申し訳なさそうに答えた
「それで今回はどういった用件なのでしょうか?」
エリーゼが聞いてきた
「1つ頼み事があってね。セリーナは私の家で暮らしてもらうことにしたんだけど、孫のリアーナちゃんが学校に行けなくなってしまってね」
「なるほど、リアーナちゃんを学校に入れさせたいと」
「そういうこと。出来るかい?」
「まあ、凄く大変だろうけど聖女様を助けてあげられない分、それくらいどうにかしますよ」
意外にも即答だった
「あら、ありがとう。こんなに早く了解を得ることが出来るなんて思ってもいなかったよ」
「本当に感謝します」
セリーナは頭を下げた
「いえいえ、こちらも貴重な人材を手に入れられて良かったです」
「そうだね。リアーナちゃんは将来、聖女を超えるかもしれない程の人材だからね」
「そこまでですか。これは教国には感謝しないとですね」
皇帝は笑いながらそう言った。
「ええそうね。それじゃあ忙しいだろうから、私たちは行かせてもらうわよ」
「わかりました。リアーナちゃんが入学できるようにしておきますので心配しないでください」
「ええ、頼んだわ」
そう言って部屋を出て行く
SIDE:皇帝
魔導師様と聖女様が出て行った
すると
「皇帝陛下、本当にあんな簡単に許可してよろしいのですか?」
エリーゼが質問してきた
「ああ、問題ないさ」
「確か、初等学校は貴族だけしか行けませんでしたよね?」
「ああ、そうだが聖女の孫なら誰も文句は言えまい」
「確かにそうですが、入学式まであと1カ月も無いのですよ?」
「リアーナちゃんが帝国に所属することになるなら、そのくらいのことは全く問題ないさ」
「そこまで聖女様のお孫さんは凄いのですか?」
「ああ、凄いぞ。しかも、レオ君と一緒にいるということは何かが起きる」
「どういうことですか?」
エリーゼが首を傾げた。
「シェリアはな、レオ君と会ってから急激に魔力が成長したんだよ」
「それでリアーナちゃんが同じようなことが起きるかもしれないと」
「ああ、ダミアンが急激に魔力が成長した原因がレオ君に貰った首飾りかもしれないと言っていたのだが、リアーナちゃんも同じ物を着けていたんだ」
「わかりました。そこまで皇帝陛下が言うのであれば大丈夫なのでしょう」
「信用してないな? まあそのうちわかるさ」
そう言って、俺は笑った。
<約1か月後>
SIDE:レオンス
今日は1月上旬、帝国初等学校の入学式である。
リーナが学校に行けるとわかってから1カ月が過ぎてしまった。
この1ヶ月は、リーナとシェリーで遊んだり特訓をしたりした。
そして現在、学校にリーナと聖女とばあちゃんと馬車で向かっている。
ちなみに、入学試験は無いので初めて学校に入るのでとても楽しみだ。
それから、しばらく馬車に乗っているしかないと思っていると意外にすぐ着いてしまった。
「え? もう着いた」
「これから通わないといけないんだから近いに越したことはないさ」
「まあ、そうだけど......これからここに通うのか~」
「ただ、あと2年したら強制的に寮に入るしかないけどね」
「え、そうなの?」
「3年生からは寮に入ることが絶対だからね」
「まあ、寮生活も楽しそうだからいいや」
「楽しいと思うよ。これから6年間、この学校でたくさん学ぶことが出来るよ」
そう言って、ばあちゃんが馬車のドアを開けた。
馬車から出ると、前世の大学並みの大きな学校が見えた。
「わあ~ 大きいですね」
リーナが思わず声を出した
「そうだね。これからの学校生活が楽しみだ」
これから通うことになる学校を眺める
すると
「これからこの景色はいつでも見れるんだから、ここで立ち止まらないで行くよ2人とも」
と聖女に呼ばれて
「「はーい」」
と俺たちは式の会場に向かった.....
これでこの章は終わりです。
次の章は閑話と人物紹介を入れてから始めたいと思います。