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継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》 Web版  作者: リッキー
第十四章 最終決戦編

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第三十四話 破壊の起源⑦


 久しぶりの学校……とても緊張する。

 私は、竜也の横にぴたりとくっつきながら教室に入った。


「竜也おはよう! って、その隣の女子は誰だ!?」


「もしかしてお前の彼女か!?」

 教室に入るなり、元気な男子二人が竜也に絡んできた。

 竜也の友達なのかな?


「昨日言っただろ? ずっと休んでいた中倉 美保だ。怪我しててずっと学校に来れなかったけど、皆仲良くしてやってくれ」


「え~。あの中倉!?」


「嘘だ! 前に見たことがあるが、そんな可愛い顔はしてなかったぞ!」


「そうだそうだ! 本当のことを吐け!」


「やめろ、筋肉痛が痛いんだから俺に触るな!」


「フハハハ。敵に自分の弱点を晒すとは馬鹿め」


「この羨ましいやつめ、俺のツンツン攻撃でも食らえ!」


「うえ。暑苦しいから近づくな!」


「待て待て! 今日という今日はお前を泣かせてやるんだ!」

 このクラスだと、竜也は人気者なのね。

 竜也とクラスの男子たちが楽しそうにじゃれ合っているのを眺めながら、私は自分の席に着いた。



「あ、久しぶり。もう怪我は大丈夫そう?」

 私が席について一、二分してから、門井くんと猪口くんが教室に入ってきた。


「う、うん。大丈夫……」

 やっぱり、竜也やお母さん、お父さん以外の人を話すのは難しいみたい。

 緊張して、どうしても声が出せない。


「グハハハ。それは良かった。数少ない俺の友が怪我したと聞いて、心配していたんだぞ!」


「あ、ありがとう……」


「ねえねえ。私を中倉さんに紹介してくれない?」

 門井くんと猪口くんが相手でも対応に困っているというのに、今度は知らない女子が私たちに話しかけてきた。

 しかも、凄く綺麗な女子だった。


「ん? ああ。えっと……このクラスの学級委員長をしている成川 恵さんだ」


「ふふふ。はじめまして、メグミって呼んで」


「わ、わかった……」

 ニコニコと明るい笑顔で、馴れ馴れしく私の手を握ってきた。


「竜也くんと一緒に来ていたみたいだけど……二人は仲が良いの?」


「う、うん……」

 どうしてそんなことをあなたに教えないといけないの? などとは言えず、素直に頷いておいた。


「へ~。そうなんだ。これからよろしくね?」


「う、うん。よろしく……」

 この人……前のクラスの女子みたいに悪い人じゃないと思うけど、なんか苦手。

 成川さんの第一印象はそんな感じだった。


 キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン♪


「は~い。席についてくださいね~。ホームルームを始めますよ~」

 チャイムが鳴ると、このクラスの担任である伊藤先生が入ってきた。

 伊藤先生は、前の担任と違ってとても優しくて好感の持てる先生だった。


「先週は中間テストご苦労様でした。できた人、できなかった人いると思いますが、一喜一憂せずに冬の受験に向けて頑張っていきましょう!」

 そういえば、先週は竜也が必死になって勉強していたわね。

 私も、次からは頑張って勉強して良い点数を取らないと。


「あ、それと、中倉さんの怪我が治って、今日から学校に復帰することになりました! 久しぶりの学校で、いろいろと大変だと思いますので、皆が助けてくれると嬉しいです!」


「先生! 大丈夫です! そういうのは竜也がやるんで!」


「コラ、一人に押しつけたらダメでしょ! えっと……女の子たちも中倉さんと仲良くしてあげて」


「はい。任せてください」


「ありがとう。成川さんなら、安心して任せられるわ」

 というわけで、苦手意識がある恵さんが私の世話役となってしまった。

 まあ、別に三ヶ月だけいなかっただけだし、頼ることは少ないと思うから大丈夫かな。


 キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン♪


「あら、もう一時間目の時間ね。教科書はいらないから、男子たちが逃げないうちにテストを返しますか」


「先生! 今日は満点いましたか?!」

 テスト返しではお決まりの質問を竜也の前の席の男子がすると、先生が渋い顔をしてみせた。


「それが二人いたの……。先生、今回は難しく作ったはずなのに、ちょっと悔しいわ」


「おお! ということは、いつもの恵と徹で決まりだな!」


「ふふふ。正解、二人とも今回もよく勉強したのね」


「い、いえ……」


「ありがとうございます」

 門井くんが頭良かったのは知っていたけど、成川さんも頭良かったんだ。


「というわけで、二人に拍手!」

 パチパチパチ。


「わあ。あの二人お似合いよね~」


「そうね。二人とも顔も良くて頭も良いんだもん。羨ましいわ~」

 後ろの席から聞こえてきた会話に、確かにそうだな~。と思いつつ、そんな声があることに安心感を覚えてしまう私がいた。



 そして半年後。

 半年に及ぶ受験勉強を終え、私と竜也は志望高校に受験番号を探しに来ていた。


「あった……私の番号もあったよ!」

 自分の番号を見つけ、私は喜びのあまり隣にいた竜也に抱きついてジャンプまでしてしまった。


「良かった。これで、二人とも同じ学校に通えるな」


「うん!」


「美保ちゃん、この半年間凄く頑張っていたものね……。お母さん、涙が出てきたわ」


「本当、美保が受かって良かった」

 後ろで見守っていたお父さんとお母さんが私の合格を聞いて、涙を流して喜んでくれた。


「おい……俺も受かったんだけど?」


「お前の心配は最初からしてない」


「そうそう。何度、サオリ先生に進学校を勧められたことか……」

 この半年で、竜也は私に教えるためにたくさん勉強したおかげなのか、元々頭が良かったのかはわからないけど、最後の受けた模試で県一の進学校にB判定を貰うほどの成績を取っていた。

 そりゃあ、伊藤先生も進学校を進めるはずだ。


「進学校に行っても、勉強についていけなくなって困るだけさ。それに、俺は高校に入ったら、美保との約束を果たすために頑張らないといけないんだ! 勉強をしている暇なんてないさ」

 竜也は、半分冗談、半分本気で私が言った世界一になるという約束を本当に守るつもりでいるらしい。

 ここ最近、俺は世界一になると言うから、本当になってくれるような気がしてきた。


「ふふふ。冗談よ。竜也もおめでとう。今日は、合格のお祝いで寿司でも食べに行きましょう」


「お寿司!?」

 お寿司は、私の中でピザに次いで大好物な食べ物だ。


「やったー。それじゃあ、さっさと先生に報告を済ませて家に帰ってくるよ」


「別に急がなくて良いわ。もう、お友達と話せる機会が少ないんだから、ゆっくり話してきなさい」


「そうそう。寿司屋なんて予約しておけば良いんだからな」


「わかった。それじゃあ、行こうか」


「うん」




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